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施設を確認しながら行う避難所運営研修事例|杉並区ほか

避難所運営研修での現場実踏の大切さ。

 

2018年3月、各地の公民館や地区センターなどで避難所運営に関する研修を担当させていただきました。その際にお話してきたことや「施設を見ながら」行う避難所運営研修のポイントをご紹介します。

指定された学校”だけ”が避難所になる???

下記の関連記事でもご紹介していますが、一般的には「避難所」というと小学校・中学校をイメージされるかと思います。実際に、市区町村が定める地域防災計画に基づいて「予め指定された避難所」は小中学校がほとんどです。ただ、実際には指定された学校だけが避難所になるわけではありません。

強い地震のような大規模災害時には

  • 到着したらすでに人がいっぱいで、中に入れない。
  • ペットや障害、赤ちゃんの夜泣きなど事情があって、指定された体育館などにいられない。
  • そもそも場所が遠くて行けない。

上記のような理由から、これまでの災害でも「学校以外の場所=予め避難所として指定されていない場所に避難せざるを得ない」方が多くいらっしゃいました。施設、公園、空き地、駐車場…安全である程度の広さがある場所には、災害から命を守るため、被災を生き抜くために人が集まってきます。

行政用語としての「避難所」と実態としての「避難所」は同じではありません。計画や協定の有無、備蓄の多少、スペースの大小に関わらず「二次災害の危険がない安全な場所や施設」はどこでも「避難所」になり得るのです。

ポイントは施設や土地、近隣の状況を正しく把握すること


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(避難所指定に関係なく「安全な受け入れ場所」をチェックしておきましょう)

安公民館・地区センターなどの公共施設で、住民対象に避難所運営研修などを行う場合のポイントは、施設や土地、近隣の状況を正しく把握することです。

  • 建物は築何年か、耐震補強はされているか。
  • ガラス飛散防止や火災対策などは講じられているか。
  • 停電、断水時の備えがあるか(職員・避難者分)。
  • 各施設、部屋の適正収容人数はどれくらいか。
  • 情報収集と伝達の手段は備えてあるか。
  • イザというときに二次避難できる土地、建物は近くがあるか。
  • 近隣住民の要望、期待はあるか。

など「はっきりとした根拠が示せる情報=事実」を集めて、対策や訓練を検討することが必要です。

埼玉県内公民館での事例~施設実踏をしてから図上訓練~

埼玉県内公民館での事例をご紹介します。同館ではこれまでに特段、避難所運営等に関する研修を行ったことがないということで、はじめて「避難所運営ゲーム(HUG)」を用いた研修に取り組みました(写真)。HUGについては下記の記事をご覧ください。

 

これに先立って行ったのが『現場実踏』です。実際に館内を参加者の皆さんと歩いてまわり、それぞれの部屋や設備をどのように使うか、どんなことに気をつけるべきかをご紹介しました。例えば、館内で最も大きいスペースが避難者の受け入れ場所になる可能性が高いのですが、入口からそのスペースに行くまでの通路を見上げてみると…

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かなり高い位置に、ガラス張りの窓があります。面積も広く、高所にあるのでもし破損・落下があると危険です。応急的に補修するのも大変そうな場所です。さらにスペースの中を見てみると…

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少し見づらいですが、写真左上に照明器具があります。その真下に出入り口があるのです。もし余震(後震)があった場合、落下の危険があります。こちらも高所にあるため、簡単に取り外したり補強したりできるようなものでもありません。ドアは半分開きにし、コーンなどで注意喚起するしかなさそうです。吊り天井になっていましたので、こちらも落下してくる可能性があります。

こうした施設の状況確認を行ってから、図上訓練を行うことで、避難所運営についてより具体的にイメージしやすくなります。「図面」だけでは分からないことがたくさんありますね。

杉並区井草区民センターでの事例~施設被害の応急チェックルートを作成

次は筆者が住んでいる杉並区での事例です。杉並区では地震の際の避難所を「震災救援所」と呼称しているのですが、震災救援所の運営に関する研修を行った後、有志の方々と一緒に『施設被害の応急チェックルート』を作成して施設の内観・外観を確認しました。

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施設間取り図をいただき、最短で内観・外観を見て回るルートを考えました。それぞれチェックポイントを設けて、どんなことに気をつけて見ていくかを説明させていただきました。


(施設東側。事務所スペースのガラス飛散などを確認します)


(駐車場。緊急車両・支援車両を優先し、一般車両は入れないようにします)


(施設2階。「のぼらないで!」という注意喚起はありますが…)

初動対応では限られた人員で、施設の被害状況を速やかに確認しなければなりません。前述のように各施設が「安全であるかどうか」は、二次災害を防ぐためにも重要な情報です。2~30分以内で一通り見て回れるようなルートを考えておくと、イザという時にスムーズに被害確認が行えるはずです。

まとめ~災害はいつだって想定外だから

避難所運営についての図上研修や訓練は様々な地域や学校で行われるようになってきています。避難者の受け付けや炊き出し、資器材の取り扱いなどは行うかもしれませんが「(実際の被災状況をイメージしながら)施設の状況を確認する」という機会はあまり行われていないと思います。

平成28年熊本地震では、避難所に指定されていた学校の体育館などが被害を受けたことで、避難所として機能できなくなった事例もありました。冒頭ご紹介したように、行政から避難所に指定されていなくても避難所になる場合もあれば、指定されていても避難所にならない場合もある、ということです。災害はいつだって想定外です。行政の仕組みどおりに行かないことも、訓練どおりに行かないこともあります。

公民館等公共施設の職員の方や、近隣住民の方は指定の有無に関わらず「もしここが避難所になったら…」ということを、真剣に考える機会を設けていただければ幸いです。施設の案内図や図面などをご提供いただければ、チェックポイントを一緒に考えたりすることもできますので、お気軽にお問い合わせくださいね。

 

介護情報サイトでご紹介いただきました

大学・学生と地域が連携した災害図上訓練DIGのポイント

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