EDUPEDIAと考えた「これからの防災教育」2015

 

※過去記事をリニューアルしました。
本記事では2015年2月8日に開催された「先生のためのウェブ辞典 EDUPEDIA」さんとタイアップしたイベント『EDUPEDIAと考える これからの防災教育』についてご報告します。現役の先生、学生、NPO団体の方、災害ボランティア、防災関係施設の方など多種多様な方々およそ20名の方に参加していただきました。実施に至る経緯や当日の様子についてを中心にご報告します。

イベント詳細についての記事は下記をご覧ください。

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実施に至る経緯

筆者と防災教育の関わりは2009年頃から本格的になりました。それまでは大学での災害ボランティア講座が中心的な仕事でしたが、都内の学校での防災教育に関する依頼が増え始めたのがこの頃です。都立高校での防災教育実践などを重ねていくなかで、防災教育実践現場が課題を肌で感じるようになりました。その課題のひとつが「優れた防災教育実践ほど、他校では真似することが難しい」ということです。逆に言えば、優秀事例などで評価される事例は、他校や他地域では真似できないクオリティだからこそ、評価されている、ということです。ただ、それだけでは防災教育が広がりません。広げていくには「これなら私でも、うちの学校でもできるかも」という実践やプログラムが求められます。
具体的には「すごくはないけど、命や生活を守るうえで大切なことが最低限度、学ぶことができる」という実践やプログラムです。

EDUPEDIAさんには『防災教育実践50選』 などの実践事例やプログラム、教材が掲載されており比較的扱いやすいものも多かったので、こうした課題を解決することにつながるかも!と思い企画させていただきました。

企画のねらいと当日の流れ

企画のねらいとして、大きく3つあります。「防災教育の事例を知る」機会はたくさんありますが「防災教育、特に実践部分を学ぶ」機会はそう多くはありません。あるとしてもかなりオフィシャルな場面(教育委員会等が主催する教員研修など)に限られてしまいます。今回のイベントではもう少しラフに、EDUPEDIAさんを通じて防災教育に触れてもらいたいと考えました。

  1. EDUPEDIAを通じて防災教育のことをより多くの方に知っていただく
  2. EDUPEDIA掲載教材を体験していただく>
  3. これからの防災教育をEDUPEDIAスタッフとみんなで考えてもらう

当日の流れは以下のとおりです。

13:00 ~ 13:05 開会挨拶
13:05 ~ 13:20 EDUPEDIAプロジェクト紹介
13:20 ~ 14:20 模擬授業「うさぎ一家のぼうさいグッズえらび」「リズムでぼうさいダック」
14:20 ~ 14:30 休憩・WS準備
14:30 ~ 15:15 ワークショップ
15:15 ~ 15:45 発表・意見交換
15:45 ~ 16:00 まとめ

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(写真:開会直後のようす)

イベントのようす

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↑EDUPEDIAに掲載されている防災教育実践50選の紹介。釜石東中学校の取り組みをまとめた映像教材も使用しました。「釜石の奇跡」という言葉はメディアの「分かりやすい」表現であって「出来事」という表現が正しいこと、結果につながったのは地道で継続的な防災教育の成果であるこなどとを、特徴的な取り組みであるEASTレスキューや先生・生徒の証言を踏まえてご紹介しました。

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↑模擬授業では小学校3年生の気持ちになってもらい、防災リュックの中身を考える授業を行いました。まずはワークシートを使ってひとりひとりが考え、班のなかで共有します。その後、各班の代表者が前に出て、各班の意見を踏まえて「本当に必要な防災グッズ」を10個、選びます。

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↑今回のイベントで選ばれた「防災グッズ10選」それぞれのグッズについて選んだ理由を説明してもらった後、実際の被災地で必要になった場面などを紹介します。この授業には「正解」はなく、「災害時のことを想像し、自分で考えて備えること」の大切さをしっかりと伝えます。教材は こちら でダウンロードできます。

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↑これからの防災教育を考えるワークショップ。各班でアイスブレイクを行ってから話し合いに入りました。テーマは「災害から子どもたちの命を守るために”わたし”にできること」です。

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↑こちらの班は時系列に分けて考えています。発災前が中心ですが、発災時・発災後もそれぞれできることがあるという点は重要です。防災教育は必ずしも「災害前」を想定するとは限りません。災害が起きた後のことも、どこかで学んでいく必要があります。

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↑こちらの班はそれぞれのまとまりの関係性などが整理されています。学校と地域の連携などは様々なところで言われていることですが、その連携を実現するために、ひとりひとりがどんなことができるかを考えるのも大切なことだと思います。

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↑こちらも学校と地域との連携などが挙げられています。災害時の食のことや情報受発信については、学校関係者でなくても関われる防災教育のひとつかもしれません。

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↑ゾンビやゴジラ、エイリアンなどユニークな意見が出ていますが、大事なことかもしれません。不謹慎だと思われるかもしれませんが、それぞれの対策を本当に個人レベルでやろうと思ったら、災害対策とそう大差ないと思われます。大切なことは「想定外の事態から命や生活を守る」ことに、主体的に取り組んでもらうことです。手段は、幅広く考慮しても良いと思います。

まとめ

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↑まとめ。「困難は分割せよ(井上ひさし)」「大切なものは、心で見なくちゃね(星の王子さま)」「誰にでもできることがある、例えどんなに小さなことでも(アンパンマン)」の3つの言葉を紹介しました。防災教育の細かいスキルについてはいくらでも後から身に付けることができます。もっと大事なことは、本当に大切だと思ったことを、例えどんなに小さなことでもいいので、ひとりひとりが行動に移してもらうことだと思っています。

EDUPEDIAさんとのコラボレーションによるイベントは、これまでにない視点で防災教育を考える良い機会になりました。参加者からは「また同じメンバーで集まりたい」という声も出ていました。またいつの日か、同じような機会を作ることができたらいいなと思っています。

最後に本イベントにご協力いただきました、EDUPEDIAスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

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