2021年11月、公益財団法人石川県県民ボランティアセンターが主催する令和3年度学生等災害ボランティアリーダー育成事業「第2回学生災害ボランティア講座」を担当させていただきました。本稿では同事業や当日の様子などをご紹介します。
学生等災害ボランティアリーダー育成事業について
今回ご紹介する講座は、石川県県民ボランティアセンター、県内の大学、県社協、日赤等の関係者の方々を委員とする研究会が中心となって進める学生災害ボランティアリーダー育成事業の一環で行われています。
以下に同事業の概要を引用します。
石川県内の大学では、能登半島地震や東日本大震災を契機に災害ボランティアサークル等が立ち上げられ、それぞれ独自に活動を行っています。また、企業においても、被災地に従業員を送り出すなどの災害ボランティア活動が行われています。
http://saivolustudy.sub.jp/?page_id=11
一方、甚大な被害をもたらした東日本大震災の被災地での活動環境は大変厳しく、とりわけボランティアリーダーには不眠不休と言っても過言ではない活動が求められ、石巻市では20~40代がその中心となっていました。
こうした現状の上で、地域防災力のさらなる向上を考えていくためのキーワードとして浮かび上がったのは、「若者」「連携・きずな」でした。
そこで、災害ボランティア活動に積極的に取り組んでいる県内各大学や企業、NPOと県民ボランティアセンター、県社会福祉協議会、日本赤十字社石川県支部などが連携を密にし、県内での災害に迅速かつ柔軟に対応できる体制を整えることを目的に本事業を実施しています。
関東圏や同じく北陸圏の富山大学で長く災害ボランティア育成等に関わってきたこともあり、今回のご縁につながりました。筆者の大学・学生等を対象とした活動については タグ:大学生 等の記事もご参照ください。
当日の研修内容
当日の研修は、これまでにも関東圏の大学で実施してきた講座をベースにしながら約3時間の内容で構成し、関東圏の学生の活動を知ってもらうために法政大学チーム・オレンジの皆さんにご協力いただきました。
災害ボランティア活動を行うために
はじめにご紹介したのは「災害ボランティア活動を行うために」をテーマとして、基本的な心構えや支援の流れ、社会福祉協議会と災害ボランティアセンターの役割、安全衛生等についてご紹介しました。地元被災時と遠方支援時の流れの違いなどはnoteでもイラストで紹介していますので、併せてご覧ください。
災害ボランティアケースワーク
続いて演習として行ったのは災害ボランティア活動時のケースワークです。災害ボランティア活動時や、災害ボランティアセンターの運営支援に携わる場合、あるいは被災者として行動する場合など、いくつかの場面に併せて「自分がその人の立場だったらどのように考えるか」についてディスカッションしてもらいました。
法政大学チーム・オレンジの活動紹介
休憩を挟んで行った「法政大学チーム・オレンジの活動紹介」では、Zoomで千代田区の法政大学市ヶ谷キャンパス、学生メンバーの皆さんと会場をつないで行いました。東日本大震災に関する復興支援や、大学における防災キャンプ等について、防災教育教材「防災カルタ」の紹介や体験などを行っていただきました。
大学ホームページでは活動紹介動画も掲載されていますので、ぜひご覧ください。
災害時の組織活動とリーダーシップ
最後のプログラムでは実際の水害支援を想定した図上演習を行いました。
筆者から災害状況を説明し、活動準備・災害ボランティアセンター受付・オリエンテーション・資機材受け取り・移動・活動中・安全衛生管理などの場面に応じた様々な事態に対して、学生・一般・研究会委員の方々それぞれの立場からディスカッションしてもらいました。
まとめ~オンラインがつなぐ可能性を活かして~
終了後、参加者の方からは「とても分かりやすかった」、「具体的な活動のイメージをすることができ、勉強になった」、「グループワークが多くて楽しかった」といったご意見をいただきました。
全国各地で大学・学生による様々な取り組みが進められていますが、オンラインツールの普及はこれらの取り組みをつなぐことができる可能性を持っています。
学生(団体)同士、大学同士という「つながり」はもちろんですが、もう少し大きな視点、都道府県や市区町村、社会福祉協議会や地域の防災関係団体などを巻き込むような「つながり」も災害対応という点では重要かと思います。
こうした取り組みが、大学コンソーシアムや連携体などに関わっている方々や、これから関わっていきたい!という皆さまの参考となれば幸いです。