2018年2月15日(木)、墨田区立両国中学校の社会科授業で生徒による地域防災への意見提案の講評をさせていただきました。同授業の野外調査に同行した時のようすについては下記の記事をご覧ください。
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事前学習や野外調査の結果をまとめ、意見提案
生徒による発表は、事前学習や野外調査で得た情報をシートにまとめ、課題解決の方法を提案するというプレゼンテーション型式で行われました。プレゼンテーションにあたっては事前に提出された提案シートを見ながら、評価シートにチェックをつけていきます。最も優れた評価のプレゼンテーションは、外部の方が参加する学年発表会で発表するという流れです。
自己・相互に評価(学習)のポイントを確認
自己・相互評価シートは関心・意欲、技能、思考力、知識などのポイントと、具体的な基準が示されたものを使います。生徒は各班の発表を聞きながら、評価シートに記入することで社会科授業としての学習ポイントを確認します。
具体的な提案例
筆者は生徒の発表を聞いて講評するという役割で参加させていただきました。あるクラスでの提案と講評についてご紹介します。
地域に若者が少ないので、中学校も参加する避難訓練を行う
日中の人の少なさに着目し、記録も残している点が良いですね。避難訓練で両中生がどのように関わっていくのか、中学生として何ができるかをアピールできると、地域の方々の参加率も上がるように思います。参加者に紹介する防災グッズも家族環境によって備えが異なるので、若い世帯などに参加してもらえるような工夫があると、全体的に参加者の人数が増えるはずです。
浸水危険区域の住民に対する避難訓練
訓練を行うことの重要性を認識し、繰り返し行うことの大切さを伝えていました。ただ、月に2~3回という頻度で提案されていましたが、参加者にとって時間的にも体力的にも負担になってしまうかもしれません。「ショート訓練(短時間でもできる訓練)」の風水害版(近隣の施設や集合住宅と連携して、5分くらいで避難できる場所を確認するなど)ができるといいですね。
外国人観光客が多いので、シールを使って情報提供をする
両国という地域柄、外国人観光客が多いということ、多言語化・イラスト化された情報提供にシールを使うというアイデアがユニークでした。「やさしい日本語」にして情報を提供できると、外国人だけでなく日本人も分かりやすいですね。シールのメリットはいろいろなところに貼り付けられることなので、QRコードなどで外国人が情報を得られるサイトなどを紹介しておくと、いろいろな場面で活用してもらえるかもしれません。
地域防災を「自分のこと」として考えるきっかけに
調査・企画・提案、プレゼンテーションや評価など社会科ならではの方式でしたが、地域防災について生徒が真剣に考えているようすが伝わってきました。地域における防災課題はさまざまです。火災や風水害など災害テーマに関する課題、少子高齢化や避難誘導の難しさなど社会生活に間する課題、外国人対応など地理的・文化的な課題などについて主体的に考えるきっかけになったのではと思います。
学校現場(特に社会科・公共で)での防災教育実践はもちろん、自主防災組織や公民館、地域活動NPOの方でも活用できる内容なので、前掲の野外調査プログラムと合わせてご参考になれば幸いです。