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被災後のロコモティブシンドローム(運動器症候群)対策と地域防災

災害対応と健康維持は日頃の意識が重要です

 

本日は栃木県で国民健康保険団体連合会様主催による防災研修会でした。対象の方々は「健康づくり推進員」という地域の健康増進に貢献されている方々、とのことで通常の防災講話に加えて、少し身体を使ったり頭を使ったりするアクティビティを取り入れながら進めさせていただきました。

健康も防災も日頃の意識が重要です

冒頭で「健康維持も防災教育も継続的なトレーニング(教育訓練)が重要」というお話から、災害という非日常の状況を「閉眼片足立ち」で体験していただきました。

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  1. まずは普通に片足立ちをしてみます。何も触れず、自由に行ってみてください。
  2. 次は閉眼片足立ちです。両手を腰にあて、目を閉じてゆっくり片足(どちらでも結構です)を上げてください。上げた足は、軸足に触れないようにしてください。
  3. 目標値としては男女ともに50代で10秒~20秒以上、20台代なら20秒~60秒以上となります。

※目標値は 日本健康運動研究所  の情報を参考にさせていただきました。

ほとんどの方にとって、普通の片足立ちよりも目を閉じてからの片足立ちのほうが難しいと思います。それは、私たちの平衡感覚(バランス)が視覚に頼っている部分が多い、ということでもあります。「まっすぐに立っている」というのを、普段は無意識に周りの景色からも判断しています。目を閉じると周囲の情報が遮断されてしまうので、バランスが取りにくくなります。

時には重心の位置や筋力、柔軟性など「目には見えない」身体の機能に目を向けてみることも大切ですね。

それは災害対応や防災教育でも同様です。平時というのは「周りが見えている状況」です。片足立ちもジャンプも安全に、自由にできます。ですが、ひとたび災害が起きれば周囲の状況は一変します。いつも通りのことができない、次に何が起こるか誰にも分からない、という「周りが見えない状況」になります。それでも生命、生活、人生を守っていくためには行動しなければなりません。

災害対応や防災教育では、様々な状況を想定して、命を守るにはどうしたらよいのかを学んだり、訓練に参加したりすることが重要です。

特に被災後の避難生活などでは健康管理上、知っておくと役立つことがありますので、ご紹介します。

ロコモティブ・シンドロームとは

ロコモティブ・シンドロームという言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本語では運動器症候群と呼ばれています。詳しい説明については下記のホームページより引用させていただきます。

ロコモとは
運動器症候群:ロコモティブシンドロームの略です。

ロコモ;運動器症候群:ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは
「運動器の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態になることです。
 日本整形外科学会が、2007年(平成19年)に、新たに提唱しました。「ロコモ」の提唱には、「人間は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であるということを日々意識してほしい」というメッセージが込められています。

ロコモの原因
運動器の障害」の原因には、大きく分けて、「運動器自体の疾患」と、「加齢による運動器機能不全」があります。

1)運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)
加齢に伴う、様々な運動器疾患。たとえば変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背、易骨折性、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症など。あるいは関節リウマチなどでは、痛み、関節可動域制限、筋力低下、麻痺、骨折、痙性などにより、バランス能力、体力、移動能力の低下をきたします。

2)加齢による運動器機能不全
加齢により、身体機能は衰えます。筋力低下、持久力低下、反応時間延長、運動速度の低下、巧緻性低下、深部感覚低下、バランス能力低下などがあげられます。「閉じこもり」などで、運動不足になると、これらの「筋力」や「バランス能力の低下」などとあいまり、「運動機能の低下」が起こり、容易に転倒しやすくなります。

つまり、疾患や加齢などによって、身体を動かしにくくなってしまう状態と考えられます。閉じこもりなどが事例として挙げられていますが、被災地では仮設住宅や避難生活での運動機能や社会活動の低下が大きな課題となっています。

災害救援や復興支援における「生活不活発病」

東日本大震災の災害救援・復興支援活動では、「生活不活発病」という言葉が注目されました。生活不活発病は「動かないこと(心身状態や環境による”動けない”ことも含みますが、ニュアンスとしては”動かない”というほうが強いでしょう)」によって全身の機能が低下していく状態を指します。具体的な症状として

・何をするにも「動きにくい(と感じる)」、「やる気がおきない」
・立ちくらみがする
・動悸や息切れがする
・物忘れがひどくなる

といったものが挙げられます。原因としては震災であれば長期的な避難生活による影響なども考えられますが、災害に限らず、様々な要因で「外出が減る」「人と話す機会がない」などの状況が長く続くと、生活不活発病の要因となる場合があります。特に2014年頃からの「災害救援(復興支援)ボランティア説明会」などでは、重点的に生活不活発病についても説明や対応策について伝えるようにしていますが、これからも被災地にとって重要なキーワードであることは変わりません。

自然災害というのは人間の都合を考慮してはくれません。持病があったり、人と関わりあうことが様々な事情から苦手だったり、年齢的にこれからを考えることが難しいという方にも自然災害は等しく起こります。結果として「もう、何もしたくない。してもしょうがない。」という心情から生活不活発病になってしまうケースも少なくありません。

生活不活発病は、悪循環につながります。動きにくくなるから動かない、動かないから動きにくくなる・・・。放置してしまえば、悪化することはあっても改善することは困難です。予防と改善のためには、災害救援ボランティアや復興支援ボランティア、ひとりひとりが症状や特性を理解し、ご本人に無理のない範囲で積極的に関わっていくことが求められます。

ロコモ・生活不活発病対策を地域防災や復興支援にも取り入れよう!

生活不活発病は「全身の状態」について考えるものですが「ロコモティブシンドローム」は文字通り運動器の症状に焦点をあてています。生活不活発病の要因として運動器の衰えもありますので、ロコモ対策をしっかり行うことは生活不活発病の予防にもつながります。下記のサイトはとても分かりやすいので、ぜひ参考にしてみてください。

平時から気軽に取り組みやすく、本人も周りも効果を実感しやすいので、被災地支援や地域防災活動のなかに健康対策を導入するのは、とても有効ではないでしょうか。Youtubeなどでは体操もアップロードされているので、こうしたものを平時の地域防災活動に積極的に取り入れていくのも面白いでしょう。大学の復興支援活動などでは、学生が避難所でもできる体操を考案して被災地の方々と一緒に取り組む、といったことも行われています。

災害対応と健康維持は切っても切れない関係です。高齢の方だけでなく、学生など若い方でも運動不足であれば運動器の機能は低下しているかもしれません。

「失ってから気付く」ものほど、大切なものはありません。日常生活、いつもの防災訓練、いつもの防災イベント、講演会や研修会などにも、少しだけでもこうしたアクティビティや適度な運動を取り入れていただくことをオススメします。

 

在宅避難生活での注意事項

避難所での生活はもちろんですが、自宅が無事である場合は避難をせずに自宅で生活する「在宅避難」という状況も考えられます。在宅避難は、プライバシーが守られる反面、避難所等と比較して周囲の目線や声かけがどうしても少なくなってしまう傾向にあるので、本人や家族が意識することがより重要になってきます。在宅避難中は、テレビやラジオの体操なども有効に活用して身体を動かす、自分でできることはなるべく自分でする、積極的に外出するようにする、といったことが必要です。

 

国連防災世界会議PF紹介「子どもが主役の防災教育」(3/15午後)

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