中学校保健委員会「災害時の保健衛生」で体験を通じてトイレ対策を考える

本日は市立中学校の保健委員会で防災講話・演習・体験指導でした。保健委員会の生徒と、保護者の方々を対象とした研修ということで、災害時の保健衛生(とくに避難行動要支援者への配慮を中心に)と災害時のトイレについて考え、また実際の作業にも挑戦してもらいました。

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避難はしてもしなくても大変

本題に入る前に、災害時の保健衛生に関する大枠からご紹介します。2013年、内閣府が『避難に関する総合的な対策の推進に関する実態調査結果報告書』を発表しました。災害時要援護者の避難行動について詳しくまとめられていますが、災害時に特に重点的な支援が必要な方は「避難するのも大変、避難しても大変、避難しなくても大変」ということになります。

今回「災害時の保健衛生」で生徒に伝えたのは『避難した人』の半数が体調不良や状態の悪化が見られた、ということです。避難行動要支援者(災害時要援護者)の方々だけでなく、健康な若者でも体調を崩してしまうような避難生活ですから、無理もない結果です。

災害時のトイレと中学生にできること

課題の要因となるひとつが『災害時のトイレ』です。日常生活でも苦労することが多いのに、電気・水道等が不充分な状況で、体が不自由であったり、何らかの病気を抱えた状態でのトイレというのは、想像以上に困難が伴います。

今回の保健委員会では、保健委員の生徒の皆さんに「こういう状況でこういう人(支援が必要な方)がいたら、どんな課題があり、どのような支援ができると思うか」といったことを考えてもらいました。参考資料として、日本トイレ研究所さんによる「災害用トイレガイド」なども紹介させていただきました。

その後、ダンボール・カッター・ビニール袋・新聞紙だけを用意し「15分でトイレを作る」にチャレンジしてもらいました(記事冒頭写真)。ダンボールトイレの有効性や正しい作り方もさることながら『誰かのために、自分のために、今置かれた状況で、身近にあるもの(使えるもの)で、自分にできることを考える』ことが重要である、と伝えました。

みんなで試行錯誤しながらチャレンジします

最初はご担当の先生も「20分で作れますか・・・!?」と心配されていましたが、中学生なら15分でもしっかりとしたダンボールトイレを作ることができます。大切なのは課題について「考える」こと、実際に「行動してみる」こと、そのうえで大事なポイントをしっかり伝えることです。

「最後の手段」として限られた資材を活用

実際にダンボールトイレが使えるか、というとかなり難しいです。ですが、東日本大震災をはじめこれまでの災害現場や避難所等で、同様の知識(ダンボールによる目隠し、新聞紙等を使った汚物処理等)が必要となる場面はありました。「使えないなら意味がない」のではなく、思考や工夫、行動の過程でトイレの仕組みや衛生管理の重要性を理解できるよう、学びを促していくことがポイントです。

まとめ

災害時の保健衛生は、管理責任のある人、関心のある人だけが取り組む問題ではなく、ひとりひとりが自分やまわりの人のことを考え、配慮することがポイントになります。うがい手洗い、マスク、咳エチケットなど、そのたのヒントはインフルエンザが流行るこれからの時期にあります。小さな子どもからお年寄りまで誰でもできる基本的なことが、平常時でも、そして災害時でも、とても重要なのです。

参考リンク:インフルエンザQ&A(厚生労働省)

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