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都立高校「防災学」授業実践ノート第1回~生徒との防災”共育”を目指して~

平成29年(2017年)10月から、昼夜間定時制都立高校で総合科目「防災学」を担当することになり、現在進行系で授業を担当しています。学校側にもお許しを得たうえで、授業での気付きや学び、使用した教材や資料などを公開していくことにしました。タイトルは都立高校「防災学」授業実践ノートとし、主な公開メディアは「先生のための教育事典 EDUPEDIA」にしました。

EDUPEDIAは先生方はもちろん、様々な方が数多く閲覧されている文字通り「教育事典」サイトです。僕はかねてよりEDUPEDIAのコンセプトには強く共感しており、本数は少ないですが記事も投稿させていただいています。今回の「授業実践ノート」も、EDUPEDIAを通じて、これから防災教育に挑戦する、また現在取り組まれている方々の一助になれば幸いです。

はじめに(御礼)

ノートの記述にあたり、若輩にも関わらず本授業の担当講師としてお招きいただきました校長先生はじめ皆さま、そして授業を選択し成立させてくれた生徒の皆さんに、深く感謝申し上げます。感謝の気持ちは言葉だけでなく、これまでの、そしてこれからの実践をもって伝えていきたいと思います。これから約半年間、どうぞよろしくお願い致します。

「防災学」を担当することになった…何からはじめる!?

教育委員会への申請やシラバスの記載などもあり、「防災学」の依頼はかなり早い段階で(1年以上前から)ありました。半年間全15回に及ぶ継続的な授業は初めての経験です。不安がなかったと言えば嘘になりますが、それ以上に「しっかりと生徒に向き合って、自分なりの”防災”を伝えられる機会」を大切にしたいという想いもあってお引き受けさせていただきました。

目的・目標を整理してみる

「防災学」とはなんとも壮大なテーマです。まずは教える側が、目的や目標をきちんと整理しなければならないと考えました。今回の「防災学」の目的は大きく以下の4つで整理しました。

  • 災害から自らの生命・生活・人生を守るために必要な、科学的根拠に基づく自然災害や防災対策の知識と技能を身に付ける。
  • 自然災害と社会の関わりを理解し、災害発生時の状況に応じて自ら考え、判断し、身を守ることができる思考力・判断力を身に付ける。
  • 災害発生時に他者と助け合い、協力して題解決に取り組むコミュニケーション能力や協働する力を身に付ける。
  • ライフステージの変化に応じて必要な防災対策に主体的に取り組む力を身に付ける。

個々の目的に対する目標として、具体的にどのような内容で行うのかを、大雑把な学習内容を打ち出して整理しました。当初の予定からはだいぶ変わってはいますが、ご希望の方には設置目的などをまとめたWord資料をご提供します。

学習指導計画(案)の決定

「防災学」の計画段階から、学校側でいろいろな事例や先進校の取り組みなどもヒアリングや現地調査もされていたので、ご依頼いただいた時点で具体的な指導計画案がありました。企画・申請段階での内容を、上記の僕なりの目的・目標設定に沿って確認し、最終的には次のような内容で進めていくことになりました。なお、あくまで計画は(案)で、生徒の状況などを見ながらアレンジしていくことを念頭に置いています。

「防災学」学習内容
  1. オリエンテーション(10/17) じぶん防災ノート※説明/アイスブレイク
  2. 自然災害の理解①(10/24) 地震と津波の知識/映像視聴
  3. 自然災害の理解②(10/31) 風水害と噴火等の知識/防災ゲーム
  4. 東京の防災対策を学ぼう(11/7) 防災計画、耐震化/家具固定/初期消火
  5. 個人・家庭の防災対策(11/21) 防災備蓄品について/基礎知識の確認ゲーム
  6. 災害情報の収集と伝達(11/28) 気象・避難情報/防災ゲーム
  7. 防災マップ等の確認(12/5) 港区、自宅周辺の防災マップ確認
  8. 応急救助・応急手当活動(12/12) 救助訓練、心肺蘇生法・AED操法
  9. 避難所の仕組みと運営(12/19) 避難所の基礎/防災ゲーム
  10. 避難生活と体調管理(1/16) トイレ、食事、就寝スペースの確保
  11. 災害時の食事(1/23) 非常食調理実習
  12. 災害ボランティア活動の基本(1/30) 災害ボランティア活動と安全衛生
  13. 災害時要配慮者・ペット支援(2/5) 映像教材視聴/防災ゲーム
  14. 被災後の生活再建(2/13) 生活再建支援、高校生にできること
  15. (仮)災害支援とICT(2/20) 先端技術を用いた防災
  16.  学習のまとめ(2/27)

※じぶん防災ノートについては第2回で解説予定!

生徒が学びに自信と自覚を持てるよう「認定証」を発行の仕組みを整える

上記で緑字にしたのは本「防災学」の特徴として考えている部分です。防災という事前対策の部分だけに限らず、発災対応や災害支援、復興や生活再建にまで至る時系列を踏まえて構成しています。これらの授業内容設定は、僕が所属している『災害救援ボランティア推進委員会』 が行う「災害救援ボランティア・セーフティリーダー養成講座」の科目に準じています。単位修得が認められる生徒には全員、災害救援ボランティア推進委員会発行の「セーフティリーダー」認定証を発行する予定です。

同科目は元々総務省消防庁が災害救援ボランティアとして求められる知識・技能について発出した通知に基づいており、防災学を修得した生徒は、同等の知識・技能を身に付けられるようにしています。具体的な認定証があることは、生徒が防災学で知識・技能を身に付けたことを振り返り、自信をもって行動するきっかけになります。

生徒と共に学び、育つ「防災共育」を目指して

2017年10月17日(火)が初回の授業です。何人くらいの生徒が集まるのか!?どんな反応を見せてくれるのか!?見よう見まねで指導案や板書計画はまとめたものの、果たしてそれが通用するのか!?災害時と同じで、分からないこと、起きていないことを心配しても仕方がありません。「生徒に教えながら、逆に教えてもらう、共に育つ”防災共育”」を目指して頑張りたいと思います。

次回は「オリエンテーションとアイスブレイク」をテーマにご紹介します。

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