中学校で先生による「災害想像力を高める」ワークショップ

本日は都内の中学校にお伺いして「災害時、中学生にできること」をテーマにした講演会と、災害想像力を高めることを目的としたワークショップのサポートの二本立てでした。本稿では講演やワークショップの流れ、ポイントなどについてまとめています。実際に授業で使用した教材についてもダウンロードできる記事についても紹介していますので、関心のある方はぜひ、関連記事も合わせてご覧ください。

目次

講演内容

講演では、40分程度の時間を使って

・東日本大震災の状況
・釜石東中学校生徒の行動
・地震災害の基礎知識
・中学生にもできる災害ボランティア活動例

などをお話ししました。

ワークショップの内容

その後、教室へ移動してワークショップです。ワークショップは筆者が指導するのではなく、各クラスの担任の先生にご指導いただきました。使用した教材は災害時の状況をイメージするためのトレーニング・ツール「目黒巻き」です。

今回は同教材を中高生対象に授業で実践できるよう、目黒研究室・東京都福祉保健局・東京都教育庁等のご協力でアレンジさせていただいた「授業用目黒巻き」を使いました。授業用目黒巻きについては 下記の記事 をご覧ください。

ワークショップのようす
ボランティアの方にも指導をご協力いただきました

授業の展開

授業の展開は次のとおりです。

① 5分で資料配布と説明
② 25分でシートの書き込み(個人で。難しければ話し合いを許可する)
③ 15分でグループ振り返り(班内で発表しあう。時間があれ他班もチェック)

短い時間ながらワークシートにはさまざまな書き込みが見られました。

・171で親と連絡をとる
・先生がケガをして動けない
・火事が心配だから急いで帰る

など、ひとりひとりが自分が想定する状況を自由に書き出していました。

このワークショップは、たくさん書くことや正しい行動を書くことが目的ではありません。もちろん、正しい(と思われる)行動がたくさん書けていれば、素晴らしいことです。ですが、防災についてまだ勉強した機会が少ないのですから、知らない、分からないことも多く、書けなくても悪いことではありません。

お互いのシナリオについて話し合う

大切なことは「自由に考える時間」が与えられることです。それはつまり、自分が災害状況を想像できる・できないことを、自覚する時間があるということです。言い換えると「自分が想像できない、知らないこと、気付いていないことに備えることはできない」ということです。

答えがわからない時こそ「自分で考える」力が求められる

たくさん書けた生徒は、自分が書いた内容がそれで正しいのか、間違っているところはないかを確認するために今後、学習したり備えたりしていけばいいですし、あまり書けなかった生徒は、これからいろいろ勉強していくなかで書けるようになっていきます。

筆者としては彼らの「防災学習」が大きな区切りを迎えるとき、もう一度この教材にチャレンジしてほしいと思っています。自分たちが学んできたことを、確認できるように。その時は、今回書けなかった生徒ほど、違いがよく分かるのではと考えています。

「目黒巻き」「授業用目黒巻き(「災害状況を想像する力を身につけよう」)」どちらもフリーで使用できる教材ですし、防災教育の導入・中間・まとめ、どの段階でも活用できます。防災教育だけでなく、災害ボランティア養成等でも使える汎用性の高い教材ですので、地域・学校・家庭の防災力向上にぜひご活用ください。

追記

僕が「目黒巻き」をアレンジしたりできるのは、目黒巻きを作成した院生(当時)の方とのご縁があり、保育者向けのワークショップ等をお手伝いしていたことがあり、作成過程や意図、研究成果等についても共有させていただいたためです。「目黒巻き」とは、東大の目黒先生による災害状況想定から被害軽減策を考える「目黒メソッド」を分かりやすく図式化したものです。

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