※この記事は2016年2月に公開されました
本ブログをご覧いただきありがとうございます。先だって公開した 以下の記事 を持って投稿100件目(独自ドメイン取得後)となりました。
平均して一日に30件ほどアクセスしていただき、累計でおよそ13000アクセスとなりました。
2002年の在学中から始まり、仕事と育児の合間にぽつぽつと月に数回程度の更新に加え、災害ボランティアや防災教育という、よほど興味がなければご覧になることのないであろうテーマにも関わらず、想像以上に多くの方にご訪問いただけて、改めて御礼申し上げます。
本記事では、節目ということで本ブログのタイトルでもある「情熱と不屈の精神」にまつわる昔話をご紹介させていただきます。このブログを書いているのがどんな人物なのか、皆さまの貴重なお時間を割くに値するのか分かりませんが、お時間の許す限りでお付き合いいただければ幸いです。
きっかけは一本の映画から
ブログのタイトルでもある「情熱と不屈の精神」は、ロビン・ウィリアムズさんが主演した映画「パッチ・アダムストゥルーストーリー」のモデルとなった医師、ハンター・キャンベル・アダムス氏のモットーです。
◯ パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー(字幕版)|Amazon PrimeVideo
「笑い、ユーモアは患者さんにとって一番必要なもの」という信念をもって活動していくその姿は、医療・福祉の関係者や何らかの病、障がいと共に生きる方にとって前向きなメッセージを与えてくれます。まだご覧になっていない、という方は、ぜひ一度ご覧いただきたいなと思う作品です。
主演されたロビン・ウィリアムズ氏は2014年に他界されています。改めてお悔やみと心からの感謝を申し上げます。あなたの映画がなければ、ここまで頑張ることができませんでした。
◯ ロビン・ウィリアムズさん訃報、米大統領も追悼談話|CNN
ハンター・キャンベル(パッチ)・アダムス氏の著書なども購入できますので、より詳しく活動を知りたいという方は合わせて以下の本もぜひ手にとってみてください。
問題は、どこにある?
映画を見たのは学生の頃です。それまでの様々な経験や、災害ボランティア活動などから漠然と「人の役に立ちたい」と考えていましたが、映画のワンシーンに心動かされ、改めて災害ボランティアや防災の道、それも「誰かが今、歩いているであろう道」とは別の道を探ることとなりました。
以下に、そのシーンをご紹介します(ネタバレ含みます)。気にされる方は先に映画をご覧になってから、続きを読んでいただければと思います。
映画のワンシーンから
精神病院で「指が何本に見えるか」と聞いてまわる老人、アーサーが気になったパッチ・アダムス(ロビン・ウィリアムス)が部屋へ行くと…
アーサー
『How many (fingers) do you see?(何本に見える?)』※4本指をパッチに突き出すしぐさ
パッチ
『(There are) four fingers, Arthur.(4本です)』
アーサー
『No, no, no, no. Look at me.(違う違う。私を見るんだ。)』
『You’re focusing on the problem.(君は問題にフォーカスしている。)』
『If you focus on the problem, you can’t see the solution.(問題にとらわれると、解決策が見つけられない。)』
『Never focus on the problem! Look at me! How many do you see?(問題にとらわれてはいけない!”私を”見るんだ!何本に見える?)』
『Look beyond the fingers. How many do you see?(指の向こう側を見るんだ。何本に見える?)』
パッチ
『Eight.(8本※です。)』
※フォーカス、つまり焦点を指ではなくその先にいる相手に合わせると指はぼやけて増えて見えます
アーサー
『Eight! Eight! Yes, yes! Eight’s Good answer!(8本!そうだ8本が正解だ!)』
『Yes! See what no one else sees. (そうだ!誰もが見ないものを見るんだ。)』
『See what everyone chooses not to see…out of fear,conformity or laziness.(恐れや既成概念や怠惰とかで、人が見ようとしないものを見るんだ。)』
『See the whole world anew each day. Ah, the truth is,you’re well on the way.(世界を新しい視点で見直せば、そこに真実がある。君にはそれができる。 )』
『If you didn’t see something here (in me) besides a crazy,bitter old man,you wouldn’t have come in the first place.(君がもし、私のことを偏屈で頭のおかしい老人だと決めつけていたなら、君はここへは来なかったはずだ。)』
人が見ようとしないものを見る
このやりとりとアーサーの言葉は、まさしく防災、災害ボランティアにつながるものでした。地震や災害そのものを通して、その先にある人や社会を見ること。怖がったり、思い込んだり、めんどくさいと思ったりしていることが、4本の指の先にある真実を見つけにくくしているということ。
そして、真実に辿り着くには、世界を新しい視点で見直す必要もあること。まだ何が「真実」かは分かりませんが、映画「パッチ・アダムス」は、防災や災害ボランティアにおいて「見えていないもの」あるいは「見ようとしていないもの」を考える、そしてそれを探し続ける情熱と不屈の精神を持つ、大事なきっかけとなりました。
未知への不安が生みだす”無関心”に立ち向かう
「人が見ようとしないものを見る」という言葉から僕が考えたのは「無関心」をどう自分の中で整理するか、ということです。在学中によく自主防災会の方から言われた「学生(若者)は防災に関心がなくて困る」という意見にどうしても納得できず、「そんな簡単な話じゃないよな…」と思っていました。
人間には想像力があります。想像力によって、まだ実現していない社会であったり、モノであったりを作ることができます。ですが、想像力があるからこそ生まれるのが「未知への恐怖」です。知らない、つまり理解できないのですから、考えたところでどうしようもないのですが、想像力があるから”考えてしまう”のです。
「もし、災害が起きて自分が死んでしまったらどうしよう」
「家族に何かあったら!?」
「仕事がなくなったら、生活できないんじゃないか…」 など
その想像力による不安や恐怖を、最低限に留めるために生み出された手段が「無関心」です。知ってしまえば考えてしまう。考えてしまえば怖くなる。知らなければ考えないし想像しなくていい。だから、見たくもないし考えたくない。だから、関心を持てない。
防災や災害支援に関して言えば「無関心」はやむを得ない点もあります。ある意味、自然なことです。
そのことを理解せずにただ「関心がないからダメだ、関心を持て、何かやれ、活動に参加しろ」と言われても、言われる側からしたら困るばかりです。そもそも、人には大事にしたいものや生き方をを選ぶ自由があります。
重要なのは伝える側、取り組む側が特定の誰かではなく「無関心」を生み出しているものに立ち向かうことではないかと考えています。地域防災に若者が参加しないというのであれば、参加したくなるプログラムを考えるか、参加しない若者も守れるような対策に取り組むか、方法はいろいろあります。
「楽しい防災」は入り口、続けるには動機が必要
余談になりますが、「楽しい防災」というキーワードはそれはこうした状況を打開するためのひとつの手段です。ただ、気をつけなければならないのは「楽しい」ことと「本来学ぶべきこと、知るべきこと」は分けて考えなければならないということです。
いま、本ブログを読まれている方は防災に関心が高い方と推察しますが、そのきっかけは何でしたか。
「楽しい防災」を経験したからでしょうか。それとも「必要と感じた経験があった」からでしょうか。「楽しい」のは手段であって目的にならないような方法が求められます。
まとめ~幅広いアプローチで多様な対象と関わる~
防災や災害支援といっても、アプローチは様々です。どこかの一分野から専門的にアプローチすることも重要ですが、それはすでに先駆者の方々がたくさんいます。「楽しい防災」もいろいろな形で広がっています。つまり「見ようとしている人がいる」ということです。それでも、防災や災害支援への無関心はまだまだ多くの方の心の中に根付いています。
それは「人が見ようとしないもの」が、まだどこかにあるということです。それをひとつでも減らしていくこと、見つけ出していくことが必要です。災害救援、防災教育、社会福祉、大学・学生による活動など、幅広くアプローチすることで、ひとりでも多くの方に防災や災害支援について伝えていければと考えています。
毎回、ボリュームの多い記事でご覧になる方のお時間をだいぶいただいておりますが、一部分だけでも参考になることがあれば幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。