災害支援活動を、日頃の地域活動へとつなぐ~防災・災害ボランティアミーティング~

2023年12月、都内社会福祉協議会(以下「社協」)主催「防災・災害ボランティアミーティング」を担当しました。災害ボランティア講座や防災まちあるきなどでもご縁のある社協さんです。本稿ではそうした災害支援に関する取り組みと、日頃の地域での活動を結びつけていくきっかけづくりについてご紹介します。

目次

(防災・)災害ボランティアについて

今回のタイトルである「防災・災害ボランティアミーティング」ですが、災害ボランティアの前に(防災・)と入っています。内容の前に、まずこの点について整理します。

内閣府(防災担当)防災情報のページ では、防災ボランティアについて『防災ボランティア活動とは、地震や水害、火山噴火などの災害発生時から復興に至るまで、被災地のために復旧・復興のお手伝いを行うボランティア活動を指す。』と定義されています。東京都防災ホームページ でも、具体的な記述はありませんが同じように扱われています。

つまり、定義としては「防災ボランティア」と「災害ボランティア」は同義と言えます。ただ「防災に関する活動」も「災害支援に関する活動」も在学中から長らく取り組んでいる立場からすると、この点は分けておきたいなという想いがあります。

本稿、イベントでいう(防災・)ボランティアとは、上記の内閣府の定義と紐づけるなら『災害発生前に、地域のために防災力向上のお手伝いを行うボランティア活動』という意味を持っています。

プログラム

ミーティングは次のようなプログラムで行われました。

  • 災害ボランティアセンターや防災まちあるきについての紹介
  • 防災課、建築指導課、資源循環課(資料提供)等からのお話
  • 被災後しばらくしてからのニーズ(要望)をテーマとしたグループワーク

防災・建築・資源循環の視点で自治体の取り組みを知る

冒頭に社協担当者の方から、災害ボランティアセンターや防災まちあるきなど、これまでの取り組み等についてお話がありました。続いて、防災課の方から自治体としての防災対策についてのお話がありました。建築指導課の方からは、狭あい道路(道幅が狭い道路)に関する対策等についてのお話がありました。災害ゴミについては資源循環課の方から資料をご提供いただきました。

防災ハンドブックや各種パンフレットも配布

住民として防災や災害ボランティア活動に関わる際に、自治体がどのような対策・支援を考えているかについて知る機会は大切です。特に建築・道路・公園・資源循環(ゴミ)等については、直接お話を聞く機会少ないと思います。

次項で触れるグループワークでは様々な災害時の困りごとについて考えるのですが、その中にはこちらでお話いただいたような「災害ゴミをどうするか」や「移動が困難な方をどう支援するか」といった内容も含まれています。具体的なテーマを参考にしながら、そうした課題について考えていただく機会としました。

さまざまな生活上のニーズに、地域住民の立場で関わり方を考えるワーク

ワークショップでは、災害ボランティアセンターの仕組みを体験してもらいつつ、災害支援活動と日頃の防災活動がつながるように内容を工夫してみました。

支援活動マップと活動内容
マッチングの状況を可視化したもの

進め方は次のとおりです。

  1. 被災から1週間後~を想定し、避難所や在宅避難者からの要望を整理して、地図に印をつける。
  2. 要望をホワイトボードに掲示する(災害ボランティアセンターにおける「活動紹介」のイメージ)。
  3. 参加者は、場所や内容を確認して、自分が支援できそうだと思う要望を選択する。
  4. 同じ要望を選んだ人と班に分かれる。ただし、班の人数に偏りがある場合はコーディネーターが調整を依頼する。
  5. 班の中で以下の点について話し合ってもらう。
     ・ 主な要望に対して、現地でどのような支援ができますか。
     ・ その方が、ボランティアに頼らなくてもよいようにするためには、どんな支援や調整が必要ですか。
     ・ 今後、地域や避難所で要望が出ないようにするためには、どんな取り組みが必要だと思いますか
  6. 時間になったら発表する

入り口としては分かりやすい災害ボランティアとしてどのような支援ができるかを考えてもらいました。そこから被災された方が自立していけるような関わり方へ、そして最後に日頃からの備えについて話し合ってもらいました。具体的なニーズ(要望)について知りたい方は資料をご提供しますので お問い合わせフォーム からお知らせください。

実際に活動する際はもう少し人数が多いかもしれませんが、話し合いに際しては2~3人くらい少人数のほうが積極的な意見が出てきます。

特に自立に向けたアプローチなどは簡単な内容ではないのですが、非常に熱心な方々ばかりでしたので、いろいろなご意見が出てきました。発表のごく一部の要点だけですが、ホワイトボードを使って共有しました。

活動管理と発表の記録
活動管理と合わせて対応の状況を記録する

まとめ ~地域による備えと災害支援は、日常の延長線に~

これまでにも別稿で何度か触れていますが、都内のように人口が多い地域での災害支援では「同じ市区町村内だけど、被害は出ていない・少ない地域」の方々や、「被災はしているけど、活動する意欲やエネルギーがある」方々の力を活かすことがポイントになると考えています。それと並行して、その方々の力を「被災人口を少しでも減らすための活動」にも活かせるようなアプローチも必要です。

防災活動と災害支援活動は、ニュアンスとしては似ていますが関心のある層は必ずしも一致しません。防災対策には一生懸命だけど、災害ボランティアはあまり関心がない…あるいはその逆もあるかもしれません。ですが、どちらも同じ日常の延長線上にあることです。

今回のミーティングは「理屈としては分かるけど、実際やるのは難しいんじゃないの…」、そんなテーマにチャレンジした事例です。まだまだ課題もありますが、各地でこうした取り組みを少しずつでも進めていければと思います。

支援活動マップと活動内容

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