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社会福祉法人ネットワークによる地域貢献と災害対応


2019年2月~3月にかけて、都内社協さんで「社会福祉法人ネットワークによる地域貢献」をテーマとした研修会、「社会福祉協議会のBCP」をテーマとした研修会をそれぞれ担当させていただきました。

本稿では「社会福祉法人ネットワークによる地域貢献」をテーマとした防災研修会とその内容についてご紹介します。

経緯と背景~社会福祉法人と地域防災~

なぜ、社会福祉法人ネットワークによる地域貢献と災害対応、そして筆者の活動が関わるのか、経緯と背景をご説明します。

同市では、平成27年7月から市内の各社会福祉法人が参加する情報交換会が開催され、市民に対する社会貢献のひとつとして「地域防災活動への支援」が挙げられています。翌年度には市の担当部局や社協、各法人による協議を重ね平成29年2月に「災害時における災害活動等の支援に関する協定書」が締結されました。

同市の災害ボランティアセンターに関わる方々のネットワークで研修を担当させていただいたこともあり、今回お声がけいただきました。

目的と内容

研修の目的や内容については、事前に社協担当者の方と打ち合わせを行い、詰めていきました。研修の目的や内容については、事前に社協担当者の方と打ち合わせを行い、詰めていきました。


時間:120分
対象:市内社会福祉法人(保育園、高齢者福祉施設、作業所等)職員
目的:福祉避難所に求められる機能や、災害時に想定される問題を学ぶ。
内容:市の防災計画、災害時協定について
   施設種別ごとの災害対応や事例(講義)
   想定される課題についての意見交換(グループワーク)


冒頭にご紹介した課題と対策のまとめ、目次はこちら。

社会福祉法人ネットワーク防災研修目次

まず平成28年熊本地震での事例を中心に、福祉避難所がどのように開設され、また初動でどのような対応がされたのかを紹介し、福祉施設での災害対応や、要配慮者支援に関する課題や教訓についてもご紹介しました。

その後、職員個人としてまず行う必要がある家庭での防災対策、法人(施設)としての対策と災害対応、意識付けをするための教育訓練の役割と続きます。

グループワークで用いたプログラム

グループワークはいくつかのツールを検討しましたが、今回の研修では主に現場レベルで、普段あまり防災に関わることはないけれども、実際には最前線で対応する可能性がある人たちが多い、ということを受けて、比較的分かりやすい 防災カードゲーム「クロスロード・ゲーム」 を用いました。

設問に対してYES/NOで回答し、その理由を話し合うというシンプルなものですが、次の立場で実際に起きた事例・起こりそうな事例を設定しました。

  • 比較的大きな高齢者福祉施設の施設長として情報発信をどうするか。
  • 高齢者福祉施設の職員で、メディア対応をどうするか。
  • 身体障害者施設の施設長で、土砂災害警戒区域からの避難をどうするか。
  • 知的障害者作業所の職員で、避難生活をどう支援するか。
  • 保育園の園長で、園児受け入れをどうするか。
  • 保育園の保育士で、家庭の都合とどうバランスをとるか。

ポイントになるのは、それぞれ避難者の受け入れやメディア対応、SNSでの情報発信、避難行動や乳幼児と保護者への対応などを「リーダーシップをとる立場」と「現場職員の立場」の両方の立場で課題に向き合ってもらった点です。同じ問題でも、施設長の立場といち職員の立場では、見方が変わってくることもあるからです。

まとめ~誰もが”はじめて”被災する~

前項の「クロスロード・ゲーム」のユニークな点は、明確な答え探しが目的ではないことです。回答者の知識、経験、価値観、情報の受け止め方次第で、YESにもNOにもなり得ます。

常識、倫理観、過去の事例などから「おそらくこちらのほうがベターであろう」という回答はあるかもしれません。ですが、あくまでそれは一般論や過去の情報に基づくものであって、対応が迫られている今の状況とは経緯や条件が全く異なるもしれません。

「似たような経験はあったとしても、その地域でその災害に遭遇する、被災するのは誰もがはじめてです。ある程度想定はできるにせよ、何が正しいかは誰にもわからないのが災害状況です。過去の事例や教訓はあくまで過去のこと。その場の状況を踏まえて、自分で考えるということをぜひ大切にしてください。」

具体的な課題や「これはどうすればいいんだ」という疑問が出てきたら、それらはマニュアルや協定で事前に対策を講じていくことが必要です。その繰り返しが、社会福祉法人の力を災害時に活かす、ネットワークづくりになります。

社会福祉法人職員の方が話し合うようす

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