2023年9月、東京女子大学(東京都杉並区)で 防災講座「地域で取り組む防災と災害ボランティア~楽しく学びしっかり備え~」 が開催されました。筆者が講師を担当させていただいたので、本稿では実施の経緯から当日の内容、今後期待されることなどをご紹介します。
実施の経緯
2015年~2016年にかけて、杉並区発達障害児地域支援講座・発達障害児支援講演会に登壇させていただく機会があり、東京女子大学の 前川あさみ 先生とご縁があったことがきっかけです。当時の取り組みについては 以下の記事をご覧ください。
その際に、大学と地域が連携した防災・災害ボランティアの取り組みなどもお話しました。大学での災害ボランティア育成等については 以下の記事 をご覧ください。
東京女子大学として地域と共に防災に取り組んでいきたい、とい方向性があることを受け、前川先生からご紹介いただき今回の講座開催へとつながりました。加えて、この間に杉並区社会福祉協議会さん(以下「社協」)と区内で防災や災害ボランティアに関する取り組みを行ったり、大学近隣の武蔵野市でも成蹊大学や市の講座や研修も担当しました。
そうしたつながりもあって、社協や区民団体と連携した講座が開催できました。ひとつひとつは別の事業や目的で行っている取り組みですが、横串を刺す良い機会となりました。
当日概要とプログラム
講座当日はおよそ100名の方にお申し込みいただき、80名ほどの方にご参加いただきました。杉並区内の方を中心に武蔵野市の方にもご参加いただいたほか、地域で様々な活動をされている方も参加されました。
プログラム
当日のプログラムは以下のとおりです。
1. 関東大震災の被害と教訓
2. 防災教育の大切さ
・ 家庭、学校、地域で使える防災教材体験
3. 地域で取り組む防災と災害ボランティア
4. 地域を支える活動紹介
・ 杉並区社会福祉協議会
・ 杉並災害ボランティアの会(SSV)
5. “はじめての災害ボランティア“ワークショップ
6. まとめ
関東大震災の教訓
2023年9月、関東大震災から100年ということもあり、冒頭で少しお話しました。杉並区では 地震被害シミュレーション(地震被害想定) を公開していますが、区の東側を中心に最大震度6強が想定されています。地震後の火災による被害の拡大、避難場所を把握できなかったことによる混乱、デマやウワサによる被害、地域住民による助け合いなどについて紹介しました。
防災教育の大切さ
関東大震災の教訓から阪神・淡路大震災、東日本大震災へとそれぞれの被害と教訓についてお話してから、特に東日本大震災以降に全国各地で進められた防災教育の大切さについて、事例や教材を踏まえてお話しました。紹介した事例や教材は本ブログの各種記事にありますので、関心のある方は カテゴリ:防災教育 や カテゴリ:防災教材と教育工学 などからご覧ください。
地域で取り組む防災と災害ボランティア
本項では首都直下地震の被害想定や、地域・家庭でできる基本的な防災対策についてお話しました。地域で取り組む防災のポイント、地震直後のチェック項目や在宅避難・避難生活についてなど基本的な防災から、被災後に求められる共助(インクルーシブ防災なども含めながら)や災害ボランティア活動まで、防災・災害ボランティアについて全体の流れが分かるようにお話しました。
関連する活動については カテゴリ:地域・行政・企業と防災 などをご参照ください。
地域を支える活動紹介
実際に地域での防災や災害ボランティアの取り組みとして 杉並区社会福祉協議会・杉並ボランティアセンター さんと 杉並災害ボランティアの会-SSV-(Facebook) さんにお願いして、5分程度の短時間ですがご登壇いただきました。社協さんからは災害ボランティアセンターの取り組みを中心に、SSVさんからは平時・災害時の活動についてお話いただきました。
“はじめての災害ボランティア”ワークショップ
こちらについては後日、別の記事を作成してワークシートもダウンロードできるようにしようと思いますが、災害ボランティアセンターでいろいろなボランティアが必要とされている、という想定で、実際に自分にできる活動を選び、近くの人と話し合ってもらうという内容です。
今回の講座ではあまり時間がとれず、皆さんで考えてもらうだけで終わってしまいましたが2023年11月に実施予定の杉並ボランティアセンター「はじめての災害ボランティア講座」では、しっかり時間をとってグループで話し合いも行う予定です。
まとめ ~防災は主催や事業は違えど目的は同じ、接点を作って~
今回、筆者が意識をしたのは本文中でも少し触れた通り「防災・災害ボランティア」に関して様々な立場で関わっている方々の接点を作ることでした。東京女子大学の公開講座は大変人気の講座で、どんな講座でも多くの地域の方が参加されるそうです。
そうした貴重な機会ですから、ただ防災について話すだけではもったいない!被災する前にどんな備えができて、被災した後にどんなことが必要か、そして地域でどんな活動が行われているのかを実際に取り組んでいる方から知ってもらいたい!と考えました。
実際に今回の講座に参加された方から新しい講座のご依頼を受け、障害当事者の方と地域の方が交流できるような講座を、という企画を準備しているところです。こうした動きは、今後の杉並区内の活動でも期待されるところです。
主催や事業(予算の出どころ等)は違えど、目的は同じ防災や災害ボランティアに関することで、何がしかの共通点はあるものです。ぜひお互いの講座に参加する、共通して参加してくれる地域団体さんに声がけするなど、接点を作っていただければと思います。
その後…杉並区障害者地域相談支援センターでパネルが展示
本講座に杉並区障害者地域相談支援センターすまいる高円寺の職員さんが参加されており、まとめでお伝えしたメッセージをもとにパネルを作ってくださいました。こちらのパネルは地域の防災イベントでも展示され、事務所でも書けるようになっています。こうしたご縁を大切につないでいきたいですね!