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いざという時役立つ「トイレ、備えトイレ!」のポイント|練馬区立こどもの森

地域に密着した公園で災害時のトイレについて考える

2017年10月6日(金)、練馬区立こどもの森で開催された防災ワークショップ「トイレ、備えトイレ!」にプログラム提供、アドバイザーでご協力させていただきました。イベント概要については、こどもの森ホームページからご覧ください。

2017年11月2日(木)に、公園ブログにイベント報告も掲載されましたので、そちらも合せてご覧ください。

イベントについて

下記イベントにこどもの森スタッフの方がご参加いただいたことをきっかけとして、トイレに関するワークショップのプログラム案や資料等をご提供させていただきました。直接、講師としていくだけでなく、本ブログでご紹介しているような研修やワークショップについては、ご希望があればできるかぎり資料やノウハウをご提供しています。気になる記事、内容があればお気軽にご相談ください。

当日の主な進行はスタッフの方が担当されました。すぐ近くにある「都立城北中央公園」のスタッフの方々もご参加いただき、少人数でしたが和気あいあいと楽しく体験することができました。

本記事では、筆者が実際に参加しながら、アドバイスをさせていただいた内容についてご紹介します。

なぜ「身近なもの」でトイレを作る経験が大事なの?

今回のワークショップは「身近なものでトイレをつくってみる」という体験が中心になりましたが、なぜわざわざ、段ボールなどでトイレを使う必要があると思いますか。例え断水しても、お風呂の水とか生活排水で、家庭のトイレを使えばいい、と思うかもしれません。もし家庭のトイレが断水・停電・詰まりなどで使えなくても、避難所の仮設トイレや携帯トイレで何とかなる、という考え方もできます。

確かに携帯トイレを備蓄しておくことで、家とトイレさえ無事なら、多くの課題は解決されます。ただ、筆者がこうした「身近なもの」でのトイレ作りなどをご紹介しているのには、被災地支援の経験に基づく理由がありますので、順を追ってご説明したいと思います。

災害時のトイレ「流せる?流しちゃダメ?」問題への答え

なぜ災害時のトイレが課題になるか、ということについては上記記事でもご紹介していますので割愛するとして、よく取り上げられる議論が「(断水・停電などが起きているような)災害時のトイレは、流してよいのか」という問題です。

専門家の方々の意見としては「排水管などの被害が確認されるまでは、仮に水で流せる状況にあっても、流すことは控えたほうがよい」となります。特に集合住宅では、排水管破損箇所での漏水や低層階での逆流などがあり、注意が必要とされています。過去の事例、下水道やトイレの仕組みを考えれば、その通りかと思いますので、筆者も講演会やワークショップで質問されれば、そのように答えざるを得ません。

ただ、いくつか付け加えることはあります。

「流さないで」「使わないで」と言われてもね…

筆者は実際に災害ボランティアとして被災地で活動し、仮設トイレの清掃作業は芳香剤の匂いが衣服から取れなくなるくらい行いました。そこではっきりと分かったのは「現場で理屈を並べても、通じない」ということです。

「この仮設トイレは(山盛り状態で)使えません」と掲示しても、場合によってはガムテでドアを締めても使われてしまうのが現場です。それは被災地のマナーが悪いとかいう問題ではありません。現場におけるトイレは生活上身近な問題であり、流すな、使うなと言われてもがまんできない時はどうしようもないことを痛感する、という意味です。

残された手段は、ただひとつ、使えないトイレを使えるようにするための、ボランティアによる人海戦術ということになります(避難者の方が行うべきという意見もありましたが、それはそれとして)。

理屈としての「流さないで」が正しいとしても、特に首都圏など大都市の集合住宅で全員がその理屈が守るかというと、現実的には難しいでしょう。周知や理解を促すための時間も必要ですし、誰がそれをやるんだよという課題もあります。専門家の意見は意見として考えながらも「自分は正しい備えと行動をしたのに、別の誰かの行動で被害を被る可能性」を考慮しなければなりません。

大前提として、できるだけみんなが決められたルールを守るべきです。でも万が一そうなってしまった場合に、ルールを守らなかった人を責めても何の解決にもなりません。災害時のような誰もが厳しい状況下で、とるべき行動はルール違反へのクレームでも処罰でもなく、まずは目の前にある便意の解決だからです。

課題解決のため「最悪の事態を想定して、行動せよ」

筆者が考えるのは常に「最悪の事態」です。

家のトイレは流すなと言われた。避難所の仮設トイレは行列ができていて、みんなピリピリして横入りなんかできない。携帯トイレも使い切ってしまった。そして、自分や家族がうんちやおしっこをしたくなってしまった。さぁ、どうする?

解決策の1つは「うんちおしっこをして(ルール違反だけど)水で流してしまう」ですよね。溜めておくのは抵抗があるでしょうから、正直、専門家の意見や他の被害なんか知るか!という気分になる方がいても否定できません。でも、それを何とかする方法や提案をするのが、防災に関わる者としての責任です。

そこでもう1つ解決策があります。そう、「身近にあるもので、トイレの代わりをつくる」ことです。

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(段ボール、ビニール、新聞紙などを工夫して使う体験)

“理屈”じゃなくて”便意”で考える

重要なことは、トイレに流すか流さないかでもなければ「集合住宅では流してはいけない」みたいな豆知識に感心することでもありません。あらゆる状況においても「うんちおしっこ」ができるかどうか、が重要なのです。それは他者の迷惑や混乱につながらない方法であることも必要です。

理屈ではなくて便意で考えなければ、本当に必要な備えも行動もできません。極端なことを言えば「うんちおしっこを一定期間、できるだけ匂いや水分を抑えて保管できる何か」があればよいというのが、筆者の考えです。

手軽なのは携帯トイレですが、その仕組みや工夫をきちんと理解しておけば、機能をある程度代替するものはつくることができます。そのためにも、わざわざ「身近なものでトイレをつくる」というワークショップを大切にしています。実際にそれでうんちおしっこができるかどうかは分かりません。抵抗がある方もいるでしょう。それでも、それで「最悪の事態」が回避できる可能性が生まれるのであれば、やる価値はあるのではないでしょうか。

いざという時役立つ「トイレ、備えトイレ!」のポイント

ワークショップでお伝えした「備えトイレ」のポイントをご紹介します。

1分で作れるトイレ!コツは「三角形」

身近なものでトイレをつくるために、いろんなアイデアを出していただくのですが、20分以上かけて作業される方も多いです。それはそれでよい経験になるのですが、実際の場面ではそんなに時間をかけてはいられません(暇な時に作業ができればよいのですが、トイレに行きたくなってからでは手遅れになるかも…)。そうすると、いかに短時間で効率良くトイレ代替品を作るか、が重要になります。

コツは「箱型の段ボールをそのまま使わず、一辺で切って重ね合わせ、三角形にすること」です。これだけで、体重が約100kgある筆者が座っても、ほとんどの場合壊れることはありません。高さや大きさはその場にある段ボールによりますが、一辺を切り離すことで大きさの調整もしやすくなります。気になる方は、通販サイトで届いた段ボールなどで実際にやってみてください。

※なお上下の「フタ」部分も中に折り込んでしまい、空洞の三角形にすると側面の強度は高まります。

あえて、本記事では写真は載せていません。実際に自分の手で作業し、自分の目で確かめていただければ幸いです。いらない段ボール1箱とカッター、1分あればできます。

二重ビニール袋+シート型新聞紙+ビリクシャ型新聞紙で携帯トイレ

「三角トイレ」は言わば便座部分です。用を足す部分に使うのは「ビニール袋(45L程度)」と「新聞紙(画用紙やコピー用紙、最悪の場合、本や雑誌でも)」だけです。ビニール袋を二重にしておき、中にまずシート型(朝刊新聞1枚をとり、3~4回折りたたんだ状態)を置きます。これが底からの漏れを防ぐ台紙代わりになってくれます。

その上にもう一枚の新聞紙をビリビリ・クシャクシャ(文字に沿って縦に割くときれいにビリビリできます)にした新聞紙を入れます。これが水分や匂いを吸収する役割を担ってくれます。

このパックを作って、三角トイレに被せれば「トイレ代用品」の完成です。ここまで慣れれば約2分。ちなみに、そのまま既設のトイレに重ねれば携帯トイレの代わりとしても使えます。

なお、取り外すときは二重にしたトイレのうち、1枚目だけをとるようにしてください(漏れが心配な方は予め三重に)。外側のビニール袋は、汚れたり汚水が付着している可能性があります。なるべく持ち歩かないほうが衛生的です。

こちらも写真はありません。作業してみてください。

ワンポイントアドバイス 段ボール&ビニール&新聞紙パックで足元ぽかぽか

このセットは保温性も非常に高いです。避難所で横になる時などで足元が寒いなと感じたら、このパックの中に足を入れてください。段ボールも一緒に使うと、より保温性が高くなり、カシャカシャ音も軽減されます。で、もしうんちおしっこをしたくなったら、セットを持ち出して、仮設トイレなどの個室スペースかワンタッチテント、車などで用を足すだけです。

小さなお子さんがいる家庭の最終兵器!紙おむつ

わが家もそうですが、小さいお子さんがいる家庭の多くには「紙おむつ」があると思います。これは大変優れた吸湿防臭キットです。多少コツは必要ですが、うまく使えば大人のうんちおしっこにも対応します。前述した二重ビニールの中に切り開いて、端をテープで止めて広げておくとそのまま携帯トイレの代わりになります。紙おむつを使われる家庭の多くは、相当量を「備蓄」されていると思いますので、有効に活用してください。

ワークショップでは、実際に市販されている携帯トイレの仕組みを理解していただくために、給水ポリマーにお茶を入れたり、シート型の携帯トイレに500mlのペットボトルで水を流し入れたりしました。

触ってみたり、匂いを嗅いでみたりすると、体感的に仕組みが分かるので、もったいないと思わずにご自宅にある携帯トイレなどは試しに使って(お茶やお水でよいので)みてください。

おわりに~身近な公園/防災公園を知っておこう~

仮設トイレというと、学校の避難所をイメージされる方も多いです。ですが都道府県や市区町村が運営する「公園」にはマンホールトイレが設置されていたり、仮設トイレが使えるようになるところも多いのです。学校や公民館などと違って、屋根のある施設は少ないので避難(生活)者も少なく、仮設トイレが使える可能性が高い場合もあります。

「公園なんて行ったって何もないでしょ」と思わずに、ぜひチェックしておいてください。既設トイレの近くに防災設備(マンホールトイレなど)がある場合が多く、看板が設置されている公園もあります。お散歩ついでに確認しておくと安心です。

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(公園スタッフの方が公園の防災機能などを紹介)

筆者も関わる都立公園では、防災イベントなどを定期的に行っています。もちろん、全国各地の公園でも行っていると思いますので、機会があれば参加してみてください。

また、公園では来園者の意見をきちんと聞いてくれますので、トイレ関係の設備や対応について知りたいときは、遠慮なく管理所やサービスセンターに聞いてみてくださいね。

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