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中学校で災害食とトイレの体験学習、被災「それから」を考える

災害は「その時」、被災は「それから」という防災教育の視点

2015.8.19記事「保健主事・養護教諭のための防災教育~3つのLを守る~」でも紹介していますが、防災教育の範囲は必ずしも「生命(いのち)」を守るだけではないと考えています。地震や津波、風水害などから「生命」を守ったあとは、生活や人生を守っていくことが必要になります。「生命」は誰もが助けあっていくことができますが、「生活」そして「人生」と、フェーズが移っていくについれて「自分たち(個人、家族、地域)」でやらなければならないこと、その責任が増えていきます。

087503(「助け合い」と言うのは簡単だけれども…)

災害は「その時」のことですが、被災は「それから」のことを含んでいます。特にこれから想定される都心南部直下地震、東海・東南海地震等は大規模な広域災害となる可能性があります。その分、被災生活が長期化することも考えられます。つまり、これからの防災教育では「生命」だけの備えに加えて「生活」や「人生」を自ら(個人・家庭で)守るための備えや知識・経験も必要になるということです。

 

まず確保すべき「安全衛生の3原則」

2015.9.15記事「災害救援活動のオリエンテーションまとめ【平成27年9月関東・東北豪雨】」にも記載していますが、被災後初期で確保しなければならない「安全衛生の3原則」があります。

休みをとり、トイレに行くこと。

被災後初期は、これからどのような状況になるか分からないという不安が常につきまといます。緊張状態が続くため、疲れていることを自覚できない場合があります。自覚しても、家庭のこと、仕事のこと、生活のことなどいろいろ考えるとやらなければならないことが多すぎて、ゆっくり休んでいられない!という気持ちになります。また、トイレについては休みをとらない、とれないことに加えて物理的な環境(仮設トイレが少ない、汚い、暗くて怖い、男女が近いなど)から行けない、行きたくない場合と精神的な環境(不安や慣れない環境で便意や尿意が意識できない、出せないなど)から、後回しになることがあります。ですが、疲れを無視して、排便や排尿しなければ、当然体調が悪くなります。
たとえ食事や水があろうとも、まず「休みをとること、トイレに行くこと」ができる環境をまず整えなければ、その後の被災生活を乗り切ることはできないのです。
災害時のトイレについては、下記のサイトもぜひご覧ください。
災害用トイレガイド(日本トイレ研究所)

水分、食事をとること。

休みをとることもできる、トイレにも行けるという安心感があってはじめて、水分や食事も喉を通るというものです。単純に非常食を用意しておけばいいだろう、というわけにはいきません。一言で非常食といってもいろいろだからです。例えば、アレルギーのある方や乳幼児や高齢者、障がいをお持ちの方の食事です。行政で準備できる非常食はコストと平等性から、どうしても一般的な非常食(乾パンやアルファ化米=乾燥させたお米、水だけで食べられる)が多くなりがちです。

僕は九州での水害や中越大震災の支援活動時、食事を「カロリーメ●ト」で過ごしたことがありますが、その後半年くらい見たくもなくなりました。携帯食はとても常食にはなり得ません。数週間、数ヶ月はとても考えられない食事・栄養バランスです。

災害時の食事は単なる栄養補給だけでなく、コミュニケーションやストレスケアにもつながる大事な要素です。できるかぎり栄養バランスを考慮した食事がとれるような備えも重要です。災害時の食については下記の資料が参考になります。
災害時の栄養・食生活に関して(独立行政法人国立健康・栄養研究所)

睡眠をとること。

休憩・トイレと安定した水分補給、食事が確保できたら、「睡眠」です。被災による環境の変化やストレスは不眠や睡眠障害につながる可能性があります。トイレや食事と同様、睡眠もきちんと維持できなければ体調や健康に影響します。
避難所等に限らずですが、睡眠のためには【保温】、【昼夜のメリハリ】、【眠れなくても焦らない】ことが大切です。もっとも、それができないからこそ避難生活での睡眠確保は難しいのですが…
ダンボールや毛布、アルミックシート(保温性に優れたシート)などを活用して、プライバシーや保温の工夫が必要となります。

 

中学校での体験学習「災害時の食とトイレ」

本日、千葉県内の中学校で行った防災体験学習は上記の3原則のうち「食事」と「トイレ」の2つをテーマとしました。時間が90分と限られているため、炊飯袋を使った食事づくり→災害時のトイレワークショップ→非常食試食という展開で行いました。なお、災害時のトイレワークショップについては下記の記事をご覧ください。
▶ 2015.8.6記事『災害時のトイレアクションを学ぼう』

災害時に役立つ「炊飯袋」

炊飯袋は、お米と水を入れて煮沸することでご飯が炊けるというものです。水分量や袋の縛り方、空気の抜き方など多少のコツは必要ですが、ていねいに作業すれば小中学生でも簡単にご飯を炊くことができます。お米やほとんどの家庭にあって長期保存が可能な「備蓄品」ですから、お水とお湯を沸かせる環境さえあれば温かいごはんを食べることができます。お米を研ぐ必要もない(無洗米のほうが美味しいですが)ので、災害時に貴重な飲料水を無駄にすることもありません。

詳しい作り方は「クックパッド」にも掲載されています(ちなみに「ハイゼックス」とは商品名です)。

写真(クックパッドから)

Cpicon 備えよ常に・ハイゼックス包装食  by sca

体験学習のようす

2015-11-30 15.57.13
(お茶やコーヒーでご飯を炊いてみる生徒)

2015-11-30 15.56.59
(糖分のあるジュース等で炊くと、匂いや味が強くまともに食べられません)

 

被災「それから」の更に先へ

今回は被災「それから」、といっても数日から数週間程度を想定した体験学習でした。実際の被災は、更に長期間、数ヶ月や数年、数十年と移り変わっていきます。どこまでが「防災教育」の範囲なのか難しいところですが、生活再建に関わる様々な知識や経験は大切であると考えています。今後は、そうした生活再建支援に関連するプログラムや教材開発にも取り組む予定です。

学校の図面を利用した避難所運営ゲーム(HUG)の実践

上智大学・法政大学での防災教育訓練、学生による心肺蘇生法指導も

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