本日は 全国公立高等学校事務職員協会 さんの研修会でした。
今回の研修の大きなテーマのひとつが「防災管理」です。
「防災教育」は何となくわかるけど「防災管理」ははじめて聞いた、という方も少なくないかもしれません。兵庫県(1995)の報告書をもとに簡単にまとめると、次のようになります。
児童生徒等に対して、災害・防災に関する学習を行うのが「防災教育」。
学校として、どのように備えていくのかが「防災管理」。
そう整理するのが、一番分かりやすいでしょう。
防災教育と防災管理は車の両輪であり、どちらが欠けても児童生徒、そして教職員の命に関わる可能性があります。具体的な例は「釜石の奇跡」と呼ばれた(一般的にそのように表現されている、という意味で使っており、奇跡という言葉、表現について肯定しているものではありません)、釜石東中学校の対応からも考えられます。
生徒の行動は「防災教育」の結果と考えられますが、同時に学校管理職・教員の適切な避難指示があったかことも事実です。詳しい経緯、教員の指示内容については東京都教育庁が作成した映像教材「助け合う防災教育」で確認することができます。
※映像DVDは東京都教育庁が貸し出していますが「お問い合わせ」からご相談いただいても構いません。
図でもわかるとおり「避難経路の確保(及びそれに基づく誘導)」は『防災管理』の範疇、すなわち学校として備えるべきこととして考えられます。従って、「釜石の奇跡」の事例は単なる奇跡でもなければ、「防災教育」だけの結果でもなく、「防災管理」の結果でもあるのです。
「防災教育」が重要なのは事実であり、推進しなければならないことに間違いありません。ですが、その前提として「学校としての備え」が不充分だとしたら、児童生徒がどんなに災害について詳しくても、命を、被災後の生活を守ることは難しくなります。
「学校」だけでなく「地域」や「家庭」での備えについても同様のことが言えます。これからの防災対策では「防災教育」で児童生徒ひとりひとりの防災力を高めるとともに「防災管理」によって、学校・地域・家庭の防災力を高めていくことも、求められています。
講習では「避難所運営ゲーム」も行いました。
避難所運営は「防災管理」の課題が表面化しやすい場面のひとつです。児童生徒に「避難所や避難生活について学ばせたい」時は、必ず「学校としてどのように備えており、教職員はどの程度そのことについて理解しているか」を必ず確認するようにしてください。
※本記事で使用している写真は中央大学ボランティアセンター様よりご提供いただきました。

在学中からの被災地支援経験を基に、災害救援・防災教育分野での普及啓発を中心に活動。ブログでは実践に基づく情報をお届けします。2男児の父。内容は全て個人の責任に基づくものです。お問い合わせは こちら から