学校とのつながりが深い、市区町村教育委員会主催による避難所運営研修会が行われました。研修の内容や要点についてご紹介します。今回の研修で使用した教材「避難所運営ゲーム(HUG)」については 下記の記事 をご参照ください。また避難所運営ゲームの購入については 静岡県作業所連合会・わ のサイトをご覧ください。
教育担当部署で実施することの大切さ
避難所は各市区町村で定められている地域防災計画に基づき、主に小中学校や公民館・地区センターなどで開設されます。
「避難所の”運営”は住民(避難者)の手で!」というのはよく耳にするところですが、公に開設するかどうかは市区町村の判断であり、開設する場合は速やかに職員を派遣し対応する必要があります。従って多くの市区町村では防災担当部署に限らず、初動対応人員や、担当避難所が割り当てられています。
今回担当させていただいたところに限らず、学校で避難所運営協議会などの組織体が設置されている場合、防災担当部署だけでなく教育担当部署の職員も会議や訓練に参加することがあります。ただ、そうした職員は一部で、多くの方々は避難所開設・運営についてあまり触れる機会がありません。そのため、こうした研修を行うことで課題や対応について共有し、マニュアル等を改めて確認しておく機会が重要となってきます。
図上演習で想定される課題やトラブルなどがイメージできれば、その後の協議会や避難所運営訓練等でも、より具体的に対策や対応について考えることができます。
部署ごとのグループ編成で具体的に
今回の研修の班編成は、実際の避難所対応業務に準じて、担当部署ごとに分かれて行われました。顔が見える関係で行うことで、よりスムーズな議論や意見交換ができていたように思います。また、該当市区町村内にある大学にもお声がけし、職員の方と学生さんも参加されました。
自治体職員向けHUG研修では記録と振り返りがポイント
HUGでは一般的に演習を実施してみての感想や気付き、対応についての検証やマニュアルとの比較などを行っていますが、今回は自治体職員向けということもあり、振り返りの内容や趣旨を少し変えてみました。
具体的な情報を記録し、市区町村へ報告するために
職員の方々はいわば「市とのつなぎ役」を担うことが想定されます。直接の運営は自主防災組織や住民自身が中心となって行うことができるかもしれません。ですが市区町村の災害対策本部が必要とするような情報、具体的には避難者数や課題、必要な物資・人材などを伝えるのは、基本的に職員の方々の役割となります。
また初動対応人員にしても、応援職員にしても、引き継ぎをする/受けるためには、具体的な情報があったほうがスムーズです。極端な話ですが「一生懸命がんばったのであとはお願いします」では、どうにもなりません。「頑張った」にしても、それはどのようなことに対して、どう対応したことについてなのかが分からないと、次の対応につなげることができません。
演習中からもその点を意識して受け入れを進め、引き継ぎや報告を前提になるべく具体的な情報を記録しておくようお伝えしました。
「5分レク」と「文書化」で要点を整理して伝える
振り返りでは、記録した内容をもとに話し合っていただきますが、その際は2つの条件を設定しました。
1.15分後に市長に対する「5分レク」ができるとしたらどんなことを伝えたいか。
2.災害対策本部に現状のFAXを送るとしたらどんな内容にするか。
時間の都合上、5分レクを想定した発表まで行うことはできませんでしたが、紙面での記録を作成してもらい、事後に皆さんで共有していただきました。
まとめ〜みんなで助け合うために〜
避難所運営ゲームHUGは様々なところで、様々な対象に実施されています。筆者の体感ではありますが、その多くは特定の対象、具体的には住民対象、教員対象、自治体職員対象、あるいは生徒対象などに行われています。
実際には色々な立場の人、外部のボランティアなども含めて運営に携わります。今後はそうした「複合対象型」の研修や訓練へとつなげるためにも、各市区町村等で職員を対象とした避難所運営研修などが増えてくるといいなと思っています。