2016年公開のスライドをベースに、より実践的な体験となるよう条件設定や災害ボランティア体験を加えた2024ver.を公開しました。
教材ダウンロードについて
本教材は編集可能なパワーポイント(.pptx)で公開しています。
下記をクリックすることでデータをダウンロードできますので、実施対象に合わせて編集していただき、自由にお使いいただけます。※トランプの画像はフリーイラストを使用しています。
また「slideshare(スライドシェア)」でも公開しています。こちらでダウンロードできるのはPDF版となります。
実践例やちょっとしたアイデア、工夫はこの記事に追記していきますので、興味のある方は時々お立ち寄りください。
公開可能な実践例
小学校での実践事例
小学校5年生を対象とした体験学習での実施事例です。
大学での実践事例
大学で行われた公務員志望者向け講座で実践した事例を紹介しています。具体的な流れなどはこちらも併せてご覧いただくと分かりやすいかと思います。
ゲームの攻略と指導のポイント
ゲームを実施する際の攻略・指導ポイントをいくつかご紹介しておきます。
なぜカードをバラバラに?
使う数のトランプを全てバラバラにしておくことがポイントです。最初、各箱には♠、♥、◆、♣がそれぞれA(エース)から2まで13枚ずつあります。合計で52枚ですね。それにジョーカーを1枚加えて53枚になります。これが基本の1セットになります。
ゲームに際しては班数だけセットを使います(例:1班5人✕6班なら6セットのトランプを使う)。100円ショップで売っているようなごくシンプルなものでも十分です。
はじめに、全てのセットのカードをマークも数字もジョーカーもバラバラにして、箱に戻します。この時点で「ある箱には♠の8が5枚ある」、「ある箱にはジョーカーが3枚ある」こともあり得ます。“手札”は班によって揃えやすい場合もあれば、そうでない場合もあるということです。
自然現象としての地震や風水害、つまり「災害」は誰しも平等、つまりその地にいる人に等しく関わります。ですが社会現象、結果としての「被災」は平等にはなりません。同じ災害で被災した場合も、生活環境や居住地、備えの有無などによって程度が変わってきます。
カードがランダムであることは、災害直後の混乱状況を示しているだけでなく「どうしても発生してしまう被災地域、被災された方の被害の差」を表しています。だからこそ、被害の小さい地域(カードを揃えやすい班)がカードを整理(自助)できたら、被害の大きい地域(カードが揃えにくい班)を助ける共助の取り組みが求められます。
災害時の「要救助・要支援」等もカードで表現
このゲームは「自分たちの班(個人家庭・近所)でバラバラになったトランプのカード(災害直後の状況)を、チーム・クラス(地域全体)で正しい順番(復旧・復興)に戻していく」ことが目的となります。
ただ、一部のカードは「抜けている」状態から始まります。これは「要救助・要支援」の状況を示しており、救助や支援を行わないといつまでもカードが正しい順番で揃わない、つまりみんなの復旧・復興ができません。
救助や支援は「ジョーカー」で行うことができます。あらかじめ抜いたカードの枚数分しかジョーカーは入っていないので、正しいところへ救助や支援を届けなければ、やはりカードを揃えることができません。自分の班に抜けているカードがあり、手元にジョーカーがあれば早く使いたくなります。でも「本当に必要としているところ」が他にあるかもしれませんし、やっぱり自分たちのところで必要だった、となるかもしれません。
「要救助・要支援」となる場所(カードが抜けているところ)をいち早く見つけ、必要な救助や支援(ジョーカー)を届けることがポイントになります。
災害ボランティアの体験も
2024年版では新たに「災害ボランティア」の仕組みも取り入れました。具体的には、早くカードを並べ終わった班は、他の班を手伝うことができる、というものです。人が増えれば、カードの移動がよりスムーズになる反面、突然たくさんの人が外から押しかけてくると、混乱してしまいます。
実際にある事例では「他のチームからカードを持ってきてしまい、なかなか揃わない」といった状況が起きました。
災害ボランティアをする側も、受け入れる側も、しっかりとコミュニケーションをとることがポイントです。
攻略のヒントは”プロアクティブの原則”
ゲーム攻略のヒントとしてプロアクティブの原則をご紹介します。
①疑わしい時は行動せよ。②最悪事態を想定して行動せよ。③空振りは許されるが、見逃しは許されない。
という3つの行動原則です。特に筆者が重要視しているのは「最悪事態を想定する」ということです。詳しくは 下記の記事 でも紹介しています。
このゲームでの「最悪事態」とは、制限時間内にカードを揃えられないことです。コミュニケーションがうまくとれず、必要なカードを届けられない・もらえなかったり、早くやろうとしてジョーカーを誤った場所で使ってしまったり、といった事態が想定されます。
ジョーカーを使うときには「ここで間違ったら助けられない人がいるかも」という最悪の事態を想定し、率先して行動します。結果として「やっぱりウチの班で必要だった」と”空振り”になってしまっても、見逃しを防げたのですから、それでも構わないのです。
まとめ
身近にあるトランプも、ちょっとした工夫次第で防災について学ぶことができるツールに変わります。ぜひ皆さんも身近なもの、普段から使い慣れている何かを活用して、防災を学ぶ機会を作っていただければと思います。