白鴎大学UN-UNI防災講演会2「防災グッズグループワーク」のフォローします

おはようございます。2歳の長男が早起き(朝5時から6時にはだいたい目覚める)なのは、僕が早起きだからなのか。早寝早起きは遺伝なのか生活環境なのか。そんなことを考えながら午前5時から記事を書いている防災教育コンサルタントの宮崎です。

 

1 白鴎大学UN-UNI防災講演会とは

白鴎大学ボランティアサークルのUN-UNIさんから依頼を受けて行った学生向けの防災講演会です。関連記事は下記になります。その後、防災グッズをテーマに行ったグループワークの写真をご提供いただきました。
本記事では、その写真を許可を得て掲載し、それぞれについてコメントします。

白鴎大学UN-UNI講演会と「防災に取り組む学生団体」へのメッセージ(2015.06.28 記事)

 

2 100円ショップで「防災グッズ」のワケ

「防災グッズを備えよう」「専門家オススメ商品!」「手近なものでサバイバルグッズづくり」みたいな記事は雑誌やネットにもたくさんありますが、ごく一部の商品を除いて「いや、そんな小難しいこと考えなくても100円ショップで買っとけばいいでしょ」みたいなものが少なくありません。防災グッズという言葉だけが一人歩きをして「なぜ」用意するのか。「誰のために」「どのくらい」用意するのかを考える過程がすっぽり抜け落ちているなと感じることがあります。
特に、児童生徒への防災教育においては「専門家的」な一方的グッズ紹介は意味を為さない(だから何?って話です)ので「(楽しみながら)自分で考える」ことができるよう、工夫する必要があります。そのひとつが「100円ショップで自分や家族に必要な防災グッズを探す」という方法です。プログラムや教材は下記でも紹介しています。

都立高校宿泊防災訓練で生徒自ら防災授業を実施(2015.05.10 掲載)

大学・学生団体間連携企画「防災グッズプレゼンバトル」(2015.05.30 掲載)

防災グッズの監修とかされている専門家の方々は大変だなぁと思います。その商品を推さないワケにはいかないですもんね。美容商品とかと同じで「ホントにあの人、アレ持ってんのかな・・・?」と思うときありますけど。

 

3 学生のワークショップ成果から

では、白鴎大学UN-UNIの皆さんが行った防災グッズワークショップの成果を見ていきましょう。細かい進め方までは僕が見ていないので、少し視点が違うかもしれません。何かあれば指摘してください(→UN-UNIさん)。

 

目次

シンプルなものほど、工夫次第で使い方が広がります。

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軽くて、安くて、温かい、しかもいろんなものに使えます、ポリ袋黒アルミ保温シート。赤ちゃんのいるご家庭にも、女性の一人暮らしにも。一家に、いえいえ1人に1組、ポリ袋黒とアルミ保温シート。そんな感じです。視点や使い方は良いと思います。組み合わせれば使い方のバリエーションはかなり豊富になるでしょう。
もう少し突っ込んで欲しいところは、ポリ袋のサイズと使い方をつなげてもらうと良かったですね。僕は45リットル以上のサイズをオススメしています。それ以下でも使えますが「大は小を兼ねる」です。
気になったのは「ひも」です。・・・ポリ袋を割いたり丸めたりして紐にするということでしょうか。斬新なアイデアです。実物展示や写真があるといいですね。もし分かったら教えてください(→UN-UNIさん)。
・・・まぁ、普通にビニールひも買ったほうが早いと思いますが。

 

爆発しません、念のため。

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「BOMB!!」大変です。イラストのイメージだと相当な殺傷力がありそうです。もちろんジョークだと思いますが、はじめてチャレンジする方は恐怖感があるかもしれません。「もしかしたら爆発するかも・・・」という恐怖感をイラストにするとこんな感じでしょう。ジョークに真剣に答えるならこのときに必要な知識は「燃焼と爆発」です。

燃焼=燃える、というのは化学反応です。一般的に燃焼の3要素と呼ばれるものがあります。

  • 可燃物(可燃性物質、いわゆる「もえるもの」扱いなやつ全般)
  • 酸素供給源(支燃物、空気、酸素など「もえるもの」が「よくもえる」もの)
  • 熱源(火気、静電気、ほか)

この場合はツナ缶の油分が可燃物となり、穴を空けて酸素を取り入れます。芯に着火することで3要素が揃い、燃焼するという化学反応につながります。ちなみにこの燃焼の3要素を取り除くのが消火の3要素と呼ばれています。可燃物の除去、酸素供給源の窒息、熱源の冷却、です。

そして、爆発には「圧力」という概念が必要です。学生に身近な例でいえば、文化祭などでコンロをくっつけて加熱したりしていたらガスボンベが破裂してケガをした、なんてニュースがありましたね。これはボンベ内のガスが加熱された結果「圧力」が容器の許容量を越えて破裂(爆発)したケースです。

▶東京消防庁「カセットボンベ破裂による事故を防止しよう」
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201110/kasetto.html

ツナ缶に穴を空けた時点で圧力は逃げていますので、爆発はしません。念のため。なお、缶詰に「直火厳禁!」みたいな記載がなければ直接加熱しても大丈夫な場合もありますが、オススメしません。

・・・これも、灯りのためのキャンドルならキャンドルを買えばいいと思いますが「どうしても今、ほどよく温かいツナ缶が食べたいけれど、缶詰に穴をあけられる道具とライターとティッシュしかない!」時は有効だと思います。もっとも、そこまでして缶詰に温もりを求めたいコダワリのツナ缶ラバーであれば、安全に湯煎できるよう、ガスコンロや鍋をセットも予め備えておきましょう。

 

平時と災害時の境目をなくしていくという考え方。

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3つの共通点にある通り「どの家庭にもあり、普段、非常時問わず利用できるもの」ですね。この考え方というかコンセプトは非常に大切だと思います。これはグッズに限らず、防災意識そのものにも通じる考え方です。
「災害時に何ができるか」というのは「普段は、何をしているか」ということです。大学生にもなれば、アルミの流し台シートや割り箸やビニール袋の使い方が分からない人はいないでしょう。つまり、いつも使えるものだから、災害が起きても使えます。使い方を考えればいいだけです。
専門家推奨の防災ツールや高額な非常持出品セットを買ったところで、使い方が分からなければ宝の持ち腐れです。一般的にそういった監修商品はコストが高めですが、大切なのは「モノ」ではなく「目的」であり「用途」です。100円ショップの商品であっても、目的を、用途を達成してくれるならそれでいい、ということです。

 

4「考える」けど「考える」に酔わない

防災グッズだけでなく、防災全般にとって大切なことのひとつが「考える」けど「考える」に酔わないということです。「身近なものでサバイバル」みたいなのがその典型例です。アイデアとしては重要だと思いますし、知っておくことで助かる場面もあります。でも、大事なのは「何のため」という目的を理解することです。

「考える」ことに酔う、つまり「これとこれをこう組み合わせたら便利だ」「こういう使い方ができる」、目からウロコ的なアイデアばかりに目を向けていると、目的を達成するために「一番手軽な方法」が見えなくなります。正確には、手軽な方法では当たり前すぎてダメだと思ってしまうのです。

紙食器づくりは便利です。でも家庭のプラ食器とラップがあれば充分です。紙スリッパも旅行用スリッパひとつのほうが快適です。ツナ缶をキャンドルにする必要も、ビニール袋をひもにする合理的な必要性はありません。それが必要な場面があると思うなら、キャンドルやひもを用意しておけばいいだけです。

自分で考えるということは「考えることを考える」のではなく、具体的な場面や状況を想像して、必要なものを考えるということです。


いずれにしても、平時からこうした取り組みをすることは大切です。一度だけでなく、一年に一回でもいいので「考える日」を作って、継続的に取り組んで欲しいと思います。

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