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杉並区内中学校PTA役員研修会で避難所運営研修を実施(2015)

2015年7月、地元杉並区の中学校で、PTA役員の方々を対象とする研修を行いました。テーマは「災害時における学校の役割〜避難者の多様性に応じた避難所運営〜」です。本稿では杉並区独自の取り組みと、研修内容等についてご紹介します。

目次

震災救援所と避難所

杉並区では、他の市区町村で一般的に言われる地震時の避難所のことを「震災救援所」と呼称しています。一般的な「避難所」のイメージより多様な機能を持ちます。詳しくは下記、引用元の杉並区ホームページをご覧ください。

震災救援所ってどんなところ?

震度5強以上の地震が発生した際に、区立小中学校等に開設され、家が焼けたり、倒壊したりして、自分の家にいられなくなった住民が避難したり、救護活動を実施する拠点です。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kyukyu/hinanjo/1005268.html

現実的に「避難所」の機能は「避難(生活)をする所」ということ以上の機能を持たざるを得ませんので、筆者は杉並区の「震災救援所」という表現は適切だと考えています。

このように避難所の呼称は市区町村によって異なる場合がありますので、防災マップやハザードマップで確認しておくことをおすすめします。

“震災”救援所は”地震”のときにしか開設されない?

「避難所が開設されるのは何も震災だけじゃないだろう、風水害はどうなんだ!」と思われる方もいるでしょう。そのとおりです。風水害発生時にも「避難所」は開設されます。区内では風水害時の「避難所」が予め指定されており、被害状況に応じて追加で開設されます。

「震災救援所」ではありません。「避難所」です。

◯ わが家の水害ハザードマップ|杉並区

なお一般的な「避難所」は災害対策基本法第49条に基づき予め「指定緊急避難場所」及び「指定避難所」として決めておくように定められています。お住まいの地域の「地域防災計画」などをご覧いただくと良いでしょう。【●●市 地域防災計画】とかで検索すればだいたいヒットします。

従って河川に近い学校では、「震災救援所」ではあるけれども「避難所」としては指定されていないところもあります。

研修内容

PTA役員の方々がおよそ40名、参加されました。オブザーバーとして、障がい者の防災教育で関わっている子ども発達センターの方、自宅近くで区内の防災訓練等を支援されている杉並建設防災協議会の方にもご参加いただきました。どちらの方々とのコラボレーションも、近々ご紹介できると思います。

  • 災害時における学校の役割
  • 避難所運営の組織的対応、リーダーシップ
  • 災害時のジェンダー、避難行動要支援者への対応
  • 「避難するときも、避難しても大変!」
  • インクルーシブ教育による備え「もしあなたがそうだとしたら・・・」
  • 被災者支援に関わる関係法令と生活再建
  • 避難所運営ゲームの実践、演習まとめ
  • 学校は防災拠点であり生活再建拠点

この内容を図上演習も含め2時間以内に収めるのでかなり駆け足でしたが、女性が多かったのでジェンダー課題、避難行動要支援者、インクルーシブ教育による備えあたりは重点的に説明しました。

話し合いをしながら進めています
9割の方が女性、貴重な機会です

質疑応答から見えた”これから”

質問はいくつかありましたが、例えば「災害時のトイレはどうしたらいいか」というものです。話し合いの中では「断水していたら校庭に穴を掘るしかないけれど、どこがいいだろうか・・・」というのが課題になったようです。断水=トイレが使えない=校庭で穴を掘って…ということのようです。

ただ、屋外に穴掘り型のトイレを作ったとしても使うのは男女ともにかなりハードルが高いでしょう。できるだけプライバシーとセキュリティを考えるなら、男女で分かれ施錠もできる「校舎内トイレ」を携帯トイレ等を利用したうえで使う方法もあります。そのためには「山盛り」にならないよう、開設時点で速やかにルールづくりと管理体制を構築することが求められます。

その他には「障害を持った方が来たらどうしたらいいか」という質問もありました。福祉避難所の位置づけや震災救援所毎に決められているマニュアルやスペース配置についてお話しましたが、これはまた別の機会にご紹介したいと思います。

また「中学生は何ができるか」という質問もありました。これは僕はいつも決まった答えを持っていますが「本人がやりたいと思うことなら、大人と同じことができる」です。まだ中学生だから・・・と意志決定や重要な場面から遠ざけるのではなく、本人が望む限り一緒に考えさせたほうがいい、という意見です。

トイレも障がいを持った方への配慮も中学生の活動も、大事なことは「災害状況を想像する力=イマジネーション」だと考えています。これからの震災救援所(避難所)開設、運営、訓練、そして多様性に応じた防災対策においては重要なキーワードになるでしょう。

いち区民として、保護者として

これから学校に子どもを預けるであろう、父親としてはこうした形で区の防災に貢献できることはありがたいことです。願わくば今後もこうした機会が増えてくれたらいいなと思います。もし本ブログを杉並区内の方がご覧になられておりましたら、どうぞお気軽にお声がけください。

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