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社会福祉協議会BCPの作成・評価・訓練のポイント

社会福祉協議会のBCP作成や評価について

2022年2-3月にかけて都内社会福祉協議会(以下「社協」)さんと社協BCPについてお話し、また一緒に考える機会をいただくことができました。本稿では内容を簡単に整理してご紹介します。すでにBCPを策定されているところも、これから策定されるところも、本稿が取り組みの参考となれば幸いです。

BCPとは?なぜ社協に必要なのか

BCPとはBusiness Continuity Plan(ing)、日本語では「事業継続計画」と呼ばれています。災害や事故などの重大リスクが発生した場合でも、重要業務を中断させず、重要業務が中断した場合は許容範囲内に再開できることを目的として作成された計画のことです。

例えば何か物を売ったり、サービスを提供している会社で考えてみます。地震や台風の影響で商品が納品できない、社員が勤務できないといった状態が長引けば、会社の経営に深刻なダメージとなります。従って、災害等が起きても特に重要な業務を「なるべく中断させない」、中断したとしても「なるべく早く再開する」ことが重要になります。ポイントは「全ての業務」ではなく「重要業務」という点です。つまりBCPの作成・評価・訓練にあたっては「何が重要な業務なのか」を整理しておくことが前提となります。

では、社協にとっての「重要業務」とは何でしょうか。社協の業務は大きく以下の4つのカテゴリーに整理することができます。

社協重要業務整理の必要性

本稿をご覧いただいている方であれば「災害ボランティアセンター」が重要業務として思い浮かぶかと思いますし、また対外的にも求められるところですが、社協本来の業務内容「いずれも被災地・被災者にとって重要な業務」であることが分かります。

つまり社協にとってのBCPとは、単に仕事を続けられるようにするのではなく、通常業務に加えて新たに発生する災害ボランティアセンター運営業務等に関する人員配置や業務調整が、円滑に行えるようにするための事前計画と言えるでしょう。

もちろん、これまでもそうであったように全国からの応援職員派遣なども想定されますが、特に首都直下地震等の大規模地震では支援まで時間がかかり、その間の職員にかかる負担は大変なものです(被災社協さんでは1ヶ月以上休みがなかった、という職員の方もいました)。

職員が多忙によって体調不良や休職となれば、前述の福祉業務全体に影響が出て、結果的に被災者支援や復興に影響します。社協のBCP、事前準備は「地域の災害支援・復興」にとても重要な意味を持っています。

都内社協のBCP策定に関する現状と課題

今回の研修にあたり、都内社協さんのBCP策定状況について確認しました。62市区町村社協のうち、約半数が作成済みで、約3割が未作成でした。東日本大震災や相次ぐ風水害、そして新型コロナウイルス感染症等を受けて、BCP作成は進んでいます。

一方で検討中、あるいは作成できていないというところもあります。その要因として必要性を感じない、必要な知識がない、人員がいない、といったご意見があります。

前項のとおり社協業務は被災地・被災者支援にとって欠かせない業務ばかりです。災害対策基本法や各市区町村の地域防災計画でも事業継続について言及されていますし、職員の安全配慮という点では労働契約法、安全配慮義務(違反・民法)等にも関連します。

作成に必要な材料も、作成済み社協の内容をヒントにする、研修に参加・実施するなどして情報を集めることもできます。人員に関しては、主に総務系の方々が中心かと思いますが、各部署と連携した取り組みが望ましいでしょう。下記記事もご参照ください。

社協BCP作成のポイント

それでは、具体的な作成のポイントについてご紹介します。まず大きく作成(あるいは改定)のステップについて下記のように整理しました。

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ステップ1 課題分析

ここで重要なのが、社協としての重要業務の整理です。例えば、災害ボランティアセンターは重要ですが、それだけというわけにもいきませんし、担当部署の職員だけで運営することもできません。 「災害ボランティアセンター運営マニュアル」ではなく、運営マニュアルを実行するために社協(法人)としてどう対応するか、を想定しておくことが重要です。

ステップ2 原案作成

社協BCPで重要と思われる基本10項目をまとめてみました。

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これらはあくまで基本的な内容ですので、各社協さんの状況などに応じてアレンジしていただければと思います。

ステップ3 演習・訓練の実施

前述の10項目について、管理職・担当者、他職員の方々が把握しているかどうかについて、読み合わせや図上演習、初動対応訓練などで確認します。訓練事例については「社協BCP訓練のポイント」もご参照ください。

ステップ4 合意形成 

作成案や改定案をある程度まとめることができたら、関係者との合意形成が必要です。特に市区町村の防災・福祉担当部署や、市区町村内の社会福祉法人(福祉施設等)との連携は欠かせません。サービス利用者の安否確認等、社協としてやらなければならない業務がきちんと履行できるような体制を整えておくことが求められます。

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ステップ5 承認と共有 

関係者との合意形成もできてきたら、いよいよ大詰めです。最終的な案について、管理職等による承認、そして法人内での共有です。もしこの時点で否決されるといったことがあれば、ステップ1~4のいずれかに課題があると見て、それぞれ立ち返って解決に向けて進めていきます。

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社協BCP評価のポイント(評価シートのダウンロード)

評価のポイントについては、前述の基本項目をベースとしつつ、重要な点をチェックしていける「社協BCP自己評価シート」を作成しました。Microsoft Excel形式でダウンロードできますので、ご自由にアレンジしてお使いください。

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Excelファイルを開くとタブがあり「電子版」では、それぞれ○△などを入力すると自動で点数が出力されます。「紙版」ではプリントアウトして利用できます。

担当者と管理職など、2名以上で作成・改定したBCPについて評価していただくときのヒントにしていただければと思います。

社協BCP訓練のポイント

訓練としてのポイントとして、以下の2点についてお話しました。

1)不確実性の高い状況では臨機応変に限界がある
2)受け身にならず限られた条件でも積極的に「状況を作り出す」必要がある

参考として、初動対応訓練について紹介しました。下記の記事からおおよその内容はご覧いただけます。

  

まとめ

研修では、この後グループワークを行い、課題や提案などについて皆さんで意見交換をしていただきました。議事録をGoogleスライドで共有し、ほかの方々からも見られるような工夫もしました。

本稿でご紹介した部分はお話した内容のごく一部ですが、なぜ必要なのか、どのような点に注意すれば良いのか、訓練はどうしたら良いかといったご意見にお応えできるように構成しました。

より詳しく、ということがございましたら、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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