都内社協さんで「災害ボランティアセンター(以下「VC」)協力ボランティア体験講座」を担当させていただきました。災害VCついては、下記の記事でご確認ください。
[blogcard url=”https://kenyamiyazaki.sakura.ne.jp/blog/archives/1175″]講座では防災教育ツールのひとつ「目黒巻」を用いたニーズ把握のワークショップを行いました。本稿では、ワークショップの意図や進め方、用いた資料などを紹介します。
ワークショップの目的
今回のワークショップの目的は「多様なライフスタイルがあることを知り、時系列で変化していくニーズを想像して必要な支援を考える」ことです。
私たちには様々な家庭環境、価値観など異なるライフスタイルがあります。一人暮らしだったり、おじいちゃんおばあちゃんと暮らしていたり、ペットがいたり。それぞれのライフスタイルにより個別に課題があり、必要な支援も異なってきます。
まず、どんな人たちにどんなニーズがあるのかを時系列に沿って考えてみる、というのが1回目のワークショップの目的です。そして、時系列で出てきたニーズに基づいて、ニーズ受付票(ボランティア依頼票)を作成するのが、2回目のワークショップの目的です。
ワークショップの流れ
各回ワークショップの流れは以下の通りです。
1回目は災害VCや被災された方との接し方についての講義を行った後、実際にその地域のハザードマップで被害想定を説明しました。それぞれのハザードマップには異なる住環境(川の近くや避難所から遠い場所など)ごとにポイントが割り振ってあり、それぞれのポイントに「住民」を設定しました。
各「住民」には異なる生活環境があり、参加者の方は各班で1人の住民について、その地域・生活環境でどんなニーズができてきそうなのか、目黒巻を使ってシミュレーションしていただきました。
2回目は具体的なニーズ票作成を目的として、冒頭に災害VCにおけるニーズ把握の役割などについて説明しました。その後、前回の振り返りを行いました。ワークショップでは前回作成した目黒巻に基づき、個人でニーズ票を作成していただきました。
それぞれの班を移動しながら(支援対象となる住民の方を変えながら)、ニーズ票を作成するという訓練を行いました。最後にニーズ票作成時のポイントなどについて解説を行いました。
使用した資料・教材
ワークショップで用いた資料や教材は以下の通りです。ニーズ票など災害VCで用いる様式のサンプルは、冒頭の関連記事からもダウンロード可能ですが、各社会福祉協議会(社協)さんによって様式が異なりますので、詳しくは各社協さんへお問い合わせください。
なお、様々なライフスタイルをイメージしてもらうために使ったEVAGの属性カードについては購入の必要があります。ただ、必ずしも同教材を用いる必要はなく、オリジナルでカードを作ってもよいと思います。
目黒巻は下記をクリックするとPDF形式でダウンロードできます。また、学校教育用にアレンジしたワークシートや参考資料は別記事でご紹介しています。 学校用教育用に作成したシンプルなワークシートもありますので、必要に応じて関連記事からダウンロードしてご活用ください。
[blogcard url=”https://kenyamiyazaki.sakura.ne.jp/blog/archives/460″]講座の様子・記入例など
まとめ~被災地での「孤立」を防ぐ想像力を~
例えば、犬を飼ったことがない方にとって、犬と生活するのがどういうことかを想像するのは簡単なことではありません。購入・引き取りから始まる様々な手続き、ペットの病気やケガの対応、そして災害時の備えなどは、実際に飼われている方でないと「考えたこともない」かもしれません。
障がいをお持ちの方やそのご家族の方、赤ちゃん連れのご家庭など、困っていることはあっても、なかなか相談できない、どうしたらいいのか分からないということで困ってしまう方、孤立してしまう方もおられるかもしれません。
自分や家族だけでなく、異なるライフスタイルの人の災害時を想像することは、支援や備えには「多様性」が重要であること、孤立を防ぐにはどうしたらよいのかをみんなで具体的に考えるきっかけになります。
「こんな生活をしている人は、こんなことで困るかもしれない」
「こんなタイミングで特に支援を必要とする(ニーズがある)かもしれない」
そんな想像力を働かせることにより、限られた時間、場所、人員のなかで円滑にニーズを把握し、ボランティアのちからを活かすことができるのではないでしょうか。