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在宅避難・車中泊の知恵袋~おうちでサバイバル7つのポイント~

自宅や車で避難生活をする際に役立つポイントをまとめました。

※令和元年台風19号の接近に伴い記事内容を更新しました。

まずは地震も台風も同じ「5つの危険」対策

地震でも台風でも共通する「5つの危険」があります。それは

  1. うごく
  2. おちる
  3. とぶ
  4. たおれる
  5. われる

です。たとえばベランダにおいてあるプランターや固定されていない洗濯機やテーブル、テレビ等は「うごく」「とぶ」「たおれる」可能性があります。窓ガラス(家だけでなく車も)は「われる」可能性があります。木や電柱、地震の場合はタンスや冷蔵庫などは「たおれる」可能性があり、看板などは「おちる」可能性があります。

細かな対策は各サイトなどでご確認いただければと思いますが、この5つの危険について対策をする、できれば近づかないということが大切です。

生活維持に必要なのは『トイレ・食事・睡眠』

自宅や避難所での避難生活をできるだけ体調を崩すことなくのりきるためのポイントは、『トイレ』、『食事と水分』、『休息・睡眠』の3つをしっかりと確保することです。たとえ電気やガスや水道が使えなくても、ちょっとした工夫と備えがあれば、家庭や避難先でこの3つを確保することができます。

本記事では、ライフラインに被害はあるものの、自宅の安全が確保できているという条件で避難生活をする『在宅避難』についての具体的な備えと工夫をご紹介します。

災害情報収集・伝達や安全確保に停電対策を!

在宅避難での課題は、情報を自ら手に入れなければならないという点です。おすすめは防災アプリをインストールして定期的にチェックすること、TwitterやLINE、Facebookなど速報性が高く、使い慣れているSNSで確認することです(SNSの場合はデマ情報に注意する必要があります)。

スマートフォンやラジオが重要なツールになりますが、停電すると使えなくなる可能性があります。モバイルバッテリーやポータブル電源の備えが必要です。

また、安全のために懐中電灯/LEDライトを用意しているという方も多いと思いますが、家族1人に最低でも1つ、できれば各部屋や玄関など、複数箇所に用意しておくことをおすすめします。ランタンタイプのものがあると便利です。

モバイルバッテリー・ポータブル電源・LEDライト/ランタン、いずれも豊富に種類がありますので、価格や機能をよく調べて用意してください。使ってみなければ分からないこともありますので、早めに購入して日頃から使うようにしてください。

おうちでサバイバル(在宅避難・車中泊)の7つのポイント

在宅避難や車中泊をする際のポイントを7つにまとめました。

【1】まず一週間をのりきるための”水”を備えよう

まず重要になるのが飲料水です。断水してしまい水が手に入らなくなると、在宅避難は困難です。高層階に住む方や、ご年配の方はもちろん、誰にとっても停電時に重い水を何度も取りに行くのは大変です。

では、どれくらいの備えをしておけばよいかというと『家族が一週間、飲み水を買わなくてもよいくらい』とお伝えしています。『飲み水』なので、ミネラルウォーターである必要はありません。ペットボトルのお茶やジュースでもよいのです。

わが家(家族4人)では2リットルの災害用保存水6本入りを3箱、50Lのコンテナ1つ分くらいのペットボトル飲料水(お茶やスポーツドリンク、子供用の飲み物など)を普段から飲んでは買い足す「ローリングストック」で常時置いています。

通販サイト等でもいろいろな種類が販売されていますが、いずれも台風の接近などが報道されるとあっという間に在庫切れになりますし、直前だと配送が中止される、間に合わないこともあります。常備するように心がけてください。


水は飲料水以外にも生活用水(トイレを流す、身体を洗う、汚れを落とすなど)も必要です。普段から『お風呂の残り湯を溜める』のも有効ですが、小さな子供やペットがいる家庭では安全に十分注意してください。

台風など事前に想定できる場合は、断水が発生する前(雨風が強まる前など)に、早めに入浴は済ませておき、残り湯を溜めておくか新しくお湯を張っておくとよいでしょう。

ウェットティッシュ、ボディシート、マウスウォッシュのほか、食品包装用ラップも多めに購入しており、なるべく無駄な水を使わずに乗り切れる備えをしています。

【2】携帯・非常用のトイレを確保

災害時のトイレ課題は深刻です。安心して食事や水分をとるためには、トイレに行けることが前提となります。在宅避難時、家庭のトイレを断水・停電時でも使えるようにするためには、携帯・非常用トイレなどを備えることが必要です。

お風呂の残り湯で流すといったことも可能ですが、配管が壊れていたり、詰まりがあると想定外の場所から汚水が漏れ出したり、逆流したりといった可能性があります(特に集合住宅では禁止されている場合もあります)。

携帯トイレの安心できる備蓄数量の目安としては【家族の人数×5回×7日分】くらいと良いと言われています。市販されている携帯トイレはいろいろな種類がありますので、商品説明をよく読んで使用してください。


もう少し詳しく知りたい方は 日本トイレ研究所『災害用トイレガイド』 が参考になりますので、ぜひご覧ください。

携帯トイレがない・使い切ってしまった場合は、ビニール袋と新聞紙等で代用することができます。

(1)新聞紙2枚とビニール袋45リットルを2枚用意します。

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(2)新聞紙1枚を4つに折りビニール袋の底に敷きます。

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(3)もう1枚の新聞紙を文字に沿って縦にビリビリと裂きます。


(4) (2)の上に(3)の新聞紙を空気を含むように丸めて入れます。


(5) もう1枚のビニール袋を便座にかけて(4)を重ねて使います。

 
自宅のトイレをつかうときのコツは携帯トイレでもビニール袋+新聞紙でも「便座を上げた状態で、ビニール袋を予め1枚かぶせておく」ことです。便器の中には汚臭を防ぐために水が張ってあります。便器の中の水は抜かずに、ビニール袋をかぶせ、上から携帯トイレ等をつかうことにより、衛生的に使えます。

消臭・消毒剤は家族や自分が好きなものを使うと良いですが、あまり匂いが強いと気分が悪くなることがあります(被災地の仮設トイレ清掃中に大変だった経験があります)。

何らかの事情でトイレが使用できなくなった場合はダンボール等で応急的なトイレを作ることができます。こちらについての作り方(慣れれば30秒くらいで作れます)は割愛しますが、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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【3】家庭にある”備蓄倉庫”を有効活用!

ほとんどの家庭には冷蔵庫があり、何らかの食材や調味料があります。また、キッチンまわりには乾麺・乾物やインスタント・レトルト食品などもあります。これらを有効に活用することが在宅避難のポイントです。詳しくは下記のイメージ図を参考にしてください。

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なお、筆者のおすすめは「野菜ジュース・スープなどを備蓄しておく」ことです。避難が長期化すると野菜やミネラルの不足が体調不良につながります。長期保存可能な野菜ジュースなども販売されています。

【4】温かい食事にはカセットコンロが大活躍!

家庭のキッチンにある備蓄を活用するためには、お湯が重要になります。前述した飲料水を効率よく温められるよう、家庭用のカセットコンロがあると便利です。

家庭のガスコンロで固形燃料を使うのもガスが復旧するまでは有効です。カセットボンベに比べて火力、時間とも限られますが、やかんや鍋の水を煮沸するくらいなら十分な火力があります(サイズは30g以上をお勧めします)。

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ご家庭にある「お米」を有効活用する方法として、炊飯袋と呼ばれる専用のビニール袋があります。お米とお水を入れて煮沸するだけでお米が炊けますので、カセットコンロとセットで用意しておくと、いつものお米が備蓄食に変わります。

【5】いざという時役立つ「ぼうさいレシピ」を考えておく

いろいろなぼうさいレシピがありますが、ポイントは次の4つです。このポイントを踏まえて、家族や自分の好みで、考えてみるとよいでしょう。ご家族にアレルギーをお持ちの方がいたら、避難所での炊き出しや救援物資にアレルギー物質が含まれている可能性もあります。できるだけ家庭にあるもので調理できるよう、備蓄や調理方法を工夫してみましょう。

ゼリー飲料などは食事が喉を通りにくい時でも食べやすい、飲みやすいですし、栄養補助食品としても役立ちます。小さな子供やご年配の方でも、汚れにくく、栄養や水分を取れるので備蓄しておくと安心です。

  1. 家庭によくあるもので、長持ちする材料を使える。
  2. 味や固さの調整が簡単で、飽きにくい。
  3. 温かさが長持ちする、または冷めてもおいしい。
  4. 分量などが適当(計量器等を使わない)でも、失敗しにくい。

代表的なレシピを2つ、ご紹介します。

「かんたんのり巻き(オイルおむすび風アレンジあり)」

材料:パックごはん1袋(100g)など、海苔1/2枚、漬け物など(子ども向けには魚肉ソーセージやハムチーズ、ふりかけご飯でも)、サランラップなど。

具材は冷蔵庫にあるものや、家族の好みに合わせてアレンジします。

  1. ラップに海苔を乗せて、温めたご飯(混ぜご飯)を広げます。
  2. 芯にお好きな具材を入れてくるくると巻いて軽く形を整えます。
  3. ラップをお皿に乗せる、またはそのまま食べることでお皿が汚れません。
  4. オリーブオイル+ハムチーズや、ごま油+塩昆布などを加えた「オイルおむすび」風にすると、冷めてもしっとり美味しく食べられます。
「乾パン入りスープ」

材料:インスタントスープの素1袋(コーンポタージュなどは冷めにくく、かつ冷めてもおいしく食べやすい)、お湯、乾パン(砕いて少しずつ)、塩コショウ

カセットコンロや固形燃料、飲料水が必要ですが、身体を芯から温めます。非常食として使われる乾パンなどを有効に使って満足感も得られます。

  1. コップなどにスープの素を入れ、お湯(適量)を注いでよく混ぜます。
  2. 乾パンを入れて、塩コショウで味を整えて完成!
  3. そのままだと「モサモサ」して食べにくい乾パンをスープに加えることで、食べやすくします。
  4. ボリュームを出したいところですが、一度に入れすぎると水分を吸ってしまい食べにくいです。

【6】暑さ・寒さ対策をして、しっかり休もう

避難所ほどではないとはいえ、停電の影響で空調機器が使えなくなる場合もあります。避難所で生活するときと同様に、暑さ・寒さへの備えが必要です。暑い時期は水分、塩分補給をしっかりと行い(スポーツドリンクなどの備蓄も有効です)、風通しを良くします。寒い時期は布団や毛布を上手に使います。ただ、火を使う場合はくれぐれも火災に注意してください。

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普段から、家のなかでテントや寝袋の練習をしておくのもいいですね。

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車をお持ちの方は車中泊も選択肢のひとつです。定期的に体を動かす、水分をしっかりとるなど「エコノミークラス症候群」対策をしてください。

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【7】災害時のストレスケアについて知っておこう

避難所での生活に比べ、在宅避難ではプライバシーの面や防犯上、ストレスはいくらか軽減されます。ですが日常とは異なる生活が続くことは、心身に大きな負担になります。

いつもは子ども、家族に優しく接することができるのに、つい厳しく当たってしまったりすることがあります。そんな時のために災害時のストレスについて知っておきましょう。

なお、以下のチェックリストに記載する項目は「誰にでも起こり得ること、起こって当たり前のこと」です。「精神的に弱いからだ」とか「頑張ればなんとかなる」と思わずに、後述するセルフケアを意識してください。

★★ 災害時のストレス反応チェックリスト ★★
心理及び感情面
 □何も感じない(感情の起伏がなくなる)
 □寝られない □普通ではないくらいの不安、恐怖感
 □孤独感 □疎外感 □イライラ □落ち込み □怒り
 □生き残ったことへの罪悪感

身体面
 □頭痛 □手足のだるさ □虚弱感 □喉のしこり
 □胸の痛み □吐き気
 □下痢 □胃腸障害 □食欲不振 □めまい
 □しびれ □アレルギーの症状が出る、悪化する

思考面
 □集中困難 □思考力の麻痺 □混乱 □無気力
 □短期の記憶喪失 □判断力や決断力の低下
 □選択肢や優先順位を考えつかない

行動面
 □怒りの爆発 □けんか □過激な行動 □家族間のトラブル
 □ひきこもり □社会からの孤立 □飲酒や喫煙の増加
 □拒食・過食 □子ども返り

当てはまるものがあれば、次のセルフケアをいくつか試してみてください。

  • 経験を誰かに話し、自分も聴く(話すときは「出来事」、「考え」、「気持ち」の順にすると語りやすいです。気持ちから話そうとすると、まとまらないことがあります)。
  • 深呼吸し、リラックスする。
  • 触れる、抱きしめるなどのスキンシップをする
  • 運動して身体をほぐす。
  • 楽しみを見つけ、気分転換する。
  • お酒、薬などでまぎらわさない。
  • 栄養のバランスをとる。
  • 計画をたて、無理をしない。
  • 自分を責めない。
  • つらさを独りで抱え込まず、助けを求める。

自分や家族を勇気づけ、苦しいときは助けを求めよう

前述したように、在宅避難は家にいられるというメリットがある反面、避難所等と違って情報を伝えてくれる人がいるわけではありませんので、状況によっては孤立してしまう可能性があります。特に一人暮らし世帯などは、隣近所とのお付き合いも限られると思います。かといって、状況が状況ですので、すぐに仲良くなるというのも難しいことでしょう。

SNSを使って友人と連絡をとりあったり、家族と一緒に楽しい思い出の写真を見たりして、自分や家族を勇気付けることも大切な知恵のひとつです。

個人差はありますが、そうしたことが特に支えになる、と感じた方はぜひ知っておいてください。写真はアルバムだけでなく、クラウドサービスやパソコン、USBメモリやハードディスクに保存しておくのも良いですね。

なかなか相談、連絡できる人がいないときは、ぜひお近くの社会福祉協議会が開設する災害ボランティアセンターに連絡してください。下記のサイトで、現在開設されている災害ボランティアセンターの情報などが分かります。

被災直後は役所や公的機関などが迅速に対応できない場合もあります。災害ボランティアセンターでは、片付けや各種相談など、ボランティアによる支援で対応してくれる場合があります。遠慮することなく「助けてほしい」というメッセージを発信してください。必ず、支援してくれる人がいるはずです。

全社協 被災地支援・災害ボランティア情報|全国社会福祉協議会

※SNSで助けを求めることは有効な場合がある反面、個人情報を掲載すると様々なトラブルにつながる可能性もあるので注意してください。

【参考情報】在宅避難の必要性と課題

以下は2016年執筆時に記載したものです。防災教育に携わられる方などで小ネタが必要な際にご利用ください。

首都圏における過密人口と防災用地の課題

2015年時点で一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の人口はおよそ3,600万人です。うち神奈川県は910万人となります。東北6県(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)の合計人口がおよそ900万人ですので、神奈川県ひとつと同じくらいということになります。日本の総人口が1億2,000万人程度ですから、総人口の3割が首都圏に集中しているという状況です(平成28年時点)。

平成28年熊本地震では多くの家屋被害があり、学校・体育館や公園等で避難生活をしている方の映像をご覧になった方も多いと思います。単純比較はできませんが、熊本県の人口は約182万人、面積は7,404キロ平方メートルです。対して東京都の人口は約1350万人、面積は2,188キロ平方メートルです。都市計画上、対策は進められていますが、公園や体育館など災害対応や広域避難に必要な避難(所)スペースは限られます。

大規模な公園や施設は防災・救援活動拠点に指定されていることがあります(残念ながら市区町村の防災マップやハザードマップからはこの点が分からないことが多いため、改めて別記事を書きたいと思います)。消防・警察・自衛隊等の活動拠点となり、一般の方が利用できない場合もあります。「市民が利用できる場所」には人が集中してしまい「(人が多すぎて)とても避難所にはいられない…!」という状況になることも考えられます。

800万人を超えると言われる「帰宅困難者」

こうした課題をさらに過酷にするのが、帰宅困難者の課題です。帰宅困難者とは、一般的に被災した場所から自宅までがおよそ20km以上あって、徒歩などでの帰宅が難しい人たちのことをいいます。「一般的に」というのは、距離に関係なく何らかの事情で帰宅できない方もいるため、あくまで被害想定上の物理的条件を指します。2012年1月に東京都が発表した資料によると、東日本大震災では東京都で約352万人、首都圏で515万人が帰宅困難者として推計されています(但し、10代が含まれていないので都立・県立高校生などを含めるともっと多い可能性が考えられます)。

今後、発生が想定される都心南部直下地震などによる首都圏の帰宅困難者数はおよそ800万人とも言われており、その人数がいかに多いかを都道府県人口で比較すると東京都・神奈川県・大阪府に続く第4位、愛知県の総人口750万人を上回るほどです。平日の昼間、首都圏には一体どれほどの人がいるのか。そこで大地震が発生したらどうなるのか。想像を超えるような”過酷な事態”が待ち受けています。

帰宅困難者対策の基本的な考え方|東京都

災害時要配慮者やペットなど個別性の高い課題

高齢、障害、乳幼児や妊産婦、ペットといった生活環境により、避難所に行きたくても行けないという事態も想定されます。また、ペットを飼っている方も少なくありません。限られたスペースに多くの人やペットが集まれば、それだけトラブルや二次災害も起きやすくなります。「在宅避難」は配慮の有無に関わらず、首都圏で生活する方にとっては欠かせない選択肢のひとつです。この点についても、後々独立した記事でご紹介していきたいと思います。

想定される過酷な事態「モノ不足、トイレ、ゴミ」

人(ペットも)が多ければ、必要となる物資の量、排出されるゴミの量も多くなります。

帰宅困難者の課題は深刻で、帰宅困難者が帰宅する途中で近隣の避難所などに移動して、備蓄物資を受け取ったとします。基本的に備蓄物資は住民の人数で用意していますから、数が足りなくなる可能性があります。使ったものなどゴミは捨てられ、救援物資だけ持っていかれるとあっては「帰宅困難者には何も渡すな」という声も挙がるかもしれません。

ただ、自分が逆の立場になることも考えられます。東京都は都立施設などを「帰宅困難者支援ステーション」として、帰宅困難者を受け入れるとしています。避難所と帰宅支援ステーションがうまく機能するような誘導・案内などが必要とされます。

仮に帰宅困難者が何も受け取らずとも、物流が再開されなければ、やはりモノ不足は深刻です。さらに課題になるのが「トイレ」と「ゴミ」です。

災害時のトイレ問題

首都圏の下水処理施設や水道に被害があった場合、家庭や学校のトイレが使えなくなる可能性があります。日本トイレ研究所が発行するレポートによると、東日本大震災では仮設トイレが避難所に行きわたるまで3日以内だった自治体は34%でした。つまり多くの自治体、避難所では仮設トイレの整備に4日以上かかる可能性があるということです。発災から9時間以内に78%の方がトイレに行きたくなった、という調査結果もあります。限られた数の仮設トイレが集中して使用されれば、清掃や処理は追い付かなくなります。筆者が新潟県中越大震災(2004)で川口町の避難所で活動した際は、仮設トイレ清掃だけで1日が終わりました。かなりの数が設置されていましたが、やはり清掃や処理が追い付かず、とてもボランティアによる清掃では手に負えないような山盛り状態の仮設トイレも数多くありました。

そうした状況では安心して飲んだり食べたりできず、排泄もできず、体調を崩してしまう方もいます。「在宅避難」でたとえ断水しても携帯トイレ等を家庭で使えれば、こうした課題は大きく軽減されます。

東日本大震災 3.11のトイレ|日本トイレ研究所

災害時のゴミ問題

人が食べたり飲んだり、生活すれば大量の「ゴミ」が出ます。その回収や処理が充分にできなくなるかもしれません。避難所となる学校や道路、ゴミ置き場にゴミが溢れる…なんて事態にもなりかねません。前述した携帯トイレも、その後は処理をしなければなりません。行政が指定した場所に、まとめて廃棄することになりますが、すぐに回収に来てもらえるわけではありません。かといって、ベランダや庭に放置すれば悪臭や、カラスによる散らかしなどの原因になりかねません。

長ければ1週間以上、ゴミを各家庭で保管しなければならないかもしれません。我が家のベランダにも設置していますが、匂いなどをある程度遮断できる大きめのボックスがあると安心です。もしゴミ出しをする際は、避難所や役所などでゴミ出しについての情報を確認し、指定された場所に捨てるようにします。いつものようにいつもの場所に出しても回収されず、それを見た人がさらにそこに捨てて…という悪循環になり、結果としてその地域や集合住宅の衛生環境が悪くなってしまう可能性があります。

感染症や食中毒への対策も

2020年4月時点、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、社会生活に大きな影響が出ています。「3密(密集・密室・密接)」を避けることが重要と言われていますが、避難所では3密を避けられません。とはいえ避難所で3密対策を講じることは、物理的な課題(スペース確保、マスク・消毒液の用意、医療従事者との連携など)から難しいでしょう。

「おうちでサバイバル(在宅避難・車中泊)」は、避難所に行かないという点で災害時の感染症対策として効果はありますが、まったく家から出ないというわけにもいきません。また、冬場であればインフルエンザ、夏場なら食中毒など、季節によっても常に保健衛生上の課題があります。

2020年4月時点ではマスクや手指消毒液等は入手が困難ですが、こうした衛生用品は在宅避難時の感染症や食中毒対策としても重要です。

積極的に外出し、助け合いの輪に加わる大切さ

在宅避難ができたとしても、その地域で大きな被害が出ていること、困っている人たちがいることには変わりありません。「在宅避難でなんとかなるから」と家に閉じこもっていると、情報が手に入らなかったり、近隣住民による共助=助け合いの輪から外れてしまうことがあります。自分から情報を集めに行く、状況を発信するなどして、積極的に助け合いの輪に加わるようにします。

東日本大震災後に行われた内閣府によるヒアリング調査では、被災前に自治会など地縁活動に取り組んでいた人は、支援することも受援(支援を受けること)することも比率が高かったという結果が出ています(内閣府・下記)。また、SNSを介した支援も行われるようになっています。

筆者は近隣世帯のご家族(たまたま家族構成が近い方が多いこともあり)とも親しくさせていただき、何かあれば、いつでも助け合えるようにしています。

共助による地域防災力の強化[PDF]|内閣府

本稿が、ご家庭や施設での備えの参考になれば幸いです。

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