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災害ボランティアセンター開設・運営机上訓練に協力~参集・ニーズ受付・現地調査を中心に~

「なぜ社協が支援するのか」を考える内容でもあります。

都内社協さんのご依頼を受けて「災害ボランティアセンター机上訓練」の実施のお手伝いをさせていただきました。本稿では訓練の流れやポイントをご紹介します。一部写真については都合上、ぼかしを入れていますが、詳しく知りたい方は問い合わせフォームよりお知らせください。

なお、訓練の様子は同社協Facebookページでも簡単に紹介されています。実際に参加された職員の方の意見を聞いてみたい!という方は、ぜひFacebookページ等からお問い合わせください。

訓練手法の整理となぜ「机上訓練」なのか

社協における災害ボランティアセンター(以下「災害VC」)開設・運営については都内を中心に各地で座学、実動訓練、シミュレーション、机上訓練など様々な形式でお手伝いしていますが、今回は「机上訓練」という形式で行われました。まず、この訓練手法の違いやメリット・デメリットについて整理しておきます。その辺は大丈夫です、という方は上記の目次から内容・ポイントへお進みください。

なお、この分類はあくまで筆者の経験則に基づく「災害VC訓練手法としての整理・表現」であって、辞書的な意味でのものとは異なりますので、ご注意ください。

座学

文字通り災害VCについて、スライド等を用いて行う形式です。グループワーク等も含めて行う場合が多く、後述する実働訓練やシミュレーションの事前学習として行うパターンも多いです。特に職員の全体研修のように、あまり災害VCの業務について関わることがない職員(常勤・非常勤・パート等を含む)の方が多い場合は、前提条件を整えるために必要なこともあります。

メリット:基礎知識や心構えを理解しやすい、開催/参加負担が少ない
デメリット:実際の動きがイメージしづらい

実動訓練(ロールプレイ)

いわゆる「災害VC開設・運営訓練」です。僕はシミュレーションと区別するため「ロールプレイ」という表現を使っていますが、一般的に分かりやすいように「実動訓練」とします。実際にスタッフ役、ボランティア役などに分かれて(ロール)、一連の流れに沿って行動(プレイ)します。予め指定された役割(○○班、〇〇担当など)に分かれて職員の方がスタッフ役となり、市民の方や一部職員がボランティア役となる、というパターンが多いです。

メリット:(訓練想定上の※)実際の動きがイメージしやすい
デメリット:開催/参加負担が大きい、全体の活動や各班や係のつながりが見えにくい

※ニーズ受付や現地調査など時間のかかる活動や総務・広報など内部的な活動は簡素または省略になることが多く、受付・マッチング・オリエンテーションが主になる。

シミュレーション

実動訓練に似ていますが、実動訓練のデメリットである「全体の活動・つながり」を解決するために行うプログラムです。何度か座学や実動を繰り返した社協さん等から、ご相談を受けて行うことが多い内容です。マニュアルや様式だけを使い、講師や一部スタッフの方が実際に動く様子を参加者全員で確認することで、全体の流れがつかめるように構成します。

メリット:全体の活動、各班や係のつながりが見えやすい
デメリット:各活動の連続性、つながりを重視するため、個々の活動の詳細は不十分になる

机上訓練

シミュレーションのデメリットである「個々の活動の詳細」についてよりピックアップして理解を深めるためのプログラムとして机上訓練があります。あるテーマに沿ったより具体的な設定に基づき、対応を検討します。特に実動訓練ではどうしても簡素になる、省略されがちな「ニーズ受付」、「現地調査」、「総務・広報」などの内容を習熟するのに適しています。

メリット:各活動の詳細について理解を深められる
デメリット:他手法よりもかなり具体的な想定、設定、資料づくりが必要

なぜ「机上訓練」なのか

今回のご依頼に際して「これまで何度も(実動)訓練は実施しているが、非常参集や開設準備等の初動やニーズ対応、現地調査など、まず社協職員として理解し対応しなければならない点についての理解に課題がある」というお話を伺いました。このように「取り組むべき課題が明確」になっている場合は、漫然と全体の流れを進めるよりも、特定のテーマに限定して具体的に取り組む机上訓練が最適です。

ただし、これはしっかりとした積み重ねや課題意識をお持ちだからこそできるプログラムと言えます。もし関心のある方は前述の手法の整理も参考に、適切な手法で訓練を企画・実施していただければと思います。

机上訓練の流れと内容

机上訓練は大きく5つの流れで構成されています。

  1. 非常参集
  2. 災害VC開設準備
  3. ニーズ受付対応
  4. 現地調査
  5. ボランティア活動開始

まず、今回の机上訓練では強い地震が発生し、職員の方が非常参集して開設・運営を行う、という想定から入ります。1.非常参集と2.災害VC開設準備については「事前課題」となっており、当日は事前に記入してきたシートに基づいてお互いに話し合いました。

3.ニーズ受付対応では、ある1件の仮想ニーズを職員の方によるロールプレイを踏まえて、しっかりと深掘りしていくという方式で行いました。地震で被災し避難所にいる被災された方から、電話で相談があったというシナリオで、実際に被災者役・スタッフ役の職員の方がロールプレイを行います。参加者はそのお話を聞きながら「どのような支援が考えられるか」、「どんなことを確認したら良いか」などを話し合います。

4.現地調査では、3.ニーズ対応で得られた情報をもとに、地図と被災者宅の写真を見ながら、現場への経路や状況、活動に必要と思われる資機材や人員を検討します。

5.ボランティア活動開始では、3.4.で得られた情報をもとに「活動指示書」を書き起こし、地図等と合わせて実際にボランティアへマッチングするために必要な様式としてまとめるところまで進めます。

机上訓練の様子・ポイント

訓練の様子をご紹介しつつ、ポイントについてまとめておきます。

「なぜ社協が災害VC」が分かるようなニーズ対応訓練

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この写真は「仮想ニーズ」のロールプレイから得られた情報を、筆者がまとめたものです。左側は「ジェノグラム」といって家族関係を図式化したものです。福祉関係の方であれば見慣れているものかと思います。インテーク、アセスメント、プランニング、インターベンションなど今後の関わり方の時系列変化についても簡単に記載しています。右側は得られた情報を事実関係、課題・要望、確認事項、当面の目標、支援方針に分けて整理したものです。

被災された方の要望は「家の片付けをしてほしい」というものであったとしても、実際は「片付けが終わればそれで支援終了」というわけにはいきません。

机上訓練上、最終的なボランティアにマッチングする活動は「自宅の片付け」になりますが、被災された方の最初の訴えは「まわりに知り合いがおらず、不安で仕方がない、どうしたらいいか」というものでした。

避難所における孤独や不安は、自宅が片付くかどうかとは別の「ニーズ」として考えられます。その背景も金銭的なこと、息子さんとの関係、心身の不調など様々な要因が考えられ、一度の電話応対だけでは把握しきれません。より具体的な福祉サービス、行政支援との”つなぎ”が必要なことも想定されます。

それらはまさしく「社会福祉協議会」が関わる必要のある課題です。筆者は打ち合わせ等で、職員の方々にこのようにお伝えしました。

「皆さんは日々、様々な課題に向き合う方々を、その専門性や経験をもって支援されています。その課題の原因は様々ですが、そのひとつに”災害”も入ります。直後は各地の災害ボランティアや団体が支援してくれるかもしれませんが、いずれいなくなります。課題は個人の課題から”地域の課題”となり、社協の、社協職員の皆さんの力が欠かせません。災害VCは過程であって、ゴールではないんです。

都区内の広域災害で欠かせない「ロジ管理」と現地調査

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こちらは現地調査について話し合っている時の写真です。ポイントは2点あり「どんなルートで活動場所まで行くか」と「活動場所の状況でどんな点をみればよいか」です。

まず1点目の「ルート」は全体的なロジ管理、つまり災害VC本部をどこに設置し、サテライトセンターや物資の集積場所などをどこにするか、社協車両や別の送迎車が使えるのか、といった情報と関連してきます。今回は本部最寄り駅から1駅ある場所ですから、徒歩で行ける距離ではありません。現地調査では自転車や車という案もありましたが、実際にボランティアが行くとなるとどうするか、という課題があります。

公共交通機関は動いと想定しますので、近くの避難所等にサテライトセンターや集合場所を設け、なるべく地元の方を中心に直接そこへ集合してもらい、社協職員と合流して資機材をもって移動する、という方法等が考えられます。そのためには、現地調査と並行して、該当エリア全体の情報も必要になってきます(どこに支援に使えるスペースがあるか等)。このあたりの気付きは、話し合いの中で参加者の皆さんからも積極的に出ていたので、実際の対応にもつながるかと思います。

2点目の「活動場所のどんな点をみれば」については、地震でめちゃくちゃになってしまったお部屋の写真を見て考えていただきました。例えば部屋の大きさです。ぱっと見はコンパクトなダイニングキッチン、という感じですので、あまり大勢が同時に入れる状況ではありません。

※写真は掲載できません※

そうすると同時に室内で活動できるのはせいぜい2~3人かと思います。他の部屋や交代を含めても5~6人程度が限界です。生鮮食品や牛乳などがこぼれているので、衛生管理のための資機材(掃除用品等)が多めに必要です。棚が倒れたり、ガラスが割れているのでグローブ等も必要です。

…こんな感じで、現地調査のポイントをチェックし、後述する「活動指示書」に書き出せるようにまとめていきます。

様式の「管理」を具体的に考える

 

最後の写真は活動報告書や活動指示書などの災害VCで用いる様式の「管理方法」の一例をまとめたものです。いくつかの方法が考えられますが、例えばこちらでは日報方式にしています。

戻ってきた活動報告書を、ニーズが記載された書類と合わせて、日毎のフォルダに管理します。まずこれでその日の活動を集計します。翌日以降も継続の場合はニーズが記載された書類を複写(管理番号は同じ)で、翌日のフォルダで…と続けます。日毎の件数と、特定ニーズの日毎の変化(○○というニーズの完了まで何日くらいかかったか)が分かるような形です。

…分かりにくいですね。。。実際に記録をされている方なら何となく、感じが分かると思いますが、これらをはっきりさせておかないと「あの書類どこだっけ」が発生してしまいます。今回の訓練ではざっと流れを説明するだけで終わりましたが、実際には総務班の方などが苦慮される点かと思います。

まとめ

筆者の役割は、ただ自分の経験や知見を「伝える」ことではなく、その社協さん、社協職員の方々が対応するために必要な知識や技術へ「変換」していくことだと思っています。「他でこうだったから」次もそうすれば良い、で解決するのであれば、マニュアルも様式も、あるいはネットワーク等も、この何十年もの経験の中でまとめられてきているはずです。

現状、そのようにはなっていないだけで、今後数年で全国統一的なシステム化がされるかもしれません。その時は、筆者の取り組みも、ひとつの役割を終えて、新しい時代に入るのかなと思っています。ただ、まだしばらくはやるべきことが残っているようです。

本稿が、(おそらく)ご覧になっている社協職員の方、関係者の方々の試行錯誤の一助となることを願っています。

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