実施概要
豊島区民社会福祉協議会(以下「社協」)さんの依頼で、としま災害ボランティアの会メンバーを対象とした研修会を担当しました。「としま災害ボランティアの会」には、災害時のボランティア活動全般や災害ボランティアセンター運営支援などを希望する方が登録されています。今回の研修は、災害ボランティアセンターに関する基本的な説明と、平時の地域防災活動で活用できる「防災学習教材」について紹介・体験する機会としました。
体験会の内容
同会のメンバーの皆さんには既に何度か研修や講演を行っているのですが、僕が過去に担当した研修等を参加したことがある、という人は半数くらいでした。前半に災害ボランティア全般や災害ボランティアセンターについての講義・紹介を行い、後半で防災ゲームの体験会を行いました。
“よりよい復興”と”人間中心の予防的アプローチ”
冒頭では3月に行われた国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030(骨子)」の前文に含まれているキーワードについて紹介しました。自然災害への備えは日本だけでなく、世界的な課題であり、今後の防災を考える上で重要なポイントが簡潔に示されています。災害を単なるひとつの現象として捉えるのではなく、事前の備え、応急対応、そして復旧・復興という一連の流れで捉えることが重要になります。
災害ボランティアセンター開設・運営の流れ
災害ボランティアセンターについても、前述の「時間軸」が重要であること含めてお話しました。災害ボランティアセンターの開設・運営を4つの段階に分けて考えます。
- 初動期:スタッフの安否や施設の状況、情報収集と整理、職員体制の構築
- 支援活動準備期:活動拠点を確保、優先度に応じたニーズ把握と対応、受援体制構築
- 支援活動期:情報受発信、広報に注力し活動を実施、避難行動要支援者に配慮
- 閉鎖・体制変更期:被災者を孤立させない、段階的な移行・閉鎖、外部への発信
その他には全体の流れやオリエンテーションの重要性、安全衛生の3要素【休息・給水・睡眠】についての説明を行いました。
オリエンテーションの重要性では「ある一定数は”話を聞いていない”人がいることを前提とする」となどをノウハウとして伝えました。「話したから聞いているはず、説明したから分かっているはず」という気持ちでいると、そうでない時にトラブルになります。安全衛生の3要素は、災害ボランティア活動における事故のほとんどが3要素を欠いた結果であること、従ってこの3要素をしっかりととることが安全衛生に有効であることをお伝えしました。
今回は災害ボランティア登録者を主な対象にしているので、災害ボランティアとしての基礎知識はある程度持っているという前提でお話をしています。
防災学習教材/防災ゲームの紹介・体験
今回紹介、体験していただいた防災学習教材は次の8つです。
- ぼうさいダック
- 非常持出袋ゲーム ★関連記事「うさぎ一家のぼうさいグッズえらび」★
- なまずの学校
- シャッフル
- クロスロードゲーム ★関連記事「災害時のコミュニケーションを学ぼう」★
- 避難所運営ゲーム ★関連記事「HUGを用いた研修のポイント」★
- 災害時のトイレアクションを学ぼう! ★関連記事★
- 目黒巻(授業版) ★関連記事「災害状況を想像する力を身に付けよう」★
それぞれの教材についての具体的な紹介や指導要領については別添資料をご用意しています。リンクをクリックすると関連記事をご覧いただけます。その他の防災ゲーム等については下記の記事をご覧ください。
[clink url=”https://kenyamiyazaki.sakura.ne.jp/blog/archives/1329″]
体験会のようす
当日の様子を写真でご紹介します。
まとめ
災害ボランティア活動は必ずしも災害が起きてからだけが活動場面ではありません。平時から災害に備えることも大切な活動のひとつです。防災教育教材や防災ゲームはそうした日頃の活動に取り組むために役立ちます。ぜひ積極的に体験・実施していただき、地域の防災力、災害対応力を高められるよう、活動していただきたいです。
「災害ボランティア登録制度」活用できていますか!?
社会福祉協議会等で取り組まれている「災害ボランティア養成講座」や「登録制度」は、参加者数の減少や方向性などで課題が出てきている頃かと思います。継続的な活動をしていくためにも、必要に応じて組織体制や計画を見直す時期かもしれません。そうしたご相談も承っておりますので、お気軽にこちらのフォーム からご相談ください。