▼災害ボランティア入門講座(臨時)開催のお知らせ【2024年1月20日(土)】:終了しました▼
東京臨海広域防災公園(そなエリア東京)の協力で「はじめての方向け 災害ボランティア入門講座」をハイブリッドで開催しました。なお講座で冬の活動時のリスク、装備・服装の写真で紹介した冬季・寒冷環境下での災害ボランティアの安全衛生については、以下の内閣府の資料をご参照ください。
◯ 寒冷環境下における防災ボランティア活動の安全衛生に関する情報・ヒント集|内閣府
現在の災害ボランティア状況は 全社協 被災地支援・災害ボランティア情報 をご覧ください。
また 石川県県民ボランティアセンターによる災害ボランティア情報 もご覧ください。
◯ 令和6年(2024年)能登半島地震に係る石川県災害ボランティア情報|石川県県民ボランティアセンター
居住者の方、被災された方等を除き、北陸各県各自治体や市区町村社会福祉協議会への直接の問い合わせやホームページへのアクセスは極力、避けてください。電話やアクセスが集中すると被災された方や支援団体が連絡・閲覧できない、遅れるなどの障害が出る恐れがあります。どうしても、という方は自治体や社協のFacebookページ等をご覧ください。
ご実家やご親戚が被災されるなど、ボランティアではなく個人としてどうしても現地に行かなければならない、という方もおられるかと思います。被害の状況や支援状況等については防災科学技術研究所のサイトでまとめて見ることができるので、まずこちらで分かる範囲の被害情報等を確認してください。
◯ 防災クロスビュー: 令和6年能登半島地震|防災科学技術研究所
現地の交通状況は以下のサイトで確認できますが、通行実績はリアルタイムで通れることを保証していません。また後震(余震)等で危険を伴う場合もあります。現状では一般の方による車両での現地入りは推奨できません。
◯ 通行実績情報|ITS Japan
◯ 通れた道マップ|トヨタ
募金(義援金/支援金)に関する情報は以下の通りです。何かしたいという方はまずこちらから始め、然るべきタイミングで活動を検討してください。
▼義援金(被災された方に直接渡されるお金、被災自治体で委員会が設置され配分されます)
◯ 令和6年能登半島地震に係る災害義援金の受付について|石川県
◯ 令和6年能登半島地震災害義援金(石川県、富山県)|日本赤十字社
▼支援金(被災地で活動する団体等に渡されるお金、各団体が支援活動を行います)
◯ 令和6年能登半島地震 緊急支援募金|Yahoo!基金
◯ ボラサポ・令和6年能登半島地震|赤い羽根共同募金
以下は、この機会にしっかりと考えておきたいという方向けの内容です。長文ですがお時間があるときにご覧ください。
はじめに
本記事は「被災現場へ行こうかどうか迷っている」方向けの記事です。活動予定~活動中~活動後、及び災害ボランティアセンター運営・補助に関する記事は以下の記事でまとめています。
災害ボランティア活動時に必要となる「ボランティア活動保険」に未加入の方が多いと思います。現地で加入することも可能ですが、受付や事務作業に時間を要する場合がありますので、地元の社会福祉協議会で加入するようにしてください。
また、全社協のホームページからクレジットカード決済限定で加入できる場合もあります。都度「全社協 被災地支援・災害ボランティア情報」をご確認ください。
ボランティア活動参加のステップ等はnoteの記事もご参照ください。
2011年以降、特に大学生等の若者を中心に「災害(救援)ボランティア」活動が各世代に広がっています。東日本大震災で活動した災害ボランティアの人数は、全国社会福祉協議会が把握している方だけでも150万人以上となっています。
その後の各地での災害でも多くのボランティアが活動しています。
本記事をご覧になっている方も、そのお一人かもしれません。令和6年能登半島地震の報道を受けて、被災地でボランティア活動をしたい、と考えている個人の方も多いと思います。
そんな方々向けに、現地入りする前に考えて欲しいことをまとめました。
感染症の拡大と災害ボランティア活動
本項を追記した2020年7月以降、災害ボランティア活動にも新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響が出ています。具体的には、下記のガイドラインでも紹介されているように『募集は都道府県内や近隣市町村に留め全国的なボランティアの受け入れは行わない(現地の社会福祉協議会の判断による)』ことや『支援者にも感染症予防の知識や対策が求められる』といった点が挙げられます。
感染症の状況は変化してきていますが、現時点では被災地の状況をも含めて個人で県外・遠方から現地で活動することは、何らかのつながりやスキルがない限りは難しい状況です。
一方でボランティアによる支援が被災地域には重要なことは確かです。「何ができるか分からない」、「まず基本的なことを知っておきたい」という方は、オンライン等で参加できる災害ボランティア講座を実施している社協さんもありますので、地元の社協さんに一度は相談されてみることをおすすめします。
「社会福祉協議会(社協)」は各市区町村にあります。居住する地域の社協、または「ボランティアセンター」で災害ボランティアに関する相談ができます。あくまで相談であり、活動を紹介してもらえるとか、バスや車を出してもらえるとか、そういったことではありませんので、ご注意ください。
被災地のボランティアとして活躍する人たち
ボランティアが被災地の力になる反面、慣れないボランティア活動や、強い想いから被災地でいろいろなトラブルを起こしてしまう、無理をして体調を崩したりケガをしてしまう、というボランティアも後を絶ちませんでした。これは1995年の阪神・淡路大震災でのボランティア活動の広がりから顕著になったことですが、筆者自身が関わったそれ以降の各地の風水害や新潟県中越大震災、東日本大震災、関東・東北豪雨、平成28年熊本地震などの被災地、支援活動のなかでも、ボランティアのトラブルや体調不良がなかった被災地はありませんでした。
件数の多少に関わらず災害ボランティアには、そうした事態が起こり続けている、ということはご理解いただきたいと思います。今まで大丈夫だった方も、だから今回大丈夫だ、という根拠にはなりません。
ほとんどのボランティアは安全衛生に配慮した活動を行っています。現地できちんと説明を受けて、無理をせずに活動していれば、必要以上にケガやトラブルを恐れる必要はありません。そのためにも、現地の社会福祉協議会等が設置する「災害ボランティアセンター」を通した活動が重要になります。
そう言われると、「(現場での)被災地支援は素人ボランティアにはできないのでは…?」と思われる方も多いのですが、それはごく一部の作業です。また本来的には「素人にはできない」ようなことは「ボランティア活動」として幅広く呼びかけて行うべきではありませんし、災害ボランティアセンターなどでは行っていないはずです。従って、多くのボランティア活動には「未経験の人や、体力に自信がなくてもできる」ものがあります。もっと分かりやすく言えば「被災現場でのボランティアの多数は、中高生から高齢の方まで、ごく普通の人たちによって成り立っている」ということです。
ただし、中高生以下の若年層の活動については注意が必要です。若く体力があるからこそ心身ともに無理をしてしまうこともあります(特に授業や単位が関わると…) 。また免疫の状態や、感染症の種類によって重篤化することもあります。中高生以下が現場にいて、活動を希望する場合は、周囲の大人が必ず安全管理や体調確認、応急手当ができる環境を整え、ケガをしやすい活動は避けるようにしてください。
広がった「やってはいけないこと、やるべきこと」
多くが「普通のひとたち」だからこそ、いろいろな課題もあります。そこで、災害支援に平時から携わる人達が中心になって「災害ボランティアの基本的な情報、ルールやマナー、作法」といったものをつくり、それがインターネットやSNSで広がります(下記の別記事もご参照ください)。テレビや新聞、まとめサイト、週刊誌に至るまでたくさんの情報が流れています。それだけ社会的な関心が高まり、また事前の学習や理解が必要とされている、ということです。
組織的な支援活動の仕組みも広がる
2011年の東北地方太平洋沖地震、東日本大震災以降に特徴的なこととして、社会福祉協議会や大学、企業、各種団体、ツアー会社まで、ボランティア希望者を支援する動きが広がったことです。2011年以前からもありましたが、ごく一部の団体に限られ、回数も少ないものでした。
ですが、その後も頻発した災害を受けて活動場所や内容、スケジュールの調整、事前のオリエンテーションから保険加入、交通手段確保、必要な装備や活動中の安全管理、報告会などを活動支援の主体(企業・団体・組合や社会福祉協議会、大学等)が行ってくれるケースが増えました。
これによって災害ボランティアの”敷居”が下がり、なかなか行けなかった現地に行ける人が増えました。皆さんの関わる、あるいは所属する・ご縁のある組織や団体でも支援を検討されているかもしれません。
ボランティア不足って?本当に必要なのかな?
令和元年台風19号では、15号・21号と相次ぐ台風が、特に千葉県内各地での風害(風により屋根が飛ばされる等)と広範囲に浸水被害をもたらしました。当時、報道では公的な立場の方を含め、いろいろな方から「ボランティア不足」という発言があり、それに対して違和感を感じる方も多かったようです。
令和6年能登半島地震における状況はこれからとなりますので、足りる足りないよりも、いま現実に支援を必要とされる方、地域に対して「何ができるか」あるいは「何ができないか」を考えていただいたほうが良いかと思います。
災害ボランティアが必要とされているかどうかは、冒頭リンクの「全国社会福祉協議会災害ボランティア情報」や被災自治体の社協Facebookページ等を確認してください。ボランティアが事前登録等で充足している場合や、県内市内等で募集している場合は、遠方からの参加を考える必要はありません。
災害ボランティアは団体や組織に入らないとできない・・・?
そのような状況で「やってはいけないこと」集などを見たり、いろいろな団体、NPOやNGOの支援活動を見たりしていると、多くの人に浮かぶ疑問があります。それは「災害ボランティアは団体や組織に入らないとできない…?」という疑問です。結論から言えば、そんなことはまったくありません。
たまたまそうした団体は情報を発信しているからよく目に留まるだけであって、前述したように災害ボランティア活動の圧倒的多数は「名も無き個人」によるものです。
現地へ行きたい方に考えて欲しい5つの質問
災害支援に関わるうえで一番大切にして欲しいことは「自分のことは自分で考える」ということです。
ボランティア活動は「誰かに言われたから、言われたことをやる」のではなく「自分で必要だと思うから、自ら進んで取り組む」ものです。ただ、難しくあれこれ考えろという意味ではなく、下記に示すようなごく単純な、基本的なことを考えてから行動していただければと思います。
本当に「今」、「現地へ」行きたいですか。
まず「現地」に行きたいと思うかどうかを考えてみましょう。そして「行きたい」と思うのであれば次の項目へ進んでください。よく考えたらやっぱり難しいかな、でも何かしたいな、と思う方は募金活動や義援金・支援金などで協力することが最も有効です。
現地に行くだけが災害ボランティア、災害支援ではありませんし、優劣をつけるようなことでもありません。まして、他の人と比べるようなことでもありません。他の人は他の人、自分は自分です。ボランティア活動で大切なのは、どんな形であっても自ら【行動】することです。
◯ 令和6年能登半島地震に係る災害義援金の受付について|石川県
◯ 令和6年能登半島地震災害義援金(石川県、富山県)|日本赤十字社
◯ 令和6年能登半島地震 緊急支援募金|Yahoo!基金
◯ ボラサポ・令和6年能登半島地震|赤い羽根共同募金
上記は一例です。他にも様々な団体・企業・サービスが募金を募っています。どこが良いかはそれぞれの取り組みを調べるなどして、ご自身の判断と責任で行ってください。
被災地のために、あなたは何ができますか。
筆者がよく質問されて困るのは「私に何ができますか」です。「すいませんが、僕はあなたのことを知らないので何ができるかわかりません」、「何でもできるなら、すぐに募金をお願いします」としか言えません。
体力的に自信がない方は身体的な作業は厳しいでしょうし、あまり人と話すのが得意ではない人に話し相手などは厳しいです。ですから、ある程度は「自分にできること、やりたいこと」は整理し、活動期間に合わせた持ち物はインターネットの情報なども参考にしながら持参します。
何がしたいか、できるかなんて現場に行かなきゃ分からないと思うかもしれませんが、「被災地のニーズ(要望、依頼)に応じる」ことと「被災地の状況や、自分にできることをを考えようとしない」のは別問題です。
希望通りの活動ができるとは限りませんし、希望した活動をやらせて欲しいと言われても対応する余裕はありません。
いつから、いつまで活動できますか。
長期休暇や連休、土日を想定される方が多いと思います。ただし「土日や連休、長期休暇時に活動しようと考えている人は日本全国で何万人もいる」のです。そして同じように「休み明けから仕事や学校に行かなきゃいけない人が、何万人もいる」ということです。
ですが、作業は土日や連休だけでどうにかなるものではありません。連休や土日祝日よりも、連休明けや平日といった「人手が明らかに少ないタイミング」が一番ボランティアに来て欲しいときもあります。自分のスケジュールをずらして、現地の状況に合わせ連休明け以降や平日での参加ができないか検討してみてください。
自分の力だけで現場に行けますか。
スケジュールを考えたら安全を考慮し、無理のない経路と時間で被災地までのルートを探します。方法はいろいろですが、できるだけ現地の交通状況を調べて、行けるところまで公共交通機関を利用します。宿泊先は、活動したいエリアから少し離れた、被害のない(小さい)都市を選びます。よほど装備が整っていない限り、活動エリアから徒歩圏内で宿泊するのは困難です。
自分の力では行けない、という方はボランティアバスツアーなどを探すことになりますが、タイミングは自分で合わせるしかありません。地元の市区町村社会福祉協議会に相談(※改めて注意。被災地の社会福祉協議会に問い合わせないでください!相談するなら地元市区町村の”社協”です)してみると、情報を提供してもらえるかもしれません。
「活動をやめる勇気」を持てますか。
最後に考えてほしいのは「活動をやめる勇気」です。現地へ行って活動する勇気と同じくらい大切な、それでいて持つことがとても難しい勇気です。ですが、この勇気がなければ、体調を崩したり、ケガをしたりしてしまう可能性が高くなり、被災された方々や、同じ現場で活動するボランティア等に迷惑をかけてしまいます。「活動する勇気と、活動をやめる勇気を、一緒にポケットに入れて、すぐに出せるようにする」ことがポイントです。
「被災地主体」を忘れずにいれば、ひとりひとりの想いが力になる
大切なのは「被災地(被災された方)主体」という考え方を忘れないことです。「こんな災害ボランティア活動をしたい、いつ頃したい」という想いは理解しますが、それはあくまで”したい側”の都合に過ぎません。
被災地へに行きたいと思っている方は、現地の災害ボランティア情報をよく確認し、災害ボランティアセンターの要請や募集を待って活動してください。何もしないのは嫌だという方は、募金をしてください。
また、災害ボランティア活動に対して周囲でいろいな意見があると思います。もしご家族や友人、身近な人から強い反対があった場合、それを押し切っても行くべきではないと考えます。何か理由があってのことでしょうし、よく話し合ってください。身近な人と理解し合うことができない人が、被災された方と落ち着いて向き合えるとは思えません。
自らの意思も固く、周囲の理解も得られ、然るべき手続きを踏んで活動するならば「ボランティアや支援の内容・期間に関わらず、あなたの想いや行動は、きっと被災された方の力になることでしょう。
もちろん、不注意や不用意から何かトラブルを起こしてしまい、力になるどころか迷惑をかけてしまうかもしれません。もし万が一何かケガをしたり体調不良になったり、トラブルが起きてしまったときは、隠したりごまかしたりせず、必ず災害ボランティアセンターや活動の責任者等に報告して、対応を確認するようにしましょう。
既に各所から発信されていますが、公的な支援・救助の妨げになるような行動(個人の支援物資送付、被害の大きい地区への一般車両の通行等)は避けてください。皆さんの想いと行動が必要とされるのは、これからです。今すぐである必要はありません。
そして、たとえ思っていたような活動ができなかったり、失敗しても、落ち込んだり、自分の無力さを責めたりする必要はありません。それは誰にでも起こり得ることだからです。ただし、現地の災害ボランティアセンターで支援者・関係者を責めるようなことは絶対にしないでください。ゆっくりと休んで、考えて、落ち着いたらまた行動しましょう。
本記事が「何かをしたい」と考えている方々のヒントになれば幸いです。