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【教材】傾聴・他者理解を学ぶ災害支援講座|上智大

相手のことを知るのは、平時からも大切ですね。

上智大学(四ツ谷)ボランティアビューロー主催の講座「災害と他者理解」を担当させていただきました。同講座は大学生・教職員向けの教育訓練プログラムとしてご紹介していたものですが、学生さんが熊本の支援に行かれるということで、ボランティアビューローさんからご依頼いただきました。なお、本稿の内容は元々、成蹊大学さんでのフレッシャーズ講座(新入生向け講座)で行った内容を基にしています。

講座概要

講座概要については下記、大学ホームページをご覧ください。

ワークシート・教材のダウンロード/閲覧

講座で使用したワークシート、カードテンプレート、ケースワークシートはいずれもMicrosoft Word型式でダウンロードできます。実施する環境や対象に応じてアレンジしてください。

【教材】災害と他者理解ワークシート(公開用).docx

【教材】相談援助演習シート(遊び支援編).docx

【教材】だいじな○○カードテンプレート.docx

冒頭に行う「被災された方の言葉」について考えるワークでは、被災された方の体験談に関する映像資料や新聞記事を用いる、語り部さんからのお話を聞くといった方法があります。下記のサイトでは、映像資料を視聴することができます。

だいじな○○カードは「災害疑似体験ゲーム SaTa-Sen」をアレンジした形で用います。SaTa-Senについては下記リンクよりご確認ください。

内容・指導上のポイント

講座は以下のような流れで行いました。それぞれの内容についてご紹介します。

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導入・アイスブレイク

冒頭に、当時大学生だった筆者の体験談として、被災地で出会ったご家族を亡くされた方のお話をしました。実際に大切な方を亡くされた方を前にして、声をかけることができなかったこと。被災地から戻ってから「被災者」や「被災地」、「復興」という言葉の意味について、何度も考えたこと。10年以上経った今でも答えは出ないけれど、ひとつだけ分かっているのは『答えはひとつではない』ということ。

他者理解というと大げさかもしれませんが「相手の気持ち、目線になって考える」ということのポイントにもつながりますが、人との接し方には「Aの時はB、Cの時はD」といった絶対的な正解がある訳ではありません。価値観や環境、その時その前後の状況、会話の中身などによって、必要となる接し方も変わってきます。今回の講座の内容もあくまでひとつの事例であり正解例ではないこと、その場面に応じて適切な対応を探っていってほしいという想いも込めて伝えました。

アイスブレイクでは、前述した「だいじな○○カード」を使い、自己紹介をしてもらいました。自分の人生にとって大切な人や大切なモノ、大切な何か(趣味など)を1人1枚ずつ書き、それをネタにして自己紹介をします。

災害と他者理解ワークショップ

前項の「だいじな○○カード」を用いて、被災された方のことを知るためのワークショップを行いました。ワークショップの進め方については、下記の記事で紹介している学習指導案のNo.17に掲載しています。※指導案集のダウンロードURLは予告なく変更する場合がありますので、ダウンロードURLへのリンクではなく、記事へのリンクをご紹介しています。お手数ですが記事からご確認ください。

災害ボランティアの安全衛生、被災された方との接し方

筆者が大学の災害救援ボランティア講座で実施している、被災地での活動における安全衛生管理や、被災された方とのコミュニケーションの基礎知識についてお話しました。そのうち一枚のスライドをご紹介します。

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日本社会福祉士会、東京社会福祉士会の災害支援研修でも紹介されている内容ですが、特に2点目については具体的な事例も挙げてお話しました。自分がつらい状況にあるときでも、誰かの話を聞くときでも、いきなり感情・気持ちから伝える・聞こうとするのではなく、事実→思考→感情の順を追っていくと整理がしやすくなります。

解説用事例:「気分が重く、食事がのどを通らない」を誰かに相談する場合

いきなり「気分が重いんです」といっても相手も自分もよく状況が分かりません。まず「いつから」そうであるのかを考えてみます。そして「何が」あったのかを伝えてみます。「○日前に、△△で、◆◆さんに××と言われてから、気分が優れない」などです。これが『出来事=事実』の整理です。

次にその出来事を「どう理解したか」を伝えます。”理解”というのは感情的なことではなく冷静な「考え」という意味です。「××なんて言われるようなことはしていない」、「反論や否定をしたかったが、言い返せなかった」など、できるだけ冷静に振り返ってみるとよいでしょう。これが『考え=思考』の整理です。

最後にその考えを「どう感じたか」につなげます。「反論できない自分が嫌だった」、「また××と言われるかもしれないと思うと◆◆さんに合うのが怖い」など、率直な”気持ち”を伝えましょう。これが『気持ち=感情』の整理です。

このように整理してみると、食事がのどを通らないということの原因が「気分が重いから」ではなく、◆◆さんの発言によるものだと分かります。聞き手がボランティアレベルならここまで(自らの状況を受け止め、整理する)でも充分な関わりかと思います。ここから先の『行動』については、まず相談者自身がどうしたいかを相手に伝えてみるのも大切です(◆◆さんに会いたくない、きちんと自分の意見を伝えたいなど)。また、もし症状がひどくなるようなら速やかに専門家に相談してください。

注意事項)お話を聞くだけで充分という場合も

出来事→考え→気持ちの整理は、今の状況を改善していくうえでは有効な方法だと思いますが、気持ちだけを吐き出したい、何が起きたかは言いたくないということもあります。自分が聞き手になっている場合は、相手の気持ちを否定したり、出来事を無理やり聞き出したりはしないでください。『傾聴』とあるように、しっかりとお話を聞くのも大切なことです。

グループ・ケースワーク

前述の相談援助演習シート(遊び支援編)を用いたケースワークです。事例を読んで、それぞれの状況についてワークシートに則って対応や理解について考え、意見を話し合います。これまでのワークショップや講義の内容を参考しながら、ケースワークを進めてもらいます。時間になったら各班から代表的な意見を発表してもらいました(写真)。それぞれの意見について、講師側から大事なポイントを補足しながら解説しました。

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参加者の感想(学習振り返りシート)ダウンロード

参加者の方々には無記名で学習振り返りシートに記入していただきました。下記のリンクをクリックするとダウンロードできます。

災害と他者理解講座_学習振り返りシート.pdf

まとめ ~被災された方への想いは身近な人にも向けて~

まとめでは「無財の七施」などについてお話しました。被災された方々の力になりたい、傾聴やボランティア活動で支援をしたいという想いは、ぜひ身近な人にも向けてほしい、日頃から意識してほしいということです。どんな知識や技術も、平時からどれだけ意識しているかが重要です。毎日毎日傾聴せよ、というのは無理がありますのでそこまでする必要はありませんが、普段からできることもあります。

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本記事が皆さまと、身近な方、そして被災された方の力になれば幸いです。

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