今回ご紹介する「プリントだけで防災教育シリーズ」は、神経衰弱の要領で行うシンプルなカードゲームです。
この教材は、NPO法人高齢者住まいる研究会さんが、全国の防災教育を支援する『防災教育チャレンジプラン』の支援を受けて作成したゲームを参考にさせていただきました。
◯ 防災ゲーム「まちのBOSAIマスター」|高齢者住まいる研究会
高齢者住まいる研究会さんでは、同ゲームの他にも様々な教材やプログラムを開発・実践されています。本ブログをご覧いただいている方にはとても参考になると思いますので、ぜひアクセスしてみてください。
はじめに
実際に防災ゲーム「まちのBOSAIマスター」を使って、教職員や防災・災害ボランティア、企業や行政関係者、小学校低学年児童まで様々な方々に実施させていただいたところ「分かりやすい」、「小さな子どもでも楽しく学べる」といったご意見をいただきました。
同教材は「防災用語等が書かれたカードをめくり、その言葉について説明したり話し合ったりする」という、シンプルかつ短時間で実施できる内容ですので、学校の授業はもちろん、イベントや避難訓練の合間、映像資料視聴との組み合わせなどで役立ちます。より学校・家庭・地域で扱っていただきやすいよう、説明資料やカードのテンプレートを加えてご紹介させていただきます。
指導案・教材のダウンロード、購入
指導案及び教材がダウンロードできます。
自由に使える!実践に基づく防災教育指導案集
防災用語をカードで楽しく覚えよう.zip
指導案集の詳細については「note」をご覧ください。
[blogcard url=”https://note.com/kenyamiyazaki/n/nb7d8a3691c9f”]
なお、既存の教材の購入についてはNPO法人高齢者住まいる研究会さんへお問い合わせください。
事前の準備(授業・イベント実施前)
事前に必要な準備は次のとおりです。
準備の手順
- カードテンプレートをダウンロードし、防災用語(下記参照)や覚えて欲しい、伝えたい言葉を書く。
- 防災用語の部分が裏からが透けないよう、厚紙に印刷したりイラストを使って工夫しつつ、10枚1セットで2組のカードをつくる。
- 必要に応じて「災害カード」をつくっておく。
- 説明用資料を学習者の人数分、印刷・配布しておく。
- 学習者の班(1班5-6人程度)数分、防災用語が書かれたカードセットを印刷しておく(授業中に配布、もしくは班長等に渡す)。
防災用語カードづくりのヒント
どのような防災用語を覚えて欲しいかは、ぜひ授業者の皆さんにご検討いただきたいところですが、いくつかヒントをご紹介しておきます。なお、防災用語について予め説明を行わず、分からなかった・知らなかった防災用語などをピックアップしてもらう進め方もあります。
◯ 防災基礎講座「自然災害について学ぼう」|防災科学技術研究所
防災用語カード、解説の例
『緊急地震速報(きんきゅうじしんそくほう)』
地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度を予想し、可能な限り素早く知らせる情報のこと(気象庁HPより)。
※「地震波」や「P波・S波」など、該当用語に関連する(もしくは前提となる)言葉も併せて指導してから行うと効果的です。
※防災全般だと用語が多くなりすぎてしまうので「地震・津波」、「風水害」、「土砂災害」、「火災」などテーマに区切ると分かりやすくなります
導入
今回の教材では大きく2つの指導方法があります。「事前指導型」と「事後指導型」です。
事前指導型の指導方法
予めカードに記載された防災用語を、口頭・板書・プリント、映像資料などを使って伝えてからゲームを行います。学習者は予備知識をもって取り組みますので、教えられた用語を確認しながらゲームを行うことができます。カードをくり返し見る、自ら説明する、他者の説明を聞くといった過程で防災用語が定着します。授業者も学習者も分かりやすいので、基本的な指導方法と言えます。
事後指導型の指導方法
カードに記載された防災用語については説明、解説などを行わず先にゲームを行います。学習者の現在の知識が試されますので「これまでに実施した防災教育や避難訓練の振り返りとして」行うのが効果的です。振り返りシートなどを使って学習者自身が「分からない・知らない」言葉を明確にすることで、調べ学習などへつなげやすくなります。
展開
実際にカードを使ってゲームにチャレンジします。主なルールは次のとおりです。なお、以下の内容は「教材・資料ダウンロード」の生徒用説明資料に記載されています。
カードゲームは次の流れで行います。ルールを守って楽しく学びましょう!
- 配られたカードの束を裏返して(防災用語が見えないように)机の上にバラバラにして置きます。
- 班長(代表者)さんから順番に色違いのカードを「1枚ずつ」表に返します。色違いのカードをつくることで、ペアが作りやすくなり、学習がスムーズに行えます。
- 同じカードが当たったら、そのカードの「防災用語」を班のみんなに説明してください。カードの意味が分からなかったらパスしてください。
- パス、もしくはカードが違ったら、元通りに裏返して次の人の番です。これをくり返します。
- 「災害カード」をひいてしまったら、そのままカードを元通りに裏返してバラバラにします。覚えていたカードの場所もバラバラになります!順番は次の人になります。
※「災害カード」を使わない、2枚入れてペアになったらシャッフルしなくてもよい、1枚だけ入れるなどやり方は様々です。
★POINT★ 災害はいつ起きるか(いつ、誰がカードを引くか)分かりません。どの防災用語カードが出ても答えられるようにしておきましょう。
- 同じように繰り返して「災害カードだけ残る」、「時間になる」で終了です。
- 時間になったら先生の話をきこう!
まとめ
いざという時に正しい知識、正しい言葉を知っているかどうかはその後の行動に大きく影響します。防災用語について知ることは防災教育の基本ともなりますので、防災教育実践の導入として、あるいは定着を促すためのまとめや振り返りとして、ご活用いただきたいと思います。
プリントだけで防災教育シリーズについて
プリントだけで防災教育シリーズは、様々な防災教育実践やサポートをさせていただく過程で得た教訓をもとに「誰でも手軽に扱えて(プリントを生徒に渡すだけ)、お金がかからず自由に編集可能で(MicrosoftWord等で公開)、指導に専門的な知識も不要 (指導用プリントがセット)な教材」をコンセプトに開発した教材シリーズです。