2024年7月、中野ボランティアセンター主催「中学生・高校生・専門学生・大学生対象 災害ボランティアの基礎講座」を担当しました。当日の内容やポイントのうち、特に実技体験の部分をご紹介します。
※文中掲載の写真は、参加者の方の使用許可を得たものを中野ボランティアセンターよりご提供いただきました。
はじめに 「備え」と「支援」の大切さ
本講座のタイトルは「災害ボランティアの基礎講座」ではあるのですが、チラシに記載のとおり、防災食や災害トイレの体験防災ゲームなどが含まれています。これは筆者が災害ボランティア講座や防災教育研修でもお伝えしている「備え」と「支援」の大切さに関わります。
まず「備え」は言わずもがな、きちんと備蓄や対策をしておくことで被害を小さくすることができます。一方でどんなに個人で備えをしても、ライフラインの被害、売り場に品物がない、公共交通機関が動かない、といった被災の状況は変わりません。
被災後の暮らしのためには「備え」だけでなく、適切なタイミングで、適切な内容の「支援」が必要です。筆者は災害ボランティアの立場ですが、ライフライン・物流・道路や線路の復旧など、あらゆる「支援」が被災地には欠かせません。
本稿でご紹介する実技プログラム以外の時間ではこうした防災や災害ボランティア活動の大切さ、具体的な活動方法・内容などについてお話しました。
体験プログラム紹介① 非常食づくり体験+試食
冒頭は完成までに時間のかかる「非常食づくり」から行いました。様々な味の非常食に「野菜ジュース 1缶」を入れるという方法です。カゴメ株式会社のホームページでも紹介されています。
他のプログラムを実施後に試食してもらいましたが「思ったよりおいしい」、「白米だけだとちょっと…塩分が欲しい」といったご意見がありました。「塩分さえあれば、だいたいのものはイケる」という、血圧の心配な筆者には難しい若者ならではの意見もありました。
野菜ジュースだけでなく、野菜スープを使うことでリゾット風になったり、和風の非常食を洋食風にしたり、と栄養面を考えながらおいしく食べることができます。詳しくは上記のリンクからご確認ください。
体験プログラム紹介② 災害トイレづくり
食事の確保よりも先に求められるであろう、トイレの確保に関する体験です。実際に被災地で使用された仮設トイレの状況や段ボールトイレの事例などを紹介し、実際にトイレづくりを行ってもらいました。
ダンボールによる応急トイレは、汚れたトイレに座りたくないときに個室で使ったり、和式トイレの上に乗せて簡易の洋式トイレにアレンジしたりといった使い方ができます。人が座っても壊れないダンボールトイレの作り方は、以下の記事をご覧ください。ぜひ記事を参考にご家庭にあるダンボールで一度は作って、座ってみてください。
体験プログラム紹介③ 災害対応カードゲーム「クロスロード」
最後の体験プログラムは 災害対応カードゲーム「クロスロード」(京都大学生協) 災害ボランティア編を実施しました。クロスロードは特定の立場、場面で起きる様々な事態に対しYES/NOで回答するというカードゲームです。「座布団」と呼ぶポイントを集めたり、他の人の意見を考えながら回答したり、様々な実施方法があります。
災害ボランティアとしての具体的なケースワークになる問いかけもあり、各グループで積極的な意見交換が行われました。
大学生による被災地支援活動体験談
令和6年能登半島地震の支援活動に参加した大学生から、体験談をお話してもらいました。
「実際に現場で活動してみなければ分からないこと、得られないことも多いので、ぜひ積極的に参加して欲しい」といったお話に参加した学生の皆さんも耳を傾けていました。
まとめ 防災も災害ボランティアも「行動する」ことから
大学生による体験談、そして防災・災害ボランティア講座の中で強調したのは「行動する」ことの大切さです。それがどんなに小さなこと、わずかなことであっても、気がついたら行動する!というのがポイントです。
いきなり個人で現地に行くのは時間的にも金銭的にも難しいこともあります。その場合はまずは募金から始めたり、社会福祉協議会やNPO等で実施している支援プログラムに応募して負担を軽減する、という方法もあります。
関心のある方はぜひ、お近くの社会福祉協議会(ボランティアセンター)で相談してみてください。情報を提供してもらえると思います。もちろん、本ブログからでも結構です。お気軽に お問い合わせ ください。