障害当事者と地域住民が一緒に取り組む「災害時の困りごと」

2023年11月 杉並区障害者地域相談支援センターすまいる高円寺 で地域公開講座『身近なもので災害時の困りごとに備えよう』が行われ、講師を担当させていただきました。

障害当事者の方と、地域住民の方が助け合いながら、災害時の困りごとに取り組むプログラムを実施しました。本稿では当日の流れやポイントをご紹介します。

なお、本講座の様子については すまいる高円寺NEWS令和6年1月号.pdf にも掲載されていますので、合わせてご覧ください。

目次

きっかけは「わたしのまもりたい たからもの」

本講座をお声がけいただいたのは 以下の記事 で紹介している東京女子大学での公開講座に、すまいる高円寺の職員さんが参加されていたのがきっかけでした。

「どう備えるか」の手段を考えて行動する・行動し続けるためには、原動力として「なぜ備えるか」という理由やモチベーションが大切だ、というのが筆者の基本的な考え方です。なるべく分かりやすく伝えるための方法として、講座等では「あなたが災害から守りたい大切なもの」が何かを考えてもらっています。

そのアプローチを、すまいる高円寺さんがパネルで掲示された流れについては、上記の記事の末尾で紹介しています。早速、地域のご縁がつながって嬉しく思います。

障害当事者の方と地域の方が一緒に取り組むプログラム

「災害時の困りごと」は様々です。特に障害のある方はその特性に応じた困りごとがあります。ただ、特性に応じて何ができるか、という形にするとどうしても”助ける側と助けられる側”という流れになってしまいます。

障害当事者の方ご自身がどう考え、どんな困りごとがあり、またどんなことができると思っているのかを知っていただきたいという想いから『当事者の方のお話』という時間を取りました。また実技部分では、障害当事者の方も地域の方も、同じ立場で協力して助け合うことができるような「困りごと」を設定しました。

災害時の困りごとには「みんなで備える」

冒頭に東日本大震災等のこれまでの災害で障害当事者の方にどのような困りごとがあったのかを紹介し、みんなで備えることの大切さをお伝えしました。

障害当事者の方の困りごとは、ほんのすこし条件が違えば誰にでも起こり得ること(例:地震や風水害の直前に、たまたまケガや病気をしていたら…?)です。重要なのは災害による根本的な「困りごと」にしっかりと向き合うことです。

本講座で取り組んだ「応急手当」、「トイレ」、「プライバシー」などは代表的なもので、障害や環境の有無に関わらず誰もが対応しなければならない課題の一部です。

災害時の困りごとを細かく見ていけば人によって異なりますが、障害当事者の方にも地域の方にも共通する困りごともあります。その困りごとへの対応に協力することで「みんなで備える」ことや「助け合い・繋がり」を感じてもらいたいというのが講座の目的でもあります。

【あわせてご覧ください】
インクルーシブ防災~みんなで助かる防災の実現へ~|NHK

障害当事者の方のお話

続いて障害当事者の方のお話として、ピアサポート(同じ立場にいる方による支え合い)活動に取り組まれている方からお話をいただきました。

◯ 災害が起こったら、障害があってもできることはやっていきたい。
◯ 孤独になってしまう方もいるので、寄り添ってほしい。

といったまさに本講座で大切にしたい点についてお話がありました。

体験型プログラム

体験型プログラムとして3つの困りごとに取り組みました。

身近なものを使った応急手当

最初の体験は身近なものを使った応急手当です。地震等で手足にケガをしてしまい、救急車がなかなか来られない場合を想定して食品用ラップやビニール袋、傘など身近にあるもので行う応急手当を体験してもらいました。

切り傷・すり傷等についてはしっかりと水で洗浄(断水の場合はペットボトルの水などきれいな水で)し、ラップや生理用品、ストッキングなどで保護する、打撲やねんざ・骨折などはしっかりと固定するために傘やビニール袋を活用するなどのポイントを紹介しました。

身近なものを使った(簡易)トイレづくり

次の体験は身近なものを使った(簡易)トイレづくりです。トイレの備えの大切さについては言うまでもなく携帯トイレの備蓄や、避難所等での仮設トイレ利用について理解しておくことが重要です。それでも数が足りなくなってしまう、仮設トイレが行列で行けないといった事態は想定されます。

新聞紙、ビニール袋、段ボール箱等を工夫し、自宅や車中等でひとまず用を足すためにどうしたら良いかについてポイントを紹介しました。詳しい作成方法は 以下の記事 で紹介しています。

身近なものを使ったプライバシースペースづくり

最後は段ボール箱を活用したプライバシースペースづくりです。障害・特性の有無に関わらず人目を避けたい、プライバシーを守りたい場面というのは少なくありません。ダンボールを組み合わせて、パーティション(間仕切り)を作る方法を紹介しました。

作り方については ダンボールでパーテーションをつくろう|NHK などを参考にしてください。

まとめ~”できること”で関わり合う~

「自分にできることは、自分でやりたい」というのは平時・災害時を問わず、みんな同じです。そして災害が起きると、「いつもできていたことが、できなくなる(ことによって困る)」のも、みんな同じです。

津波が想定される地域での避難行動要支援者対策など、難しい課題もたくさんありますが、できるところから始めるという点では本講座のように「誰もが自分のこととして取り組める」、自分にできることを通じて障害当事者の方と地域の方が関わる、そんなアプローチがあっても良いと思います。

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