都内の公民館主催で、日頃の備えから避難生活までを一連の流れで体験する防災講座が行われました。同講座の内容やポイントをご紹介します。
講座内容とポイント
講座は全2回構成で、第1回では防災対策全般についてのお話と防災グッズの確認、発災時を想定したシミュレーションなどを行いました。翌週の第2回は、実際に災害が発生し、避難所まで辿り着いた、という想定で会場を避難所に見立ててのプライバシースペースづくり、応急トイレづくりなどを行いました。
今回の講座のポイントはこちら。
非常持出し袋を実際に持ってくる&中身を点検する!
防災講座では必ず「防災グッズ(備蓄)を用意してください」と言われますが、多くのご家庭、特に防災講座に参加しようと思うくらい関心の高い方がいらっしゃる家庭は、何らかの備蓄はされています。
つまり「備蓄してあるか・していないか」というよりも「何を・いくつ・どのように備蓄してあるか」や「いつ・どうやって持ち出すor活用するか」という点に課題があるといえます。
その点をフォローするためには、実際に取り出してそれで足りるかどうか、試してみるしかない!ということで、参加者の方に予め「自宅での生活が困難になったと想定し、避難所に行くとしたら何を持っていくかを考え、その持ち物を本当に持ってきてください」とお願いしました。
講座1日目、ほとんどの参加者の方が、大きめのリュックやボストンバッグのようなものにいろいろなグッズを詰めて持参されました。講座の中で、実際にその中身を取り出して、チェックする時間も設けました。
地域の防災講座や防災イベントに参加しようかな、という方は、ぜひ非常持ち出し袋や防災グッズなどを会場まで持っていき、ついでに中身(電池や賞味期限など)をチェックしてくださいね。
避難所で「お客様」にならないよう自分にできることをやってみる!
1日目終了時、参加者の方に公民館のある市が指定している「避難者カード」を配布し、事前に記入してもらい、2日目開始時に回収、体温チェックなども行ってから参加してもらいました。
最初に災害時の温かい食事の作り方や最後の手段としての段ボールトイレ、携帯トイレの使い方などを説明・体験していただいた後、避難生活を想定した体験を行いました。
ブルーシートやダンボールなど、予め限られた資機材のみ置いておき、参加者の方々がそれぞれ考えながらプライバシースペースの確保に挑戦しました。パーティションのようなものをつくるだけではく、ダンボールベッドをつくる方などもいました。
実際にダンボールがあるのか、自由に使えるのかは避難所の状況しだいでしょうし、これほど広いスペースを個人・家庭で確保できないかもしれません。避難者数が多ければ多いほど厳しい環境になることが想定されます。
だからこそ、身近なもの・自分が用意できたものを活用し、限られたスペースでも体調を崩さぬよう、しばらくの間を乗り切る環境づくりが重要になります。
まとめ
体験型の防災講座は広くいろいろな場面で実施されています。参加するだけでもとても学びのある講座だとは思いますが、個人的に主催者・講師が設定する体験でカバーができるのは「50%」までだと思います。残りの50%は、参加者の方ご自身に委ねられています。
講座の前日にでも「この講座/体験が”実際”の場面だとしたら、自分や家族・ペットはどうするだろうか」と考えてみてください。前述のように非常持出袋を持参したり、防災グッズを使ってみたり、主催者が許すならペットを同行しても良いでしょう(ペット防災の講座でなくても)。
…ここまでお読みいただける方であれば、きっと参加の機会があることでしょう。ぜひ、防災講座やイベントに参加する際は本稿のことを思い出してみてください。