本ブログでも度々ご紹介している 先生のための教育事典「EDUPEDIA」 や、大学生による防災教育団体 わたげプロジェクト の皆さんのご縁から、広島文化学園大学「子ども学研究会 防災教育ことはじめ」で講師を担当させていただきました。募集チラシや大学公式サイトでの報告は下記をご覧ください。
○ 防災教育ことはじめプレスリリース[PDF](広島文化学園大学)
○ 子ども学研究会「防災教育ことはじめ」を開催(広島文化学園大学)
本稿では当日の内容等についてご紹介します。
当日のプログラム
今回のテーマが「防災教育ことはじめ」ということで、教育に関心のある学生さんや現役の先生方が対面で40名、オンラインで30名参加されました。筆者の担当は講義部分と簡単な教材紹介ですが、休憩を挟んでわたげプロジェクトの皆さんによる防災ゲームの体験会が行われました。
講義の内容と今回のポイント
講義は以下の流れ、内容で行いました。概ね、他の教職員研修等でお話している内容と同様ですが、はじめの一歩を意識して強調した部分もありますので、そのあたりを中心にご紹介します。
1.被災された方から学んだこと
2.防災管理と防災教育のポイント
3.学校・家庭・地域で助け合う防災教育と教科横断的な取り組み
4.教材/事例紹介
5.総括
「学校・家庭・地域で助け合う防災教育」については 地域における防災教育実践に関する手引き[PDF](内閣府 防災担当) を用いてお話しました。同手引きの作成にあたって、筆者も実践団体のヒアリングを行わせていただきました。下記の記事でもご紹介していますので、併せてご覧ください。
手引きの9p.に記載されている防災教育を実践する上での五箇条、その5に『明るく、楽しく、気軽に実行すること』という項目があります。どれも重要なポイントではあるのですが「はじめの一歩を踏み出す」ために、そして「続けていく」ためには欠かせない点です。
防災を楽しいことと結び付け、日常生活の中で気軽に継続できる取組を進めることが重要です。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/pdf/h27bousaikyoiku_guidline_jp.pdf
また、地震や風水害などの災害だけでなく、自然がもたらす恩恵の面もよく理解して、その地に暮ら
す誇りにつながるような取組が求められます。
事例として都内の公民館・教育委員会と連携して実施した親子向け防災講座を紹介しました。元々、公民館で企画されていた防災体験講座の内容を学習指導要領総則に則って各教科との関係を整理し、校長会等でご紹介させていただくなど、地域での体験学習と学校教育がつながるようにしました。
また、参加されるご家庭には非常持出袋を実際に持ってきてもらい、子どもたちが作成した避難スペースや段ボールベッドを体験しつつ、非常持出袋を点検したり実際に使ったりしました。
親子防災講座での体験内容はいずれもご家庭や学校でも簡単に実践できるものです。そのポイントを保護者や子どもたちが知ってもらうことで、学校・家庭・地域での防災へとつなげていきます。
教材・事例紹介
教材・事例紹介では ちょボットの防災道場 台風・大雨の巻 を学校・家庭・地域で活用するためのセルフガイドや教材「災害状況を想像する力を身につけよう」をご紹介しました。詳細についてはそれぞれ、別記事がありますので以下をご覧ください。
わたげプロジェクトの皆さんによる、防災ゲーム体験会
後半はわたげプロジェクトの皆さんによる防災ゲーム体験会です。防災カードゲーム「クロスロード」や「ダイレクトロード」、「シャッフル」など、様々な防災ゲーム・教材について参加者の方々が班に分かれて体験しました。わたげプロジェクトについては 公式サイト や下記のSNSの活動もぜひご覧ください。
Twitter https://twitter.com/watage_roje
Facebook https://www.facebook.com/groups/760102584353431/?ref=bookmarks
参加者の中には小さなお子さんもいましたが、他の参加者の方々と一緒に体験されていました(画面でちょボットの防災道場も体験してもらいました!)。
なお、防災ゲームの一覧についてはnote記事にまとめていますので、興味のある方はこちらも併せてご覧ください。
まとめ ~災害の教訓と”楽しさ”のバランスを考えて~
前半講義の冒頭で「被災された方から学んだこと」として、筆者がなぜ防災教育に取り組むのか、どのような心がまえをしながら取り組んでいるのかをお話しました。はじめの一歩としてはやや重いテーマですが、学校・家庭・地域それぞれで被災の記憶、教訓が鮮明に残っている場合は特に意識しなければならない点です。
全ての人にとって必ずしも防災(教育)が「楽しい」ものにはなりません。つらい記憶や、悲しみを思い起こさなければならない取り組みかもしれません。大切なことは分かっていても、様々な事情から取り組みが難しいこともあるかもしれません。それは児童生徒でも、保護者でも、教職員でも、地域の方々でも同じです。
『明るく、楽しく、気軽に実行する』ことは重要ですが、ただ「明るく楽しければいい」ではなく、災害の教訓と被災された方々の想いをしっかりと受け止め、地域や学校等の実情をふまえた”バランス”を考えながら取り組んでいただけたら、と願っています。