中央大学特殊講義「Global HealthⅡ」における避難所運営ゲームフォロー

本記事は中央大学総合政策学部特殊講義「Global HealthⅡ」〜災害対策と非常時の対応〜避難所運営ゲームから学ぶマネジメント〜のフォロー記事として受講生向けに作成しました。

目次

まとめ補足

避難所におけるトラブルの多くはルール化によって解決につながったり、未然に防いだりすることができます。その際の二つの軸、運営ルールと生活ルールについて紹介しています。詳細はテキストにも記載していますが 下記の記事 でも実際に住民の方が考えたルールを事例に出していますので参考にしてください。

質問への回答・アドバイス

はじめに、僕が避難所運営ゲーム(HUG)を実施するにあたって、細かな事前指導を行わない理由について触れておきます。それは皆さんに「答えを知るのではなく、答えの探し方を知って欲しい」からです。

災害対応においては明確な「答え」の出せる課題は限られています。ほとんどの問いは「状況によって変わる」ことがほとんどです。従って、僕が「ここはこうであった」と事例や対策を回答したとしても、それはあくまでいち事例に過ぎないということです。

そして、それらの事例や対策については、過去の災害事例などを調べることで、把握し自分なりの考えを整理することができます。つまり、これから先の内容を確認することは「数学の問題をやってみたけど分からなかったので、先生に答えを聞いた」のと同じことです。確かに問題は解けるでしょう。でも、それで問題を解く力はつくでしょうか。

人は易きに流れがちです。くれぐれもここで紹介するものは一例であることを忘れず、実際の場面で対応できるよう、関連知識も含めて継続的な学習と訓練を忘れないようにしてください。

授業のようす
授業のようす

洗濯を許可すべきか

ライフラインが停止しているという設定でしたね。カードの情報がどうあれ、洗濯したくてもできないのが現状でしょう。東日本大震災でも初期の避難所では洗濯ができないか、水ですすいだりはできても「干すスペース」がなかったりしました。水もスペースも限りがあります。許可をするのであれば、必ずそのあたりをルール化して共有する手段を考えておきましょう。許可しない場合はその理由を明確にしておき、外部支援(企業等によるコインランドリーの設置や救援物資による服や下着)を待つか、着回しなどでしのいでいくか、ということになります。

支援の必要な人(高齢者、うつ病など)の受入はどうすべきか

必要な支援の内容も様々です。高齢の方は外見で判断できるかもしれませんが、うつ病の方を外見で判断するのは難しいでしょう。問題は受け入れた後に、少しずつ現れてきます。では、どのような場面で問題が出てくるでしょうか。ここから先は、できれば自分で考えて欲しいと思います。支援が必要な人達は、普段からどのような支援を必要としているでしょうか。避難所では、その支援ができるでしょうか。できる支援があるとしたら、誰が行えるでしょうか。できない支援があるとしたら、どう代替すれば良いでしょうか。参考までに、行政側で「二次避難所」や「福祉避難所」といったものを定めている場合があります。それがどのようなものか、どこにあるかは、自分で調べてください。それが「支援の必要な人への支援の第一歩」です。

ペットへの対応について

校庭等のオープンスペースを使う場合もありましたが、ペットの種類により屋内での飼育を希望する場合もあります。かといって、全てを避難所で解決する必要はありません。冷たいように思われますが、ペットを家族同然だと思うのであれば、その命に責任を負うのが飼い主の役割です。避難所にその責任を委ねる必要はありませんし委ねてもいけません。受け入れてくれる(受け入れられる)避難所であれば、その指示に従って行動します。

>受け入れてもらえないのであれば(あるいはペットにとって適切な環境ではないと思ったら)、自宅か、自宅が全壊して使えなければ地域や同じペット仲間等で助け合ってペットの命を守る必要があります。受け入れてもらえないからといって、避難所にクレームをつけたり、強引な手段に出たりすることは、誰にとってもメリットはありません。受け入れ側、避難所運営側もまずはそのことを理解し、受け入れや支援の可否について根拠を明確にしてしっかりと伝えましょう。

注意しなければならないのは、きちんとした方針(ルール)を定めずに、なんとなくで「受け入れます」「受け入れません」という対応をすることです。できないことはできないとはっきり断ることも、時には必要になります。今回、適切な対応が思い浮かばなかったということであれば、実際は断らざるを得なくなるでしょう。もし、興味があれば各地自治体の防災計画やを確認し、ペットへの対応を調べてみましょう。

東日本大震災でも、統計的な部分とは別に相当数のペットが犠牲になっていると思われます。大切なパートナーであればこそ、飼い主の責任でしっかりと命を守れるよう、事前の備えや対策が必要です。環境省や獣医師会、愛護団体などによる支援も行われますが、どのタイミングで支援が来るかは分かりません。

飼い主の『ペットの命に対する責任』の自覚が重要です。

おわりに

講義でもお伝えしましたが、災害対応は選挙と似ています。自分の行動が、何かの結果を変えるとは思えないかもしれません。でも、それは行動して、行動し続けた結果分かることであって、今分かることではありません。分からないからこそ、行動する必要があります。僕が与えたの”答えを知る機会”ではなく、”答えを探し考える機会”です。見つけるのは僕ではなく、皆さん自身です。

なぜなら、災害とは皆さん自身に起きることだからです。これからも、災害や防災、そして避難所について学ぶ機会を大切にしてください。

授業のようす

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