都区内大学で災害ボランティアセンター模擬体験 活動の流れや注意点を学ぶ

東京都区内の大学ボランティアセンター主催で、社会福祉協議会・区民ボランティア団体協力のもと「災害ボランティアセンター模擬体験講座」が行われました。

令和6年能登半島地震での支援活動を予定している学生さんもいることを踏まえ、東京ボランティア・市民活動センターによる支援プログラム に参加した方による報告の後、災害ボランティアセンターで用いられる用語と流れ、被災された方の状況を踏まえた活動の注意点などを説明しました。

本稿では講座の経緯や全体の流れ、ポイントなどをご紹介します。

目次

実施の経緯 ~大学と地域の連携~

被災地域においては社会福祉協議会(災害ボランティアセンター)や地域住民の方との関わりは欠かせません。それは地元が被災した時でも、遠くの被災地へ支援に行くときでも変わりません。自分自身の活動経験も踏まえ、筆者は防災や災害ボランティアに関して大学と地域(自治体、社会福祉協議会、住民等)の連携が重要と考え、活動しています。

今回、講座を実施された大学では職員の方が社会福祉協議会・ボランティアセンターの運営や災害ボランティアネットワーク等に関わられています。

そうした日頃からのつながりを踏まえて本講座が企画・実施されました。なお、本講座に先立って 災害対応カードゲーム教材「クロスロード」 を用いたミニ講座も行っています。

体験講座の流れ

体験講座は以下のような流れで行いました。

被災者支援ボランティア・プログラム参加報告と体験談

冒頭に、東京ボランティア・市民活動センターによる被災者支援ボランティア・プログラム(石川県輪島市・穴水町を中心とした地域での交流・支え合いの場[サロン]づくり)に参加された、区民団体の代表者の方と学生さん(他大学)から参加報告と体験談をお話してもらいました。

具体的なスケジュールや現地での活動内容、実際に参加してみて感じたことなどをお話いただきました。実際に参加された方からお話を聞くことで具体的な活動をイメージすることができた、という感想がありました。

災害ボランティアセンター模擬体験① 受付~資機材貸与

災害ボランティアエンター模擬体験では、まず『受付・オリエンテーション・マッチング(個別説明)・資機材貸与・送り出し』までの一連の流れを体験してもらいました。

災害ボランティアセンターオリエンテーションの様子
受付~オリエンテーション

受付では地元社会福祉協議会(ボランティアセンター)のマニュアルに定められた様式に、実際に記入して提出する、というところから始めました。昨今はオンラインによる事前受付フォームが主流ではありますが、直接記入してみると気がつく、考えることもあります。

オリエンテーションでは写真のような形で、今日の天候・気温、注意事項、予定されている活動件数、必要なボランティア数などを説明しました。

マッチング ※氏名はぼかしています

続いてマッチングでは活動(水害後の被災家屋清掃・片付け)を選択してもらい、数名ずつのチームに分かれました。活動内容は全て同じですが、被災された方々にはそれぞれの世帯、個人に事情があります。

チームごとにリーダーを決めてもらい、リーダーさんにそれぞれの依頼ごとの詳しい状況を説明しました(体験では状況が書かれた用紙も配布しました)。

活動内容を確認したら、資機材(が書かれた付箋紙)を受け取って現場へと向かう、という流れです。

災害ボランティアセンター模擬体験② 活動内容~被災された方との接し方

送り出しのあとは現場での活動です。現場での活動では、それぞれの依頼者の状況に応じてどのような活動ができるか、被災された方と接する時にどのような注意が必要かなどを話し合ってもらいました。

被災された方の状況を踏まえた活動を検討

同じ「水害被災後の家屋の清掃・片付け」だとしても、そのまま自宅の2階で生活されている方や避難所で生活されている方、家屋の清掃以外のニーズ(要望や困りごと)をお持ちの方など様々です。ただ作業をする、ということだけでなく「活動を通して、被災された方と接する」とはどういうことなのかを考えてもらいました。

災害ボランティアセンター模擬体験③ 活動報告

②での話し合いをもとに「今日一日活動してきた」と想定した活動報告を行ってもらいました。例えば資機材として一輪車が貸与されましたが、道路状況が悪くてうまく動かせなかった等、具体的な想定が感じられる報告もありました。

それぞれのチームから報告を受け、明日の活動にどうつなげていくかを説明して体験は終了しました。

感想・まとめ ~きっかけを作ることの大切さ~

参加者からの感想を抜粋してご紹介します。

  • ボランティア活動の第一歩として有意義だった。
  • 活動内容や当日の流れが分かったので、参加した時に同様しなくて済みそう。
  • 現場の状況や気付きを共有し、次につなげていくことの大切さを学べた。

被災地での災害ボランティア活動については、関心を持っていてもなかなか学ぶ機会やきっかけが少ないものです。

民間団体や市区町村社会福祉協議会等では災害ボランティアの講座も実施されていますが、自分が通っている大学でこうした講座があると、気軽に参加できるのではと思います。

いろいろな大学でこうした「きっかけ」が増えてくれることを願っています。

災害ボランティアセンターオリエンテーションの様子

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